開発協力トピックス2
日本のSDGs進捗報告:自発的国家レビュー(VNR)2025
2025年、日本は持続可能な開発目標(SDGs)注1に関する自発的国家レビュー(Voluntary National Review:VNR)を実施しました注2。VNRとは、2015年に国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に基づき、国連加盟国が自国のSDGsの進捗を定期的に報告する仕組みです。日本は、2017年と2021年にVNRを実施しており、今回が3回目となります。
(1)VNR報告書の特徴
今回のVNR報告書の特徴は、大きく四つあります。一つは、今後のポストSDGsの議論も念頭に、少子高齢化、地方のSDGs推進、防災など、国際社会のモデルとなる日本の挑戦・取組に焦点を当てた点です。次に、大阪・関西万博、GREEN×EXPO 2027、少子高齢化、官民連携、若者、地方、防災・国土強靭(じん)化といった分野横断的な取組を、コラムにて分かりやすく紹介しています。三つ目に、日本のSDGs達成に向けた取組・進捗に関し、できる限り統計などのエビデンスを用いて客観的な評価に取り組んだことです。最後に、SDGs推進円卓会議注3を中心とする有識者・市民社会・ユースを含む多様なステークホルダーの積極的な関与を得た点が挙げられます。政府の評価に加えて、ステークホルダーによる独立の評価の章を設けたほか、2025年3月には様々な関係者が集って議論する「ステークホルダー会議」も開催しました。また、パブリックコメントを実施して報告書に幅広い層からの意見注4を取り入れて作成しました。
(2)SDGs進捗の全体的な評価
日本の強みは、SDGsが社会全体に幅広く浸透し、多様な関係者がそれぞれの立場から積極的にSDGsに関与しており、国を挙げてSDGs達成に向けた取組を推進していることです。目標ごとの評価を見ると、目標3(健康・福祉)、目標8(経済成長と雇用)、目標9(インフラ・産業イノベーション)、目標13(気候変動)等で進展が確認できる一方、目標5(ジェンダー)、目標10(不平等)等では課題があることを確認しました。
HLPF閣僚級会合にて宮路外務副大臣(当時)が日本のVNRを発表
HLPF閣僚級会合における日本代表団
(3)国連での発表
2025年7月、宮路外務副大臣(当時)は、日本政府を代表して、米国・ニューヨークにおいて開催された持続可能な開発のためのハイレベル政治フォーラム(HLPF)閣僚級会合に出席し、日本のVNRについて発表を行いました。同副大臣からは、SDGsをめぐる国際情勢が難しい中にあっても、日本はぶれることなくSDGs達成に向けた取組を進めていくことを表明し、その取組は、多様なステークホルダーによって力強く支えられている旨述べました。続いて、日本の取組を紹介する動画では、まず、織田友理子氏(認定特定非営利活動法人ウィーログ代表理事)が開発した、ユーザー同士がバリアフリー情報を共有することで、車いす使用者が初めて訪れる場所でも安心して移動できるようにするバリアフリーマップ「WheeLog!(ウィーログ)」について紹介しました。動画の後、織田氏は「この歩みの中で私が学んだのは、障害があっても、人や社会に貢献できるということ。」と発言しました。続いて、SDGs推進円卓会議民間構成員の千葉宗一郎氏(Y7/Y20会長、サウザンドリーフ合同会社会長)がユースの視点から見た持続可能な社会の在り方について発表し、最後に蟹江憲史(のりちか)氏(慶應義塾大学大学院教授)が今回のVNRのプロセスを振り返り、醸成されたマルチステークホルダーでの連携を継続・強化し、2030年以降のポストSDGsの議論についても共に臨んでいくことの重要性を強調しました。
注1 用語解説を参照。
注2 VNR報告書に係る外務省ページ
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/vnr/index2025.html
注3 SDGsの達成に向けた日本の取組を広範な関係者が協力して推進していくため、行政、NGO、NPO、有識者、民間セクター、国際機関、各種団体等の関係者が集まり、意見交換を行う会議体で、首相官邸SDGs推進本部の下に設置されている。
注4 持続可能な開発目標(SDGs)に関する自発的国家レビュー(VNR)の意見募集の取りまとめ結果について https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/pdf/20250610_vnr_publiccomment.pdf
