2023年版開発協力白書 日本の国際協力

開発協力トピックス4

持続可能な開発目標(SDGs)の推進
~中間年における日本の取組~

SDGs
SDGサミット2023で演説を行う岸田総理大臣(写真:内閣広報室)

SDGサミット2023で演説を行う岸田総理大臣(写真:内閣広報室)

国際社会は歴史的な転換点にあり、貧困・格差、戦争・紛争、テロ、難民・避難民、感染症、自然災害、気候変動、環境問題など、国境を越える様々な課題に直面しています。

新型コロナウイルス感染症の拡大やロシアによるウクライナ侵略、イスラエル・パレスチナ情勢の緊迫等により、こうした地球規模の課題が、食料・エネルギー安全保障など相互に関連する複合的なリスクを生み出し、脆(ぜい)弱な状況にある人々ほど大きな打撃を受け、人間の安全保障が脅かされることを改めて示しました。

2015年9月に国連で採択された持続可能な開発目標(SDGs)注1は、誰一人取り残すことなく、平和、法の支配や人権も含む、地球規模課題に統合的に取り組むための国際社会全体の目標です。日本は、平和国家、そして責任ある主要国として、「人間の安全保障」の理念に基づき、SDGsを始めとする国際的な協力を牽(けん)引すべき立場にあるとの考えに基づき、相互に関連する複合的リスクへの対応および予防に取り組み、国際社会のSDGs達成に貢献します。

SDGsの達成のためには、旧来の先進国と開発途上国という区別を越えた国際社会の連携が必要です。また、政府や開発機関のみならず、民間企業、地方公共団体、研究機関、市民社会、そして個人などあらゆる主体による行動が求められています。日本政府は、ODAを触媒として様々な取組をつなぎ、厚みのあるアプローチによって、開発途上国を含む国際社会全体でSDGsを達成できるよう様々な面から支援しています。

日本政府は総理大臣を本部長とし、全閣僚を構成員とする「SDGs推進本部」を立ち上げ、SDGs推進の方向性を定めた「SDGs実施指針」の策定などを通じ、SDGs達成のための取組を国内外で精力的に行っています。

2023年は、SDGs達成年限である2030年までの「中間年」でしたが、国際社会が複合的な危機に直面する中で、その達成は危機に瀕(ひん)しています。こうした中で開催された2023年6月の「新たな国際的開発資金取決めのための首脳会合」において、林外務大臣(当時)は、「民間企業との連帯」、「資金調達における連帯」、「オーナーシップとの連帯」の3つの連帯の重要性を強調しました。9月のSDGサミット注2において、岸田総理大臣は、国際社会が様々な困難に直面する今こそ「誰一人取り残さない」というSDGsの原点に立ち返るべきであること、日本が一貫して主張してきた「人間の安全保障」こそが「人間の尊厳」に基づくSDGs達成の鍵であることを改めて強調しつつ、日本として国際社会のSDGs達成に向けた取組を力強く牽(けん)引し、その先の未来を切り開いていくとの決意を表明しました。また、12月には「SDGs実施指針」を新しい時代に合わせた内容に改定しました。日本は、改定された新たな実施指針に基づき、国内外の様々なアクターとの連携を強化しながら、国際社会全体でのSDGs達成に向けて引き続き取り組んでいきます。


注1 用語解説を参照。

注2 SDGsの実施の促進等のため、国連総会の下で4年に一度開催されているもの。2023年は9月18日・19日の日程で実施され、岸田総理大臣は19日の「団結と連帯」をテーマとする会合に出席した。

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