2023年版開発協力白書 日本の国際協力

第Ⅱ部 実績から見た日本の政府開発援助と他ドナーの援助動向

タジキスタンにおける無償資金協力「ドゥシャンベ-ボフタル道路におけるキジルカラ-ボフタル間道路改修計画」の施工現場で、現地作業員にコンクリート打設作業を指導する日本人技術者(写真:JICA)

タジキスタンにおける無償資金協力「ドゥシャンベ-ボフタル道路におけるキジルカラ-ボフタル間道路改修計画」の施工現場で、現地作業員にコンクリート打設作業を指導する日本人技術者(写真:JICA)

1 実績から見た日本の政府開発援助

2022年の日本の政府開発援助(ODA)の実績注1は、2018年から導入された贈与相当額計上方式(Grant Equivalent System:GE方式)注2では、約174億9,994万ドル(約2兆3,000億円)となりました。この結果、経済協力開発機構(OECD)の開発援助委員会(DAC)諸国における日本の順位は米国、ドイツに次ぎ第3位注3となりました。

内訳は、二国間ODAが全体の約85.0%、国際機関等に対するODAが約15.0%です。二国間ODAは、日本と被援助国との関係強化に貢献することが期待されます。また、国際機関等に対するODAでは、専門性や政治的中立性を持った国際機関等を通じて、直接日本政府が二国間で行う援助が届きにくい国・地域への支援も可能になります。日本は、これらの支援を柔軟に使い分けるとともに相互の連携を図りつつ、「日本の顔」が見える支援を積極的に行っていきます。

二国間ODAを援助手法別に見ると、GE方式では、無償で供与された資金の実績は約32億5,786万ドル(約4,282億円)で、ODA実績全体の約18.6%となっています。うち、国際機関等を通じた贈与は、約22億9,302万ドル(約3,014億円)でODA全体の約13.1%です。技術協力は約23億6,231万ドル(約3,105億円)で、ODA全体の約13.5%を占めています。政府貸付等については、貸付実行額は約140億2,044万ドル(約1兆8,427億円)、政府貸付等の贈与相当額は約92億5,738万ドル(約1兆2,167億円)で、ODA全体の約52.9%を占めています。

図表Ⅱ-1 2022年の日本の政府開発援助実績

地域別の二国間ODAの実績値(「開発途上地域」指定国注4向け援助を含む)を構成比(支出の総額)順に記載すると次のとおりです注5(詳細は図表Ⅱ-2および図表Ⅳを参照)。

アジア:56.0%(約109億9,736万ドル)

中東・北アフリカ:12.0%(約23億5,431万ドル)

サブサハラ・アフリカ:8.5%(約16億7,734万ドル)

中南米:4.6%(約9億1,127万ドル)

大洋州:1.3%(約2億4,874万ドル)

欧州:4.2%(約8億1,947万ドル)

複数地域にまたがる援助:13.4%(約26億3,214万ドル)

図表Ⅱ-2 日本の二国間政府開発援助実績の地域別配分の推移
図表Ⅱ-3 主要DAC諸国の政府開発援助実績の推移
図表Ⅱ-4 DAC諸国における政府開発援助実績の国民1人当たりの負担額(2022年)
図表Ⅱ-5 DAC諸国における政府開発援助実績の対国民総所得(GNI)比(2022年)
図表Ⅱ-6 日本の政府開発援助実績の対国民総所得(GNI比)の推移

  1. 注1 : 2023年DACメンバーのODA実績確定値は2024年末以降に公表される予定。
  2. 注2 : 政府貸付等について、贈与に相当する額をODA実績に計上するもの。贈与相当額は、支出額、利率、償還期間などの供与条件を定式にあてはめて算出され、供与条件が緩やかであるほど額が大きくなる。2017年までDACの標準であった純額方式(供与額を全額計上する一方、返済された額はマイナス計上)に比べ、日本の政府貸付等の実態がより正確に評価される計上方式と言える。
  3. 注3 : OECDデータベース(OECD.Stat)(2023年12月)。
  4. 注4 : 「開発途上地域」指定国とは、JICA法第3条(機構の目的)を踏まえ、ODA対象国・地域に関するDACリストから卒業した国に対して、「開発途上地域」に当たると整理を行い、継続支援している国。2022年のODA実績においては、アラブ首長国連邦、アンティグア・バーブーダ、ウルグアイ、オマーン、クウェート、クック諸島、サウジアラビア、セーシェル、セントクリストファー・ネービス、チリ、トリニダード・トバゴ、バハマ、バルバドス、バーレーン、ブルネイが該当する。
  5. 注5 : 支出総額ベース。
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