2 開発協力の発信に向けた取組
(1)情報公開、国民の理解と支持の促進に向けた取組
日本政府は、ODAに関する広報・情報発信について、次のとおり様々な取組を行っています。
ア 広報・情報発信の強化

外務省国際協力局や開発協力の現場を舞台にしたテレビドラマ「ファーストステップ 世界をつなぐ愛のしるし」

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吉川外務大臣政務官による挨拶の様子
グローバル化が進んだ現在、日本と開発途上国は共に支え合う関係にあります。日本のODAは、途上国を含む世界の平和と繁栄に貢献し、それにより日本の国益の確保を図る上で重要な取組であり、大きな意義を有しています。ODAが国民の税金を原資としている以上、こうした開発協力の意義や取組を分かりやすく発信し、国内の幅広い国民の理解と支持を得ることは不可欠です。また、海外においてもこうした日本の取組を正しく理解してもらうことは、友好な二国間関係や日本の国際社会における信頼を高める上でも重要です。こうした観点から、ODA広報の重要性はますます高まっています。
効果的なODA広報を行うために、外務省、JICAは共に連携し取組を進めています。外務省は、ODAホームページやSNS、YouTube動画、メールマガジン、コンテンツ制作、広報イベントの開催、国内教育機関向けの出前講座などを通じて、普段あまりODAに接点のない若者や地方の中小企業関係者などにも届くよう政策広報に取り組んでいます。具体的には、アニメーション動画で紹介する「ODAマン」シリーズや、最近では、又吉(またよし)直樹氏をナビゲーターとした母子手帳の普及をテーマとするテレビドラマの制作、俳優の吉原光夫(よしはらみつお)氏をレポーターとする海上交通の安全・保全、質の高いインフラをテーマとするドキュメンタリー動画の配信を行うなど、知名度の高い出演者を活用し国民に分かりやすく紹介しています(「開発協力トピックス」を参照)。さらに途上国にある日本大使館などでは、現地プレスにODA事業の現場を取材してもらったり、供与した機材を建設した施設に日の丸を表示するなど、顔の見える支援に努めています。また、大使や総領事が自らツイッターやインスタグラムで積極的に発信しており、現地の人々の日本のODA事業への理解に努めています。
毎年公表する開発協力白書においては、写真や現場からのコラムなどを充実させることで分かりやすく親しみやすい内容を目指し、統計データを掲載することで実施状況に関する透明性の確保に努めています。
JICAも15か所の国内拠点を活用し、JICA海外協力隊のOB・OGが講師として経験を伝える出前講座や、地方公共団体関係者を招いたODA現場体験などにも力を入れています。
外務省、JICAのみならず日本の開発協力の関係者が一体となって広報発信する取組として、毎年、国際協力の日(10月6日)の前後に、外務省、JICAおよび国際協力NGOセンター(JANIC)の共催で、日本最大級の国際協力イベント「グローバルフェスタJAPAN」を開催しています。2022年10月1日(土)・2日(日)に、海外と日本各地からの参加に配慮し、対面(東京国際フォーラム)とオンライン配信の双方を組み合わせたハイブリッド形式で開催し、前年を上回る約22,000人の参加を得ました。
こうした取組の結果、新型コロナウイルス感染症の影響にもかかわらず、グローバルフェスタへの参加者や出前講座の件数、動画再生回数など各種広報ツールへの国民の反応は着実に増しており、引き続き一層効果的な広報に努めていきます。
イ ODAの実施・評価に関する情報公開
日本政府は、「ODA見える化サイト」注17をJICAホームページ上に設け、ODA事業の概要、成果および事前・事後評価などを随時掲載しています。また、外務省ホームページでは、新規ODA案件や統計資料などを掲載しているほか、政策・プログラムレベルのODA評価の結果なども公表注18しており、より効果的なODAの実施とODAに対する国民の理解および支持の促進に努めています。
ウ 開発教育の推進
外務省は、国内の教育機関やNGOなどで、ODAを始めとする国際協力について解説する「ODA出前講座」を開催し、過去7年間において合計190回の講座を開催し、約2万人の学生などの参加を得ました。JICAでもJICA海外協力隊経験者や教育委員会との連携を促進するほか、来日中のJICA研修員による出前講座を開催し、2021年度は前年度を上回る約1,800回、約15万人の参加を得ました。その他、国内拠点で学生の訪問を受け入れる「JICA訪問」、「JICA国際協力中学生・高校生エッセイコンテスト」を実施するほか、展示施設「地球ひろば」を提供するなど、国際協力の理解や参加の促進に努めています。
エ 議論や対話の促進
日本政府は、ODAを活用した支援について、NGOや企業、経済団体などに対する説明会を開催しています。また、国際協力をめぐる動きや日本の取組を紹介する講演など開催しており、外交やODAに関心を有する国民と対話する場を随時設けています。
- 注17 : ODA見える化サイト:https://www.jica.go.jp/oda/
- 注18 : ODA評価:https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/kaikaku/hyoka.html