2021年版開発協力白書 日本の国際協力

(2)国際協力事業関係者の安全対策

ゴルゴ13×外務省 ©さいとう・たかを

©さいとう・たかを

ODA事業を中心とする開発協力の実施にあたっては、JICA関係者のみならず、ODAに携わる企業、NGOなど全ての国際協力事業関係者の安全確保が大前提です。2021年も外務省およびJICAは引き続き、新型コロナウイルス感染症の世界的感染状況を踏まえ、世界各国の開発協力の現場で実務にあたるJICA海外協力隊を含む国際協力事業関係者の渡航支援等を実施しました。

また、2016年7月のバングラデシュ・ダッカ襲撃(しゅうげき)テロ事件後、関係省庁、政府関係機関および有識者が参加した国際協力事業安全対策会議での再検証の結果公表された「最終報告」注23を受け、外務省およびJICAは、同報告書に記載された安全対策注24の実施に取り組むとともに、国際協力事業関係者の安全対策の実効性を確保するための対応を継続・強化しています。最終報告以降に常設化された2021年の同会議では、テロ・政情不安および新型コロナという観点から国際協力事業関係者の安全上のリスクとコロナ禍における業務実施について議論を行いました。

新型コロナの感染拡大下においてもテロのリスクは減っておらず、2021年3月、外務省は、国際協力事業関係者を含む国民の海外での安全対策強化のために活用してきた「ゴルゴ13の中堅・中小企業向け海外安全対策マニュアル」に、感染症流行下でのテロといった「複合化したリスク」への対策の必要性を訴えるエピソードと解説を加え、外務省ホームページへの掲載と増補版冊子の作成を行いました。

2021年8月のカブール陥落(かんらく)以降、アフガニスタンからの出国を希望するすべての人々の安全な退避が喫緊(きっきん)の課題であるとの認識の下、日本政府として、希望するすべての在留邦人、在アフガニスタン大使館現地職員、JICAアフガニスタン事務所の現地職員などに対し、査証発給や航空券手配等の支援を行ってきました。こうした取組の結果、2022月1月末までに計500名以上の日本関係のアフガニスタン人が日本に無事到着しました。日本政府としては、引き続き、米国やカタールをはじめとする関係国と緊密に連携しながら、アフガニスタンに残る邦人および現地職員等の安全確保や必要な出国支援に全力で対応していきます。


  1. 注23 : https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/about/keitai/page22_000120.html
  2. 注24 : (1)脅威情報の収集・分析・共有の強化、(2)事業関係者およびNGOの行動規範、(3)ハード・ソフト両面の防護措置、研修・訓練の強化、(4)危機発生後の対応、および(5)外務省・JICAの危機管理意識の向上・態勢の在り方の5点。
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