(3)民主化支援
統治と開発への国民参加および人権の擁護(ようご)・促進といった民主主義の基盤強化は、開発途上国の中長期的な安定と開発の促進にとって極めて重要な要素です。特に、民主化に向けて積極的に取り組んでいる途上国に対して、選挙支援などを通じて民主化への動きを後押しすることが重要です。
●日本の取組

ベトナムで実施された技術協力「国会事務局能力向上プロジェクト フェーズ2」のセミナーでの集合写真(写真:JICA)
イラクでは2021年10月に国民議会選挙が行われ、日本は、首都バグダッドの投票所で選挙監視活動を実施したほか、国連開発計画(UNDP)と連携し、同国の独立高等選挙委員会に対して生体認証登録に使うサーバーなどの機材や新型コロナ対策用にマスクや非接触型体温計などを供与しました。コロナ禍においても感染を防止しつつ、透明性と信頼性の高い選挙が実施できるよう支援し、同国のガバナンス強化に貢献しました。
また、リビアにおいてもUNDPと連携し選挙支援を実施しています。同国では、「アラブの春」以降、国内で軍事衝突が続いていましたが、2020年に停戦が合意されました。停戦後に発足していた暫定国民統一政府に代わる政権を選ぶために、2021年12月に大統領選挙および議会選挙が実施される予定でしたが、2022年1月以降に延期されています。日本は、高等国家選挙委員会に対して投票箱などの選挙関連機材の供与や国内航空輸送費の支援などを行い、円滑で自由・公正な選挙の実施に貢献しています。