2 実績から見た日本の政府開発援助と主要ドナーの援助動向
(1)実績から見た日本の政府開発援助
2020年の日本の政府開発援助(ODA)の実績注10は、2018年から導入された贈与相当額計上方式(Grant Equivalent System:GE方式)注11では、約162億6,025万ドル(約1兆7,360億円)となりました。この結果、経済協力開発機構(OECD)の開発援助委員会(DAC)諸国における日本の順位は米国、ドイツ、英国に次ぎ第4位注12となりました。
内訳は、二国間ODAが全体の約81.1%、国際機関に対するODAが約18.9%です。二国間ODAは、日本と被援助国との関係強化に貢献することが期待されます。また、国際機関に対するODAでは、専門性や政治的中立性を持った国際機関を通じて、直接日本政府が二国間で行う援助が届きにくい国・地域への支援も可能になります。日本は、これらの支援を柔軟に使い分けるとともに相互の連携を図りつつ、「日本の顔」が見える支援を積極的に行っていきます。
二国間ODAを援助手法別に見ると、GE方式では、無償で供与された資金の実績は約30億6,736万ドル(約3,275億円)で、ODA実績全体の約18.9%となっています。うち、国際機関を通じた贈与は、約17億9,246万ドル(約1,914億円)でODA全体の約11.0%です。技術協力は約24億135万ドル(約2,564億円)で、ODA全体の約14.8%を占めています。政府貸付等については、貸付実行額は約114億1,736万ドル(約1兆2,189億円)、政府貸付等の贈与相当額は約77億1,163万ドル(約8,233億円)で、ODA全体の約47.4%を占めています。
地域別の二国間ODAの実績値(卒業国向け援助を含む)を構成比(支出の総額)順に記載すると次のとおりです注13(詳細は図表Ⅰ-2および図表Ⅲを参照)。
◆アジア:60.4%(約102億645万ドル)
◆中東・北アフリカ:11.4%(約19億3,581万ドル)
◆サブサハラ・アフリカ:7.9%(約13億3,839万ドル)
◆中南米:3.8%(約6億4,428万ドル)
◆大洋州:1.9%(約3億2,911万ドル)
◆欧州:0.5%(約9,000万ドル)
◆複数地域にまたがる援助:14.0%(約23億6,476万ドル)
- 注10 : 2021年の実績のDAC統計確定値は2022年末以降に公表される予定。
- 注11 : 有償資金協力について、贈与に相当する額をODA実績に計上するもの。贈与相当額は、支出額、利率、償還期間などの供与条件を定式にあてはめて算出され、供与条件が緩やかであるほど額が大きくなる。2017年までDACの標準であった純額方式(供与額を全額計上する一方、返済された額はマイナス計上)に比べ、日本の有償資金協力の実態がより正確に評価される計上方式といえる。
- 注12 : 日本以外の国については、DAC統計2020年暫定値を使用。
- 注13 : 支出総額ベース。