2021年版開発協力白書 日本の国際協力

国際協力の現場から 06

SDGs9 SDGs17

地域間の連結性を強化し、ルワンダと周辺国の物流を促進!
~日本ならではの包括的な支援で東アフリカ全体の経済発展に貢献~

ルスモ国際橋の改修・拡幅工事の様子(写真:JICA)

ルスモ国際橋の改修・拡幅工事の様子(写真:JICA)

「ルスモ-カヨンザ区間道路改良事業」E/N署名式の様子(写真:JICA)

「ルスモ-カヨンザ区間道路改良事業」E/N署名式の様子(写真:JICA)

ルワンダは、1990年代前半の内戦終結以降、経済成長を続けています。一方で、道路交通インフラの老朽化と国境通関のコストが問題になっていました。ルワンダ東部に位置する交通ルートは、東アフリカ地域の主要な国際回廊注1の一部となっており、老朽化した橋梁や道路を改修し、国境管理能力を向上させることは、地域間の連結性の強化に繋がり、東アフリカ全体の経済発展を促進します。

日本は、2016年、約30年振りにルワンダに対する有償資金協力を再開し、アフリカ開発銀行(AfDB)との協調融資促進枠組みを活用して、有償資金協力「ルスモ-カヨンザ区間道路改良事業」を開始しました。本事業は、中央回廊注2全体(208km)の道路改修・拡張を、ルワンダ政府、AfDB、欧州連合(EU)と協同で実施するもので、日本は、同国とタンザニアを結ぶルスモ-カヨンザ区間(92km)の工事を支援し、更なる広域インフラの整備と物流インフラの改善を推進します。

日本はこれまでも、内陸国であるルワンダの陸路輸送の問題解決に取り組んできました。2011年に着工した無償資金協力「ルスモ国際橋及び国境手続円滑化施設整備計画」を通じて、タンザニアとの国境付近に架かるルスモ橋梁を新設し、安全な相互通行を可能にしました。また、同時にワンストップボーダーポスト(OSBP)注3施設を整備し、税関手続の円滑化を図ることで、両国間の輸送コストの低減、貿易・投資の拡大に寄与しました。

無償資金協力のコンサルタントとして工事を監督した亀田均(かめだひとし)氏は、2か国同時に進めるプロジェクトは一筋縄ではいかなかったと語ります。当時、ルワンダとタンザニアとの関係は冷え込んでおり、「両国の理解と協力を得るために、双方の政府に根気強く説明したり、現地雇用の作業員たちがそれぞれ自国の国境内で作業ができるように配慮したりするなど、ひとつひとつ誠実に対応しました。」と振り返ります。事業後の評価によると、ルスモ国際橋の通関能力は施工前の約3倍に増えており、これに続く今回の有償資金協力によって、今まで行ってきた日本の支援がさらなる効果を発揮します。

また、日本は、2017年に開始した技術協力「東部アフリカ地域における貿易円滑化及び国境管理能力向上プロジェクト」を通じ、新たに導入されたOSBPの運用に必要な技術指導を行っています。同プロジェクトでは、世界税関機構(WCO)の専門家と連携し、東アフリカ共同体(EAC)注4の税関職員の能力強化を通じ、通関手続の効率化と国境取締の能力向上に努めました。

このように、有償資金協力、無償資金協力、そして技術協力という様々なスキームを連携させた包括的な支援は、日本の開発協力の強みと言えます。JICAアフリカ部の氏家十穂(うじいえかずほ)氏は、「AfDBとの協調融資やWCOと連携した技術協力は、大きなインパクトを与えています。ルワンダにおける複数の事業の成果が、東アフリカ全体の経済発展に寄与することを願っています。」と語ります。


注1 国や地域の経済活動の中心となる重要幹線道路。

注2 内陸国の貨物輸送を目的とした、ルワンダからタンザニアを経てダルエスサラーム港へ続く回廊。

注3 通常、出国側・入国側両方の税関でそれぞれ実施する必要がある輸出入の手続きを共有・統合し1回で済ませるようにすることで、国境を通過する物流を効率化する通関業務の運営方式。

注4 ブルンジ、ケニア、ルワンダ、タンザニア、ウガンダ、南スーダンの6カ国が加盟する経済共同体。

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