2020年版開発協力白書 日本の国際協力

2.開発協力の発信に向けた取組

(1)情報公開、国民の理解と支持の促進に向けた取組

開発協力を実施していくにあたり、日本政府は、国民の理解・支持を深めるため、開発協力に関する議論や対話の促進、開発教育の推進、開発協力の現状についての情報公開や発信を積極的に行っています。また、このような取組に関し、外務省は、前述のODAに関する有識者懇談会の提言の1つである「ODAに関する国民・市民の理解・認知度向上」に基づき、次のとおりの工夫や強化を図ってきました。

ア.広報・情報公開・情報発信の強化
ODA広報公式キャラクター「ODAマン」

ODA広報公式キャラクター「ODAマン」

外務省とJICAは、ODAに関するウェブサイト注13を相互にリンクさせながら正確な情報の公開と発信に努めています。また、外務省はODAメールマガジンを発行注14し、在外公館の職員やJICA関係者、NGO職員、国際機関職員、民間企業関係者などによる開発協力の現場での体験談やエピソードなどを紹介しているほか、ツイッターなどのSNSを活用した広報も行っています。また、外務省は、2020年も引き続き、人気アニメ「秘密結社 鷹の爪」を起用したODA広報公式キャラクター「ODAマン」を活用し、アニメーション動画「鷹の爪団の行け! ODAマン」シリーズや選択式シミュレーションゲーム「あなたもODAマン!」を配信するなど、ODAの役割や意義、世界各地で行われている開発協力案件をわかりやすく紹介しています。

このほか、毎年「国際協力の日」(10月6日)の前後には、外務省、JICAと国際協力NGOセンター(JANIC)が共催する日本国内最大級の国際協力イベント「グローバルフェスタJAPAN」が開催されています。2020年は新型コロナウイルス感染症拡大を防止するため中止となりましたが、それに代わる取組として外務省、JICAとJANICが共催して国際協力共同キャンペーン「EARTH CAMP」をオンライン注15で開催し、好評を博しました。

外務省は、海外においても、ODAを通じた日本の積極的な国際貢献について理解を深めてもらうため、在外公館がODA事業の署名式や引渡式に際してプレスリリース(報道機関に向けて紹介する文書)を出すなどの情報発信をしています。また、在外公館では、現地の報道機関関係者による日本の開発協力の現場の視察を企画し、現地のメディアで日本の協力が取り上げられる機会をつくるように努めています。さらには、在外公館を通じて、広報パンフレットや開発協力白書の英語版を各国政府要人、報道機関および有識者などに配布し、日本の開発協力について紹介しているほか、英語または現地の言語によるSNSやホームページを通じた発信なども行っています。

イ.ODAの実施・評価に関する情報公開

2010年に、ODA事業の概要や成果などを分かりやすく説明し、ODAに対する国民の理解と支持をさらに高めていくため、「ODA 見える化サイト注16」をJICAホームページ上に設けました。全世界で展開しているODA事業のうち、有償資金協力、無償資金協力、および技術協力の各案件について、写真や事前・事後評価などの情報を随時掲載し、情報の拡充に努めています。

また、外務省のホームページにおいては、草の根・人間の安全保障無償資金協力および文化無償資金協力で実施された案件について、十分な効果が現れていない案件などを含む具体的な達成状況や教訓をとりまとめたリストを公表しており、より効果的なODAの実施に努めています。

ウ.開発教育の推進
2020年はODA出前講座もテレビ会議で開催

2020年はODA出前講座もテレビ会議で開催

外務省は、職員を国内の中学校、高校、大学、NGOなどに派遣して、国際協力やODAについての説明や解説を行う「ODA 出前講座」を実施しています。JICAでは開発教育を支援するため、教育現場などの求めに応じて、JICA海外協力隊経験者などを講師として紹介し、途上国での暮らしや経験談を伝えて異文化理解・国際理解の促進を図る「国際協力出前講座」や、展示施設「地球ひろば」や国内拠点で学生・生徒の訪問を受け入れる「JICA訪問」への対応を行っています。また、中学生・高校生を対象に「JICA国際協力中学生・高校生エッセイコンテスト」も実施しています。さらに、JICAは教員に対して、「開発教育指導者研修」を開催したり、教員を途上国に派遣し、その経験を授業に活かすことを目的とした「教師海外研修」などを実施しています。

エ.ODAの現場体験

できるだけ多くの人に開発協力の現場を体験する機会を提供し、実際のODA事業について見て聞いて理解してもらうことは、国民のODAへの理解を促進するために最も効果的な方法の1つです。そのため、JICAは教員や地方自治体関係者などの現地視察への派遣支援にも力を入れています。

オ.議論や対話の促進

日本政府は、ODAを活用した中小企業支援等、ODAに関する取組について国内各地で説明会などを開催しています。また、国際協力をめぐる動きや日本の取組を紹介する講演やシンポジウムも開催しており、外交やODAのあり方について関心を有している国民の方々と対話する場を随時設けています。

さらにJICAでは、地域にあるセンターや支部などの国内拠点を活用して、地域の産業界や行政関係者あるいは有識者や地元の大学や学校関係者との懇談や講演を行いながら、国際協力を地域から発信するとともに地域の活性化を目指しています。


  1. 注13 : 各ウェブサイトは以下のとおり。
    外務省ODAホームページ:https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/index.html
    JICA:http://www.jica.go.jp
    ODA見える化サイト:http://www.jica.go.jp/oda
  2. 注14 : ODAメールマガジンのバックナンバーは外務省ホームページ(https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/mail/bn.html)にも掲載しています。
  3. 注15 : EARTH CAMP:https://earthcamp.jp/
  4. 注16 : ODA見える化サイト:https://www.jica.go.jp/oda/
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