2020年版開発協力白書 日本の国際協力

2.実績からみた日本の政府開発援助と主要ドナーの援助動向

(1)実績からみた日本の政府開発援助

2019年の日本の政府開発援助(ODA)の実績注5は、2018年から導入された贈与相当額計上方式(Grant Equivalent System:GE方式)注6では、約155億8,766万ドル(約1兆6,998億円)となりました。支出総額は、約189億1,977万ドル(約2兆631億円)で、前年(2019年)に比べ、ドルベースで約9.7%増(円ベースで約8.3%増)となりました。この結果、経済協力開発機構(OECD)の開発援助委員会(DAC)諸国における日本の順位は、GE方式、支出総額ともに米国、ドイツ、英国に次ぎ第4位注7となりました。

内訳は、GE方式では、二国間ODAが全体の約75.7%、国際機関に対するODAが約24.3%、支出総額では、二国間ODAが全体の約77.6%、国際機関に対するODAが約22.4%です。二国間ODAは、日本と被援助国との関係強化に貢献することが期待されます。また、国際機関に対するODAでは、専門的知識や政治的中立性を持った国際機関を通じて、直接日本政府が二国間で行う援助が届きにくい国・地域への支援も可能になります。日本は、これらの支援を柔軟に使い分けるとともに相互の連携を図りつつ、「日本の顔」が見える支援を積極的に行っていきます。

二国間ODAの支出総額を援助手法別に見ると、無償資金協力として計上された実績が約25億5,599万ドル(約2,787億円)で、ODA支出総額の実績全体の約13.5%となっています。うち、国際機関を通じた贈与は、約11億6,034万ドル(約1,265億円)でODA全体の約6.1%です。技術協力は約27億2,211万ドル(約2,968億円)で、ODA全体の約14.4%を占めています。政府貸付等については、貸付実行額は約93億9,892万ドル(約1兆249億円)で、ODA全体の約49.7%を占めています。なお、政府貸付等の贈与相当額は、約65億1,553万ドル(約7,105億円)となっています。

図表Ⅰ-1 2019年の日本の政府開発援助実績

地域別の二国間ODAの実績値(卒業国向け援助を含む)は次のとおりです。なお、支出総額(構成比)の順に表記しています(詳細は図表I-2および図表III-1を参照)。

アジア:約89億7,214万ドル(61.1%)

中東・北アフリカ:約15億1,128万ドル(10.3%)

サブサハラ・アフリカ:約15億5,346万ドル(10.6%)

中南米:約4億1,283万ドル(2.8%)

大洋州:約2億2,104万ドル(1.5%)

欧州:約7,702万ドル(0.5%)

複数地域にまたがる援助:約19億3,483万ドル(13.2%)

図表Ⅰ-2 日本の二国間政府開発援助実績の地域別配分の推移
図表Ⅰ-3 主要DAC諸国の政府開発援助実績の推移
図表Ⅰ-4 DAC諸国における政府開発援助実績の国民1人当たりの負担額(2019年)
図表Ⅰ-5 DAC諸国における政府開発援助実績の対国民総所得(GNI)比(2019年)
図表Ⅰ-6 日本の政府開発援助実績の対国民総所得(GNI比)の推移

  1. 注5 : 2020年の実績のDAC統計確定値は2021年末頃に公表される予定。
  2. 注6 : 有償資金協力について、贈与に相当する額をODA実績に計上するもの。贈与相当額は、支出額、利率、償還期間などの供与条件を定式にあてはめて算出され、供与条件が緩やかであるほど額が大きくなる。従来のDACの標準であった純額方式(供与額を全額計上する一方、返済された額はマイナス計上)に比べ、日本の有償資金協力の実態がより正確に評価される計上方式といえる。
  3. 注7 : 卒業国向け援助を除く。「卒業国を含む」実績値について、詳しくは「参考統計2(1)政府開発援助の援助形態別・通貨別実績(2019年)」をご覧ください。
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