2019年版開発協力白書 日本の国際協力

(2)自然災害時の人道支援

日本は、海外で大規模な災害が発生した場合、被災国政府、または国際機関の要請に応じ、直ちに緊急援助を行える体制を整えています。日本の人的援助としては、国際緊急援助隊があり、①被災者の捜索・救助活動を行う「救助チーム」、②医療活動を行う「医療チーム」、③感染症対策を行う「感染症対策チーム」、④災害の応急対策と復旧活動について専門的な助言・指導などを行う「専門家チーム」、⑤大規模災害など、特に必要があると認められる場合に、医療活動や援助関連の物資や人員の輸送を行う「自衛隊部隊」を、個別に、または組み合わせて派遣します。

また、物的援助としては、緊急援助物資の供与があります。日本は海外4か所の倉庫に、被災者の当面の生活に必要なテント、毛布などを備蓄しており、災害が発生したときには速やかに被災国に物資を供与できる体制にあります。日本は、2019年には、アフガニスタン、イラン、コンゴ民主共和国、ジブチ、バハマ、ボリビア、ブラジル、アルバニアなどに対して緊急援助物資の供与を行いました。

さらに、日本は、海外における自然災害や紛争の被災者、難民・避難民等を救援することを目的として、被災国の政府や被災地で緊急援助を行う国際機関などに対し、緊急無償資金協力を行っています。国際機関などが実際に緊急援助活動を実施する際のパートナーとして、日本のNGOが活躍することも少なくありません。

また、日本のNGOもODA資金を活用した被災者支援を行っています。日本のNGO、経済界、政府による協力・連携のもと、緊急人道支援を行う組織であるジャパン・プラットフォーム(JPF)は、自然災害や紛争によって発生した被災者および難民・避難民への支援を行っており、JPFの加盟NGOは、現地政府の援助がなかなか届かない地域で、そのニーズに対応した様々な被災者支援を実施しています(「イ.日本のNGOとの連携」も参照)。

また、自然災害の多い日本とASEANにとって、災害対応は共通の課題です。日本は、2011年に設立されたASEAN防災人道支援調整センター(AHA(アハ)センター)の能力強化を目的として、情報通信技術システムの支援や人材の派遣などを行うとともに、緊急援助物資の供与と物資の管理・輸送体制の構築支援を行っています。

2019年4月、モザンビークのサイクロン被災地に派遣された国際緊急援助隊・医療チームが診療活動を行う様子(写真:JICA)

2019年4月、モザンビークのサイクロン被災地に派遣された国際緊急援助隊・医療チームが診療活動を行う様子(写真:JICA)

JPFラオス水害被災者支援2018において調理器具と食器を届けるスタッフ(特定非営利活動法人グッドネーバーズ・ジャパン)

JPFラオス水害被災者支援2018において調理器具と食器を届けるスタッフ(特定非営利活動法人グッドネーバーズ・ジャパン)

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