2017年版開発協力白書 日本の国際協力

開発協力トピックス7

ODA(Official Development Assistance)のルールブック「統計指示書」

2018年1月、パリで開催されたOECD-DAC統計作業部会の様子。

2018年1月、パリで開催されたOECD-DAC統計作業部会の様子。

2018年1月、パリで開催されたOECD-DAC統計作業部会の様子。

2018年1月、パリで開催されたOECD-DAC統計作業部会の様子。

本白書には各種ODA統計データが掲載されていますが、いかなる協力がODAに該当するか、それをどのように報告するかについて、国際的にはOECD開発援助委員会(DAC)がルールを定めています。そのルールは「統計指示書(reporting directives)」という文書にまとめられており、英語の原文テキストはPDFファイル3件、A4版で計300ページ近くに上ります。

ODAは、統計指示書において、①公的機関またはその実施機関によって供与される、②開発途上国の経済開発を主目的とする、③譲許的性格を有する(有償資金協力の場合、貸付条件(金利、償還期間等)が受取国にとって有利に設定されている)、と定義されており、これらの3要件はODAの基本原則といえます。また、行政経費、債務救済、留学生受入れ経費、ドナー国内難民に係る費用等、どこまでがODAと認められるか判断が難しい事項については、個別に説明する項目が設けられています。さらに、各国のDACへの実績報告においては、実施機関、案件概要、供与額、目的(分野)コード、引渡先、特定の政策目的の有無などといった事項について案件ごとに報告することが定められています。

統計指示書がDACで最初に策定されたのは1962年に遡りますが、1969年から1972年にかけて上記①~③のODAの定義付けが行われたのをはじめ、その時々の課題に対応すべく随時改訂が加えられています。現行の統計指示書は2016年4月に改訂されたものであり、改訂の大きなポイントとしては、2018年実績から有償資金協力について贈与相当額計上方式が導入されることです。これまでの純額方式では、支出の全額がプラス計上される一方、元本回収分については全額マイナス計上されるため、返済が予定どおり行われれば最終的にはプラスマイナス・ゼロという結果になりますが、贈与相当額計上方式では、貸付条件を決められた計算式に当てはめて贈与相当額を算出してこれを支出時に計上し(貸付条件が緩やかであればあるほど贈与相当額は大きくなる)、回収分のマイナス計上は行われないこととなります。

現在、DACの統計作業部会では、贈与相当額計上方式の導入に向け、この新方式による具体的な計上ルールについて検討が行われています。また、SDGsへの貢献、民間を含めた幅広い開発資金の動員といった現代の要請に応(こた)えるための方策も検討されています。

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