(2)ガバナンス支援(不正腐敗対策を含む)
開発途上国において、経済が発展する中で、公務員の収賄など汚職事件が発生し、これが国家の健全な経済成長を妨げる要素ともなっています。公正かつ安定した社会の実現のため、援助国は開発途上国における不正腐敗対策を含むガバナンス支援にも取り組む必要があります。
< 日本の取組 >
日本は、2017年7月、国際社会における腐敗対策のための唯一の普遍的枠組みである国連腐敗防止条約を締結しました。同条約の下で、締約国は腐敗に関する法執行や、腐敗に脆弱な国に対する能力構築支援に、他国と協力し、より一層積極的に関与することが求められます。また、日本は、これまでも腐敗対策について、2016年度に約10万ドルを国連薬物・犯罪事務所(UNODC)に拠出し、国連腐敗防止条約に基づく、腐敗対策の促進および国際協力の強化を目的として同条約の各国における実施状況を審査するレビュー・メカニズムの運営を支援し、国際的な腐敗対策における課題の同定と解決に貢献しています。
法務省では、UNAFEIを通じて、アジア・太平洋地域を中心とした開発途上国の刑事司法実務家を対象に、「汚職犯罪の収益に関する効果的な捜査の在り方」をテーマとした汚職防止刑事司法支援研修を実施しました。汚職防止刑事司法支援研修は、国際組織犯罪防止条約および国連腐敗防止条約上の重要論点からテーマを選出しており、各国における刑事司法の健全な発展と協力関係の強化に貢献しています。
ほかにも、東南アジア諸国における取組を支援するとともに、刑事司法・腐敗対策分野の人材育成に貢献することを目的として、2007年から「東南アジア諸国のためのグッド・ガバナンスに関する地域セミナー」を毎年1回開催しています。2017年はベトナム・ハノイで「汚職防止の成功事例:東南アジアにおけるこの10年の制度的又は実務的発展」をテーマに開催しました。