2016年版開発協力白書 日本の国際協力

(2)ガバナンス支援(不正腐敗対策を含む)

開発途上国において、経済が発展する中で、公務員の収賄など汚職事件が発生し、これが国家の健全な経済発達を妨げる要素ともなっています。「質の高い成長」のためには、経済社会活動が公正かつ安定的に運営されることが前提となります。公正かつ安定した社会の実現のため、開発途上国における不正腐敗対策を含むガバナンス支援にも取り組む必要があります。

< 日本の取組 >

日本は、2016年、G7議長国として、「腐敗と戦うためのG7の行動」の策定を主導し、G7首脳間で、腐敗に関する法執行の協力や、腐敗に脆弱な国に対する能力構築支援の重要性などが確認されました。また、日本は、腐敗対策について、2015年度には約9万ドルを、2016年度に約10万ドルを犯罪防止刑事司法基金(CPCJF)〈注65〉に拠出し、国連腐敗防止条約の実施促進を支援するなど、腐敗対策の取組強化に貢献しています。

法務省では、UNAFEIを通じて、アジア・太平洋地域を中心とした開発途上国の刑事司法実務家を対象に、「政府調達における汚職の効果的な捜査と訴追」をテーマとした汚職防止刑事司法支援研修を実施しました。汚職防止刑事司法支援研修は、国際組織犯罪防止条約および国連腐敗防止条約上の重要論点からテーマを選出しており、各国における刑事司法の健全な発展と協力関係の強化に貢献しています。

ほかにも、東南アジア諸国の「法の支配」と「良い統治(グッドガバナンス)」の確立に向けた取組を支援するとともに、刑事司法・腐敗対策分野の人材育成に貢献することを目的として、2007年から「東南アジア諸国のためのグッドガバナンスに関する地域セミナー」を毎年1回開催しています。2016年はインドネシアのジョグジャカルタで、「効果的な国際協力のための手段」をテーマに開催しました。


  1. 注65 : 犯罪防止刑事司法基金 CPCJF:Crime Prevention and Criminal Justice Fund
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