参加希望 国際協力について語ろう

ODAタウンミーティング in 兵庫
(議事概要)

平成16年10月28日


日時: 10月31日(日)14時~15時30分
場所: JICA兵庫国際センター ブリーフィング・ルーム
出席者: パネリスト:
・今西 将行
(野生生物を調査研究する会理事長)
・大塚 香澄
(関西学院大学総合政策学部)
・内田 みどり
(外務省経済協力局民間援助支援室)
コーディネーター:
・藤野 達也
(財団法人PHD(Paeace, Health & Human Development)協会総主事代行)
議事概要:  以下の通り(なお、発言内容については事務局の責任の下にまとめたものであり、発言者のチェックを受けておりませんので予め御留意ください。)


(三木) それでは、最初にコーディネーター、パネリストの紹介をさせていただきます。
 財団法人PHD協会、総主事代行、藤野達也様です。財団法人PHD協会は、草の根レベルの人材交流・育成を目的に1981年に設立されました。アジア・太平洋地域から研修生を招き、自立した村づくりと生活向上を学んでいただくと同時に、日本の人々も研修生との交流を通じて学び、平和と健康を担う人材を育成することを目的とした活動をされております。
 続きまして、パネリスト、NPO法人野性生物を調査研究する会、理事長、今西将之様です。NPO法人野性生物を調査研究する会は、1999年にNOP法に基づき、自然環境保全啓発と人づくりを目的に設立されました。兵庫県南武の武庫川、猪名川流域を中心に、環境保全のための生態調査、市民講座、環境教育などの事業を行われています。現在、当機構の草の根技術協力事業において当JICA兵庫センターと共同で、ブラジルアマゾンにて自然学校プロジェクトを実施されています。
 同じく、パネリストの関西学院大学総合政策学部所属、大塚香澄様です。大塚さんは、学生NGOである国際交流国際協力支援団体CLUB GERDIEに所属されております。CLUB GERDIEは草の根レベルの国際交流国際協力支援の推進を目的に1995年に設立されました。異文化との出会いを通じて、世界じゅうで起こっているさまざまな問題に目を向けてもらい、国際協力に参加してもらうことを目的に、国内でさまざまな活動をされています。
 最後になりました。外務省経済協力局民間支援室外務事務官、内田みどり様です。内田さんは立命館大学国際関係学部、在米アメリカン大学国際関係学部卒業後、外務省に入省されました。1990年から2000年までスペインにて海外研修を受け、2001年から2003年まで
 在ホンジュラス大使館に勤務、2003年から経済協力局民間援助支援室に所属されています。
 民間援助支援室では日本のNGOとの連携や支援を担当されています。
 では、お待たせいたしました。ここからの進行はコーディネーターの藤野さんにお願いいたします。藤野さん、よろしくお願いいたします。
(藤野) それでは、いまからしばらくの間お付き合いをいただきたいと思います。一方的にこちら側だけでしゃべるのではなくて、途中から皆さんからのご意見ですとか、ご質問なども交えながら進めていきたいと思っておりますので、積極的に係わっていただけたらと思っております。
 まず、いまご紹介いただいたお3方に中心となってお話をしていただきます。きょうのテーマは「みんなにもできる国際協力」というのが大きく掲げられています。ODAといいますと、多くの皆さんが納税者という立場で係わってはいるんですけれども、実際に積極的にというんでしょうか、能動的にそれがどうなっているのかということを知ることは少ないわけですが、きょうは少なからずこういうものに参加されようという方 の興味関心は、一般の方たちよりは多分おありかなというふうに思います。その中でもさらに私たちが、国際協力というものが遠いところではなくて、身近なところにもあるんじゃないかということについて、ODAとの絡みの中から少し知っていくことができればいいなということでお3方にお越しいただいているわけです。
 最初に、いわゆる民間の側というんでしょうか、そういう立場のほうからお話をしていただきたいと思いますけれども、今西さんのところは、まず最初に国内の活動があって、それからアマゾンですか、そちらのほうに広がっていったという経緯があるようです。そうすると、結局、足元のところの活動が初めにあったということになりますので、結構、皆さんには近いものがあるんじゃないかと思いますので、その辺からお話を進めていきたいと思います。よろしくお願いします。
(今西) それでは、皆さんのところにこのような日本語と英語版のチラシが入っていると思うんですが、それを見ていただきたいと思います。先ほどご紹介いただいたときにNPOは、平成11年にとりましたけれども、私どもの発足は平成4年でございまして、10年ちょっとになります。基本的には私どもは調査を基本にしておりまして、いま現在、33名の会員がおりますが、そのうちの7割ぐらいは学校の先生です。そういう関係もございまして、そこにありますように八つの事業を行っております。
 まず、人、暮らし、自然をテーマに調査をしてきています。ですから、歴史的な背景とか、そこに住んでいる生物の調査しています。それをただ私どもだけで抱いているのではなくて、一般の方々に見ていただきたいということで、調査したところのフィールドを使った市民活動とか、先生専用の特別セミナーなど、毎年8月にやっています。今回で8回目になります。
 もう一つは、下のほうにありますけれども、生きているシリーズですが、いままでに兵庫県で損保川、猪名川、武庫川という3河川を調査したものを副読本に作成し、活動流域の小中学校に2万 7,000冊強を寄贈してきています。それぞれのところで総合学習のなかで活用していただいているかなと思います。
 もう一つは、ぜひ私どものホームページを見ていただきたいんですが、このホームページの中に私どもの活動はすべて反映させていますので、ぜひお帰りになりましたら、見ていただきたいと思います。
 このような活動を基礎にしまして、3年ほど前にこちらのJICAさんのほうに私どもの考えをお話しさせていただいて、1年半かけて事業化していただきました。ブラジルのほうで何をしているかといいますと、兵庫県では林間学校と言っていましたが、都市と農村の交流というのをやっていました。いまは自然学校と名を変えておこなっています。それを向こうに根づかせようという考えです。といいますのも、アマゾンとブラジル南部の都市との間の格差といいますか、ブラジルの中にも南北格差がありますので、その部分を私どもで少しでもお役に立てればということで、いまアマゾン川河口のパラ州トメアス郡で自然学校を立ち上げている、そういうことでございます。
(藤野) ちょっと幾つかご質問をさせていただきたいんですが、今西さんご自身は何屋さんでいらっしゃいますか。先生ではないんですか。
(今西) 私は公務員です。専門は獣医です。動物に関しては若干の知識はあります。
(藤野) 先生方がメンバーだということですけれども、特に教科的にこういう傾向の先生が多いとかはありますか。
(今西) それはないです。会員には、地質から天体まで専門知識のある人が入会していています。それぞれの自分のやりたいことをやっていただいています。
(藤野) 日常的にはどこで集まりはあるんですか。
(今西) フィールドとしては、私どもは武庫川と猪名川がフィールドですが、過去2年にわたって大和川という川に興味を持ちまして調査し、本年度中に「生きている大和川」をつくって、大和川流域の小中学校に寄贈します。
(藤野) そうすると、いまの日本の川というのはいわゆる地元ですよね。いきなりブラジルという、そのブラジルはどこから出てきたんですか。
(今西) これはまた大変ですよね。私どもとしては4年前まではブラジルの「ブ」の字もなくて、もっと言えば、海外のことは全く考えていませんでした。ただ、私どもの会員の中に大学生がおりまして、その者がブラジルにたまたま研修に行ったんですね。その中で、私どもに一度ブラジルに来ませんかと言って、もう4年前になりますが、私ら会員3名が向こうに行きまして、いろいろ話を聞いてみますと、大学院に入って、アマゾンで暮らしているブラジル人たちに環境教育をやりたい、そういうメニューをつくりたい、こう言っていました。アマゾンに根ざした環境教育の場づくりを実践するということになると、組織をつくってきちっとやるのを何とかしたい、こう言いましたので、それではこの会で何とかなるのであればやりましょうかということで、JICAに話に行ったという経緯です。
(藤野) そうすると、ブラジルの人たちが環境に対しての意識が余り高くなくて、言ったら、荒れてきている、それを何とかしよう、そういうことですね。
(今西) 全くそうですね。だから、熱帯雨林の4割を占めますアマゾンの熱帯雨林が瀕死の状態になっているというのは、行かれた人はすぐわかることなんですよね。その辺のことも私のホームページに出ていますし、ぜひ見ていただいたら、その現状がわかるかなと思います。
(藤野) そうすると、今度、JICAさんからは具体的にどういう支援があって、向こうでどういうことができているのか。学校があるということですね。
(今西) 実施しています事業は、アマゾン自然学校の指導員となるインストラクターの養成講座です。
(藤野) それは現地の方ですね。
(今西) 現地の方のです。先ほども言いましたように、南北の交流を図るため、向こうで語りべというか、ちょっと教育の方面に傾いた人たちを養成しようということで始めたのが、名前としては非常に的を得たような、学校に見えるような話ですけれども、基本的には教育機関ではなくて、構造物も何もございません。生徒に当たる人たちがこの地に来ていただいて、ホームスティをして、熱帯雨林の現状とそこでの暮らしを把握し、くらしと自然との付き合い方などの課題と解決策をもって帰す、こういうやり方なんですね。そのためのインストラクターを、来年にかけて、ことしが一期生10名、来年も10名を養成することにしています。
(藤野) そうすると、その運営の費用を手伝ってもらっている、そんなことでしょうか。
(今西) そういうことです。
(藤野) そうすると、現物をまいたりとか、そういうことではなくて、人を育てるためのいろんなプログラムをサポートしてもらっているということですね。
(今西) 全くそうです。
(藤野) はい、わかりました。
 それでは、続いて、大塚さんにお尋ねをしたいんですけれども、大塚さんは学生さんで、言ったら、勉強するのが本業ですよね。ほとんど日本にいるわけですね。国内の活動で国際協力をしているということですよね。その辺からいろいろと説明していただけますか。
(大塚) 先ほどもご紹介していただきましたとおり、私は関西学院大学総合政策学部でただいま現役の学生をしておりまして、その中で学生NGO、国際交流・国際協力支援団体CLUB GEORDIEという団体に所属しています。私は現在学生という立場であり、ODAについて難しいことはわからない部分もあるかもしれませんが、学生として今まで行ってきた国際交流・国際協力活動について紹介させていただきたいと思います。
 まず初めに、私の所属しているCLUB GEORDIEは1995年に設立されました。設立したきっかけというのは、私の学部の一期生である先輩が海外に留学していまして、そのときに感じた世界平和から広く多くの方々に国際交流や国際協力について考え、行動してもらいたいと思ったことがきっかけで、帰国してからこの団体をつくりました。この団体は、始めたときは学生数人で設立されたのですが、9年目にあたる現在では、学部の学生約30名で運営を行っております。
 では、まずは国際交流の活動について紹介したいと思います。写真をみていただければ、楽しそうに写っているんですけれども、この企画はワンデートリップと言って、毎年春に開催している国際交流イベントです。具体的な内容は、一般の方々や留学生に広報してお招きし、このイベントを通して国際交流を行う場を提供しています。この写真のときは京都に一緒に観光に行ったんですけれども、ただ観光をするだけではなくて、実際に私たちが用意したゲームや、スタンプラリーなどを通じて、普段ではできないような、より深い国際交流ができるように工夫してイベントを行っています。
 これはワンデートリップと似たイベントなんですけれども、ティーパーティーと言いまして、同じように留学生や外国の方と、国内で国際交流をしたいけれどもなかなか一歩踏み出せないという人を集めて、国際交流を行える場を定期的なイベントを通じて提供しています。
 私たちは、国際協力をする上で、こうしたイベントのような国際交流を行うことがとても大切であると考えています。たとえば、こうした異文化交流を通じて、世界で起こっている問題を身近に感じたり、自分と違った文化への理解が生まれます。こうしたイベントに来てくださったかたの中には、このイベントでできた友達がきっかけで、今までは遠い世界だと思っていた海外が身近に感じられるようになったですとか、今までは全く違った文化に触れる機会がなかったものが、こうしたイベントに参加することがきっかけで、全く違った文化を持つ国の方と交流し、さまざまな文化を知って、新たに視野が広がったという方もいらっしゃいました。そういった意味で、私たちは、国際交流活動と国際協力活動というものは全く同じものだと考えています。こうした活動が国際協力への第一歩になると考えています。
 では、次に具体的に私たちが行っている国際協力活動について紹介したいと思います。この写真で行っているのはアフガニスタンの難民支援のための募金活動です。私たちCLUB GEORDIEは、UNHCRという国連組織の下部組織である日本国連HCR協会の助っ人会員というものに登録しています。会員に登録することになったきっかけというのは、私たちの顧問である先生がたまたま紹介してくれたことなのですが、こうした活動を通じて私たち自身も今まで全く知らなかった難民について深く勉強することになりました。実際に私たちが直接海外の人たちに対して募金を集めて支援をしているわけではないんですけれども、こうしたどこかの団体に所属して、そこを通して募金活動を行うというようなことも、日本国内における活動においてはたくさん機会があると考えています。実際にこういった募金活動を通じて、たとえば写真にもあるように、募金をしてくれた方と話をしてみたりですとか、そういった市民と直接触れ合って国際協力活動を行うことで、私たち自身も新たに自分たちの感じていることを一般の方とシェアできる大切な場として募金活動を行っています。
 次の写真にあるのは写真展です。私たちの団体がこういった海外の現場を示す写真パネルをもっているわけではないんですけれども、国連組織ですとか、NGOですとか、そういった方たちはこういった写真パネルをもっていらっしゃって、そういったものを私たちはお借りしてこうした写真展を開催しています。この写真にあるのは、学内で開催した写真展なんですけれども、そういった他団体に写真をお借りして写真展を開催するというのは、場所さえあればとても簡単にできることです。短期間の開催だったんですけれども、たくさんの方が見に来てくださって、やはり普段ではじっくり見る機会がなかった方でも、ちょっとした時間に立ち寄っただけで、今まで知らなかった世界を知りすごく感動していらっしゃいました。
 次は開発教育です。私たちCLUB GEORDIEのメンバーでは、実際に海外に行ったことのない学生もたくさんいます。でも、その中で海外経験のある学生もいまして、そうした学生が小学校に言って、子どもたちに海外での経験をシェアしてきました。こういった小学校の学生は、私も結構ビックリしたんですけれども、私が小学校の頃とは違って、すごく国際問題について勉強している生徒が多かったです。でも、やっぱり日本国内で勉強しているだけでは現地の状況に触れる機会がなかなかなく、リアルに考えられないということが先生も問題視していらっしゃって、こういった現場を見てきた学生たちが子どもたちに話したということで、子どもたちもすごく興味をもって話を聞いてくれました。写真のように、「何か質問のある人!」と言ったら、たくさん手を挙げてくれたりですとか、とても意欲的な子どもたちがいたことが印象的でした。
 最後に紹介するイベントは、セミナーやワークショップです。私たちCLUB GEORDIEは一年の中でも特にこのセミナー開催に力を入れています。毎年冬に開催しているんですけれども、2001年はアフリカの子どもを取り上げ、2002年は難民を取り上げ、そして昨年は一般的な国際問題と私たちの生活というものについてテーマを取り上げてセミナーを開催しました。このセミナーを開催するに当たって、私たちはやっぱり学生ということで、もちろん勉強はしているんですけれども、具体的な知識ですとか、経験というものがまだまだ浅いです。そういった中でも、私たちはセミナーを通して参加者のみなさんと一緒に国際問題について考えていきたいという想いから活動を行ってきました。写真にもあるように、たとえば私たちが問題を投げかけて、私たちが意見を押し付けるわけではなく、一緒に国際問題について意見交換してみたり、たとえば昨年行った「国際問題と自分の暮らし」というテーマでしたら、自分達が実際に置かれている身の周りのこと、たとえば私たちが食べているバナナ、何気なく食べている安いバナナが途上国のすごく低賃金で雇われている人たちによって作られているものであったりですとか、バナナが作られる過程で途上国の人たちの生活にすごく大きな問題を抱えているですとか、そういった自分たちが普段は感じないような問題を、この場に来ていただくことによってぜひ考えていただきたいという趣旨でセミナーを行ってきました。
 写真では、そうした感じで、ただ一方的に投げかけるセミナーではなくて、一緒に考えていくセミナーを開催しています。これは、私たちがパネリストをお招きしまして、実際に海外で活動されてきた方の生の声を聞くという趣旨でお話をお聞きしました。
 ちょっと長くなってしまったんですけれども、以上が私たちCLUB GEORDIEが行ってきた国内での国際交流・国際協力活動になります
(藤野) ありがとうございました。いまお話を聞いていくと、具体的にやっているのが募金で、それが特に難民の方に対して応援していることと、広く言えば開発教育で、それは子供さんたちや、また同級生というか、大学生、そういう人たちを対象に理解を深めるということをやっている、そういう活動だということで理解していいですね。
(大塚) はい、そうです。
(藤野) 最初に見せてもらった外国の方と交流していましたね。あれはどういう人なんですか。お寺のやつとか、ティーパーティとかに出てきている人たちは。
(大塚) 私たちは関西学院大学の学生ばかりでスタッフを構成しているんですけれども、お招きする一般の方とか、そういった外国人の方というのは、学内にとどまらず、一般の方から広く集めています。実際、外国人の方はたくさんいらっしゃるんですけれども、なかなかイベントに来ていただくことはむずかしいんですが、私たちの知り合った学生ならではの人脈を駆使したりですとか、いまではインターネットで広報したりとか、実際、自分で足を運んで、外国人の方が集まっている場に赴いて広報を行って、来ていただいたりとか、そういった感じで集めて、いろんなところから来ていただいた方にイベントに参加していただいています。
(藤野) そうすると、大学の中にいる留学生の人たちばかりではないわけですね。
(大塚) はい、そうです。
(藤野) 続いて、もう一つ、二つお尋ねしたいんですけれども、ご自身がなぜCLUB
GERDIEに係わったのか。
(大塚) 私自身、大学でもいま国際発展政策コースを専攻しているんですけれども、もともと海外の異文化ですとか、国際交流というものにものすごく興味があって大学にも入りました。でも、私は実際、興味があったにもかかわらず、自分自身がそういった国際交流活動に係わったことがないということにすごく引っ掛かっていまして、大学に入ったときにこのCLUB GERDIEというものを知って、自分自身が受け身で勉強しているだけではなくて、自分自身から係わって活動を行ってみたいということと、やっぱり同じ興味を持った人たちと一緒になって情報をシェアして、より自分の理解を深めていきたいなという思いがあってこの団体に入りました。
(藤野) そういうお勉強といまのクラブというか、会の活動。いま何回生ですか。
(大塚) いま四回生です。
(藤野) もうすぐ終わりますよね。これからどういうことになりそうですか。とりあえず4月以降かな。
(大塚) すごい個人的なことなんですけれども、私はいまもう就職活動が終わっておりまして、就職先というのは民間に就職することになっています。でも、やっぱり私はこの活動を通してわかったことは、こういった国際交流とか、国際協力活動というのは、自分からやりたいという気持ちがあれば、幾らでも機会があるなというふうに思っています。たとえば仕事を始めても、土日、休暇を利用して、国際交流活動をちょっとやってみようかなと思ったら、自分の周りには、たとえばNGOの方が提供している機会ですとか、さっきも説明しましたように、私自身が何かやってみたいと思ったら、気持ちさえあれば、幾らでも機会というものは持てると思っていますので、これからは就職しても、自分の趣味じゃないですけれども、プライベートでも、そういった国際交流、国際協力活動というのを続けていけると思っています。
(藤野) 就職先を考えるときに、たとえば外務省とか、JICAとか、そういうのは考えなかったの。
(大塚) もちろん考えました。やっぱりそういった道にも進んでみたいという思いもあったのですけれども、私自身の個人的な考えなのですけれども、私は大学に入ってこういった活動にすごくのめり込み過ぎて、国際交流とか、そういった面ばかりで物事を考えるようになってしまったことが就職活動をしていく中で引っ掛かりました。そうした中で、本当に私の個人的な考えなのですけれども、たとえば国際交流・国際協力活動というのは、そういった面だけの視点では行っていけないものだと思って、一般的な社会の企業での経験ですとか、そういったものもこれからは重要なんじゃないかというふうに思ったので、民間で働いてみたいというふうに思いました。
(藤野) ありがとうございました。続いて、内田さんの出番なのですけれども、今回の主
催側の方なので、趣旨とか、今回の目的とかというのはたくさん出てくると思うんですが、内田さんもかつては学生さんだったわけですよね。そこのところは後で聞きましょう。では、とりあえず。
(内田) ご紹介いただきました外務省経済協力局民間援助支援室から来ました内田と申します。民間援助支援室というのは、さっき紹介していただいたのですけれども、なかなかぴんとこないかなと。私自身も初めて聞いたときにはぴんとこなかったのですが、「外務省が民間援助をするの」というふうによく言われるんですけれども、当室は、別名、NGO支援室と言いまして、日本のNGOと連携してやっていったり、あるいは日本のNGOをバックアップしたりというようなことをやっているもので できてからことしで10年目になります。当室は、経済協力局なので、特に経済協力におけるNGOとODAのパートナーシップということが趣旨でありますが、きょうはODAタウンミーティングということなので、まず最初にODAとはそもそもどういうものかというお話をさせていただいて、それからその中でNGOとどういうふうに係わっているのかということをご紹介させていただきたいと思います。ちょっと時間がないので、急ぎ足になりますけれども、ご了承ください。
 まず、ご存じの方もいらっしゃると思いますが、ODAというのは、日本語で政府開発援助、その名のとおり、政府、あるいは政府の実施機関、JICAのような機関が行っている資金や技術という面で、開発途上国の経済社会開発や福祉の向上に役立つような援助を行っていきましょうという、簡単に言うと政府が行っている経済協力活動ということになります。この中にはいろんな形があるのですけれども、大きく二つに分けられまして、一つは、国際機関に日本が出資して、お金を拠出して、ほかのアメリカとか、イギリスとか、そういうところもお金を出して、国連機関なんかがそれを使っていろんな国に援助をするという、多角的な、マルチと言われていますけれども、そういう援助が一つ。もう一つは、ODAの70%ぐらいを占めるのですけれども、2国間援助。バイの援助というふうに通常言っているの「ですが、これは特定の途上国に直接援助を行うというものです。この中に三つ形態がありまして、無償資金協力というのは、無償という名のとおり、お金を返してもらわなくてもいい、あげてしまう資金援助ですね。この中にもたくさん種類はあるんですけれども、文化ですとか、水産とか、何か分野に特定したものプラス、一般無償援助。これが多分皆さん新聞などで一番ごらんになると思うんですけれども、道路をつくったり、学校をつくったり、ダムをつくったり、あるいはもちろんそういった大きいものだけではなくて、中には草の根無償というような 1,000万円ぐらいの小規模のプロジェクトを支援するというようなものも入っております。次が、技術協力。これはまさにJICAが行っているものですけれども、研修員を受け入れたり、こちらから専門家やボランティアを派遣したりして、技術を途上国に移転するというものです。最後の有償資金協力というのは、お金を貸すのだけれども、いずれ返してもらう。ただ、その条件、利子とか、返済の期間というのが非常に緩やかな条件になっているというものです。
 これがODAの中でどれぐらいの割合をそれぞれ占めているかということなのですけれども、先ほど申し上げましたとおり、2国間援助が70%以上を占めているのですが、日本の特徴は技術協力が一番多いのですね。次に政府貸付等と書いてある、これは有償ですけれども、お金を返してもらう貸付が次に多くて、一番少ないのが無償。欧米のODAなんかでは無償の割合がもっと多いですね。一般的には、たとえばカトリック国が多いので、そういう宗教的な慈善活動という歴史的な背景等もあって、無償が多いのかなというような話もよくありますけれども、日本の場合は、まず1点目に、途上国が自立してやっていけるような支援をしようというのがありまして、そのために技術を教えて、それで自分たちで自活してやっていけるようにという方針があります。そのために技術協力の割合が多くなっております。次の貸付のほうは、これも同じく、単にあげるだけではなくて、それを返済しなければならない。その返済していく中できちんとした財政計画ですとか、あるいは責任を持った資金の使い方ですとか、そういうことも途上国に責任を持ってやってもらう。それによって自助努力、途上国の自分たちの努力を促進していこうという、この2点があって、日本の場合はこういう特徴的な形態になっております。地域は、歴史的、文化的な背景があって、アジアが60%を占めています。
 日本は、国際協力50周年ということで、54年から援助を始めているんですけれども、この実績グラフで、最初の棒グラフがとても小さい76年ぐらいまでというのは、日本はまだ戦後の復興時期で、海外から援助を受けながらも、自分たちも途上国を援助していたという時期で、まだODAができ上がっていく過程の時期ということになります。その後、91年ぐらいまでは、グンとこのグラフが伸びているんですが、ここはちょうど日本が経済的に大変な成長をしまして、このころからトップドナー、世界の一番の援助国のうちの一つというふうに変わっていった成長期であります。その次の90年から2002年ぐらいまでのところ、最後の部分というのは、ODAはもちろんずいぶんと成長していたのですけれども、日本の財政状況もだんだんと厳しくなりまして、日本の中でもODA批判ですとか、あるいは不祥事もありましたし、冷戦後の世界で日本はどうやってこれから国際社会で生きていくのかというような話題が出てきたところです。そして、いま2003年というのは、いわば転換期というようなもので、昨今の厳しい財政状況ですとか、いろんな国民の方の意見とかを踏まえて、これからODAをどういうふうにやっていこうというようなことをちょうど考えている時期です。
 これが過去10年間の実績ですけれども、ほかの国と比べてみると、日本は実績が下がっているんですね。ほかの国はどんどん伸びているんですが、日本はいまでも世界第二位の援助国ではありますけれども、こちらをごらんになったらおわかりになりますように、ODA予算そのものがどんどん減っております。そういうことで実績もちょっと減ってきているということです。ただ、もちろん財政状況が厳しいことがありますので、単に数をやればいいというわけではなくて、質のほうも高めなければいけない。ただ、もちろんまだまだいろんな援助国からやってほしいという声は高いので、いたずらに予算を減らしていくわけではなく、積極的にこれからも状況を見ながらODAをやっていきましょうと、先ほども申し上げましたけれども、転換期という時期に入っております。
 ODAがいま転換期の中でこれからどうやっていくかということになると、途上国というのは、単に貧しいから何かやってあげましょうというだけではなくて、まず一つ、たくさん資源を輸入している日本にとって途上国というのは大切なパートナーである。そこが発展することは日本の安定にも結びつく。そしてまた、途上国が持っているさまざまな感染症ですとか、人口の問題というようなものは、ひるがえって世界の問題でもありますのし、平和を構築していくということになると、やっぱり日本にとっても、世界の平和は日本の平和でもありますから、途上国を支援することによって、結果的にはわれわれの繁栄と安定にもつながる、そういう理念を持っています。2003年、去年、ODA大綱というものが新たに改訂されまして、そういう理念を打ち出したわけなのですけれども、もう一つ大切なのが、これからODAをやっていく中で、単に政府が何かやっているなというわけではなくて、ちゃんと国民の方の意見を反映した、そしてより活力のある、効果的なODAをやらなければいけないということを明確に打ち出しております。その中で特にNGOとのパートナーシップというのが重要になっております。
 では、ODA、政府がやる援助活動というのと、非政府組織であるNGOがやる活動というのは全く違うものではないか、それをどうして政府が協力するのだ、非政府組織なのになんで政府が支援するのだというようなこともよく言われるのですけれども、それをちょっとこれからご説明したいと思います。
 まず、最初にお断りしておきますが、民間援助支援室で支援しているのは、国際協力NGOと呼ばれるものです。国内にはいろんなNGOがありますけれども、中でも海外の援助活動をしているものです。ただ、この中には自分たちがプロジェクトを実際に海外でやっている開発協力型というものだけではなくて、今西さんのところの環境関係とかもありますし、大塚さんのところのように、自分たちは海外に行かないけれども、国内で活動しているというNGO、あるいはそういう国際協力NGOを集めてネットワークをつくって、それを支援するNGOと、形態は本当にいろいろありますけれども、国際協力を主要な目的に掲げているNGOというのをわれわれはパートナーとして支援しております。
 これは参考までですけれども、財政規模、それからこちらはスタッフの規模ですね。グラフの大きいところは全部アメリカとかイギリスなんで、こういうところに比べて、日本というのはまだまだNGOの資金も少ないですし、大きいところももちろんありますが、ほとんどはスタッフも少ない。さらにお給料をもらって働いているスタッフというのは本当にまだまだ少ないという状況です。この成長過程にあるNGOがきちんと国際社会で活動していけるようになるためには、やはり政府がバックアップしていかなければいけないという考えで、支援を行っているわけです。
 では、なぜODAがそんなに支援をするのかということですけれども、これはNGOにしてみれば、もちろん活動のための資金を政府が出すという、一番お金の部分が大きいと思いますが、逆にODA、われわれの側からしますと、政府がやる事業というのは基本的には時間がかかるのですね。何でも決定するのに時間がかかりますし、資金はありますけれども、それを動かすのも、皆さんの税金を使っていますから、いろんな手続がある。さらに政府間の関係があって、援助したいけれども、政治的な理由でどうしてもできないという地域や国もあります。そのところにどんどん入っていけるというのはNGOの一つのメリットですし、またコミュニティのレベルで長期にわたって住民に直接係わり合いながら支援ができるというのもNGOの重要な特徴だと思います。また、緊急で何かやらなければいけないときにも、NGOというのは非常に迅速に動けるのですけれども、政府はなかなか動けない。ただ、NGOにしてみれば、動けるのだけれども、お金がないということもある。そういう相互に弱点、そしてまた強みはありますので、そういったところを補完して、私は政府、あなたは非政府というふうにばらばらにやるのではなくて、どうせ同じ日本の支援なのだから、一緒に協力してやっていきましょうよというのが、私は支援と言っていますけれども、実際にはパートナーとしてやっていきましょうというのがODAにおけるNGO支援の趣旨です。
 NGO支援の予算というのは、外務省の関連するものだけでも、5年間で5倍以上に伸びておりまして、ODA予算というのはどんどん減っているのですけれども、その中でNGO支援予算というのだけはどんどん伸びております。実際にわれわれが何をやっているかというと、NGOと定期的に協議会をして、一緒にどういう活動をしていくかということを話し合ったり、また日本だけではなく、海外の大使館と海外にいらっしゃるNGOの方とか、JICAの方等も入って、ミーティングをやったりということもしています。また、ジャパン・プラットホームというのがありまして、これは民間の企業と政府とNGOが一緒になってつくったシステムなんですけれども、イランの地震ですとか、いろんなところの紛争地域などで緊急に人道支援を行わなければいけないときに、すぐにNGOが入って活動できるように、政府や民間企業がお金をプールしておくのですね。こうしておくと、一々、長い手続を経なくても、すぐにそのお金を使ってNGOが現地に飛んで行ける、こういう三位一体のシステムということで、画期的な連携システムということになっております。いま現在、16団体のNGOが参加しています。これはイランの地震なのでけれども、「日本レスキュー協会」を始め、このイラン地震にはジャパン・プラットホームの参加団体から七、八団体が現地の援助に飛んだのですが、これは政府の資金を使って行いました。
 ほかにはNGOが個別にやっているプロジェクトに資金を出す日本NGO支援無償があります。これはさっきご紹介した無償資金協力のうちの一つで、日本のNGOがやっているプロジェクトを資金的にバックアップするというものです。これは物を送る輸送費というのから、学校を建てたり、あるいはセミナーをやったり、研修をやったり、地雷関係の支援等々にも、いろんなメニューがあるのですが、資金の面で支援しているというものです。
 これはそのうちの一例で、2002年度に「日本地雷処理を支援する会」というところがやった支援事業、不発弾処理の事業です。これもNGO支援無償で資金を供与いたしました。
 これは去年度ですが、イラクのサマワの母子病院に医療機材を供与するもので、「日本・イラク医学協会」というところが実施したものですが、これも日本NGO支援無償を使いました。自衛隊の人が機材を輸送して、その機材の使い方も教えたので、これは自衛隊のお医者さんだと思いますけれども、こういった保育器などを供与いたしました。
 ほかにも事業補助金ですとか、お金を出すだけではなくて、活動環境整備支援と言っていますが、研究会をやったり、あるいはセミナーを外務省が主催したり、NGOの人材育成ですとか、そういうものの能力の強化というようなソフト面でもいろんな事業を行ってきております。
 ちょっと長くなってしまいましたけれども、大体、ODAとは何か、そしてODAの中でどういうNGOとの係わり方をしているかということをご説明いたしました。これが全部ではありませんし、またこれが完璧な形というわけではありませんけれども、こういうふうにODAとNGO、手をつなぎながらやっているということでご理解していただければと思います。
(藤野) ということで、実はODAについて説明していただくと幾らでも時間が必要かと思うんですが、特に私たち市民というのでしょうか、その側に近いところでどういうふうに使われているかということを中心にご説明いただきました。数字もいっぱい出てきましたし、グラフもいっぱい出てきて、皆さんがこれで一遍に全部を理解するということは多分むずかしいと思うのですけれども、大事なところをちょっとかいつまんでまとめますと、ODAがずうっと伸びていったのですが、ここのところ、ちょっと頭打ちから少し減少気味がある。それでも世界的にはトップレベルにあるということの中で、大方、いま予算としてあるのが 9,000億円ぐらいが使われているわけです。その中で、かつてはNGOというのは、どちらかというと、非政府というよりはアンチ政府ではないかというぐらいの感覚があって、余り政府からお金をもらうということはあり得なかったんですが、まさにここにきて大分方針が変わったということもあって、連携プレーをするようになった。それが大体40億を超すぐらいのところまできている。それだけ見ればすごいんですけれども、分母を見れば、それが 9,000億円ということですので、まだまだ欧米なんかに比べると、額としての比率はそんなに高いものではないのかもしれないというのも一つ指摘ができるのではないかなと思って、いま話を聞いていたわけですが、それでも以前のように、いわゆる一部の専門家だけがやっていた、またはお役人さんだけがやっていた時代から比べますと、いわゆる市民なり、国民なりというところで係わってくる量が非常に増えてきて、先ほども幾つかのメニューがありましたように、私たち自身が係わっていくものが結構出ているということで、きょうは実際にそれと係わっている今西さんにも来ていただいているわけです。今西さん、いまの話を聞いていて、どんなふうに今西さんのところとODAと絡んでいるのかということをさっき少しご紹介いただきましたので、それを実際に受けてみてどんなものかというところで何かコメントがあれば聞きたいんです。
(今西) むずかしいですね。だけど、使うお金はODAのお金というのは認識しているんですけれども、基本的には使わせていただいているお金についてみれば、私どもとしては本当に自由に使わせていただいている。その辺、非常にこだわりなく使えるということ。これはJICAが中にクッションとして入っているのがそういうことになっているのかなと私は思うんですけれどもね。
(藤野) 内田さん、今西さんのところのお金はJICAさん経由だから技術協力のところに入るのですね。
(内田) そうですね。
(藤野) ですから、先ほどあった大きな枠の技術協力の中に今西さんのところに流れていっている予算があるということで、実際にもらってみて、こんなのがよかったとか、これはちょっとあかんのと違うかとか、その辺は何かありませんか。
(今西) 実際は、JICAさんはよく相談に乗っていただけるので、私どもの貧弱な会計処理にしても一緒になってやってもらっているし、そういうことからすれば、非常に助かっている。それからまた、お金だけじゃないんですよね。実際、情報として私どもに入ってくるのは本当に微々たるものですので、セキュリティとか、そういうのが基本的には一番大事なものですけれども、そういうことが本当にちゃんと入ってくる。
(藤野) それはJICAのオフィスなり、外務省の大使館なりというところを通じてということですね。
(今西) そうです。私どもがこのようなことで困っています情報をくださいお話をさせていただいたら、ちゃんと返ってくる。そういうことで、活動しやすいことはしやすい。それともう一つは、私側のほうですけれども、こういう国の機関と一緒になってやるということは対外的に非常に信用が得やすいことです。
(藤野) 対外というのは、たとえばどこに対してですか。
(今西) 外国。外国の中でも、私らは地域に入っていますから、地域の中の人たちにもJICAという名前は非常に浸透していますし、そういうことからすれば、そこの仕事を委託を受けてやっているということが向こうとしては理解しやすい。それはわれわれ単独で行くことに比べれば雲泥の差だと思います。その辺はお金以上に非常に大切なところだと思います。
(藤野) いままでよくODAというのがいろんなところで不具合があるということは、さっき内田さんもちょっとおっしゃっていましたけれども、そういう批判がたくさんある中で、「私らの税金がきちんと使われてへんやん」みたいな話がよくありますね。そういう中で、じゃ、それをNGOがもらったら、それで済むのかというと、NGO自身がもしきちんとした仕事をしていなかったら、結局同じことになってしまうというあたりで、今西さんのところが公的資金を受けるということに対して、納税者に対してどうだというところはどうですか。
(今西) その辺のところが、今回1年半協議させていただいたわけで、こちらのほうでご相談させていただいたときに、よく使われていたのは「あなたたちの活動は商品価値があるか」、こう言われるんですね。初めてですね、このような考え方は。ましてや国の機関がですよ、「私どものところがやっているのは商品価値がある」と言われたのは非常に新鮮なことで、驚きだったですね。だから、私どもの活動は、内のほうではボランティアの活動とかと言って一生懸命やっているわけですけれども、外から見れば、これはもう商品になる。それを売れると。その売れるということは、やはりこっちに利益が返ってくるという話ですから、間接的であっても日本国民の利益につながるものと思います。
(藤野) ですから、民間の団体だからといって、好き勝手をやったらいいというものではなくて、結局、公的資金を入れれば、そこのところには納税者に対する責任というのは当然発生するわけですよね。その辺に自信がないと、余り実はもらったら具合が悪いというのはありますよね。
(今西) その辺の判断はどこでしていただいたのかなと私は思いますけれども、余り固い話ばかりするのもなんですが、税金を使って行う事業ですから、国民にわかりやすく返ってくるものがなかったらと思います。 アマゾンに植林をしましたよ。 CO2 を削減できるように酸素を発生させるところをつくりましたよと言っても、みんなにわからないわけですから、私たちは、ことしブラジル側に情報発信基地をつくろうとしているんです。そうすることで向こうから事業内容をリアルタイムに見ていただける。ブラジルのほうにきちっとした基地をつくるというのが大切かなと考えます。
(藤野) いまODAのほうの説明をいただき、また今西さんのところでもらっているというところからの実践例をお話をしていただいたんですけれども、NGOをやっている人にはそうやってパイプがあったりとか、実際にもらうスキームというんでしょうか、そういうものがあったりするということなんですけれども、じゃ、一般の方々に対してODAがどういうふうに関連するのかというと、まだ、いまいち、ぴんとこないような気もしないでもないですし、学生さんに対してはどうなのか。学生さん自身がまだ納税者ではないので、責任がないというか、権利がないといえば、そうなのかもしれませんけれども、いまいろいろとお話を聞いて、学生の立場でODAはどういうふうに使われたらいいのかなどというのは少し思いましたか。私たちにくれてもいいのかなとか。
(大塚) いま実際NGOをされている方と外務省の方で意見を交わされていて、こうした話を聞いていると、やっぱり私たちはかかわれないのかな、ODAってすごく難しいんじゃないかなと感じてしまうと方もいると思うんですけれども、私もはじめはそう感じていたんですが、学生としてさまざまな国際協力活動を実際に行ってきたら、ただ、傍から聞いていた意見ですとか、テレビを見て批判だけを聞いているのとは違って、自分が実際にかかわることで自分なりの考え方といいますか、抽象的なんですけれども、人から受けた受け身の考えだけではなくて、自分の経験とか、自分の感じたことからODAに対して批判であったり、いい面も、悪い面もすごく考えられるようになりました。
 そういった面で、一般の方でも、いま言っておられたような外務省、NGOというかかわりの中で、たとえばNGOの行っているスタディーツアーに参加するとか、写真パネルを借りたりとか、直接ではなく遠まわりであっても、実際自分もどこかでODAに関わる国際協力活動に携わっていけると、学生として今までの活動を通して感じることができました。
 私が今日来たのは、私の先輩がJICAさんと関係があって、学生が一般的な立場から国際協力活動をしている人を探しているけれどもそういう人が見つからないということを聞いて、私のところに話が来て依頼を引き受けました。学生NGOというのは本当に一般の方と変わりはないんですが、やろうと思えば何でもできるというふうに今すごく感じているので、そういった活動をしている学生が少ないということに私はすごくびっくりしました。今日来てくださった人の中に学生の方もきっといっぱいいらっしゃると思いますが、もし興味さえあれば、機会はたくさんあると思うので、受け身だけではなく、ぜひ自分からかかわってみていただきたいなというふうに思いました。
(藤野) あなたは、きょうここへなぜ来ることになったのですか。
(大塚) 私がきょう来たのは、私の先輩がJICAさんと関係があって、実際に、学生とか、一般的な立場から国際協力活動をしている人というのがなかなかいなかったということを聞いて、探している中で、私は先輩を通じてJICAさんのほうから依頼をされたんですけれども、私がすごくびっくりしたのは、学生NGOというのは本当に一般の方と何も変わりはないのですけれども、そういった立場でも、やろうと思えば何でもできるというふうにいますごく感じているので、そういった方が少ないということにすごくびっくりしたので、ぜひきょう来てくださった人の中に学生の方もきっといっぱいいると思いますし、全くいままで何もしてこなかったことが悪いわけではないんですけれども、もし興味があれば、機会というのはたくさんあると思いますので、受け身だけではなくて、自分から係わってみていただきたいなというふうに思いました。
(藤野) ありがとうございました。内田さん、いまNGOに対しての支援の説明は一通りしていただいたんですけれども、市民なり、国民なり、そういう人たちに対して、何かこんなふうに係われますよとか、ご意見を承りますよというのは何かあるんでしょうか。
(内田) 私は民間援助支援室の者なので、いまNGOとか、支援という話だけをさせていただきましたが、それだけ聞くと、NGOで何かすごい活動しているところと、政府だけがやっているのかなという感じになるかもしれませんけれども、もちろんそういうわけではなくて、私達がいろんなところに顔を出して、いろんな人の話を吸収するということはやっていますし、お金を出すというのは、さっきお話がありましたとおり、それは公的な資金なので、だれにでもばらまくというわけにはいかない。これはやっぱりちゃんと条件をつけて、どういう活動に使うのか、どこに使うのかということをクリアしたところにしか支援はできない。これはしょうがないことなんですね。ただ、国民参加というのは、別にNGOに参加している人だけが国際協力に参加しているわけでもありませんし、また、NGOの中にも、さっき言ったように、海外に必ずしも行ってやっているわけではない。皆さん、いろんな形で、大塚さんもおっしゃっていましたけれども、どんな形でも参加できる。その中でODAはどういうふうに係わっていけるかというと、まさにこういうODAミーティングの場ですとか、あるいは大塚さんがやっているような開発教育の活動の中とかにも、外務省の人を呼んでいただければ、幾らでも行くことはできるわけです。
(藤野) 交通費は。
(内田) それは出張で行きます。われわれは高校にも行っていますし、大学にもよく行っていますし、そういうところでいろいろお話しさせていただいて、そこで皆さんの意見をできるだけ吸収するようにということ、まさに今回のこれもそうですけれども、そういう活動をしています。じゃ、税金をうちにもくださいよというふうに言われると、それはやっぱりしかるべきプロセスを経て、ちゃんとやっていただかないといけないので、そういう面においてはむずかしいですけれども、ODAが勝手にやっているわではなくて、こちらも幾らでもニーズがあればお話をして、皆さんの意見を聞きたいと思っていますし、省員がNGOの中にインターンで行っているということもありますし、また学生さんを外務省のほうにインターンとして来ていただくということもやっております。そういう中で、どんどん入っていただけるような窓口というのはこれからももっと増えていくと思いますし、直接的に資金援助となるとむずかしいですけれども、そういう形でいろいろと国民の方と触れ合う機会というのをまずはつくっていくことかなと思っております。
(藤野) さっき一番最初に私の紹介もしていただいたんですけれども、私も一応NGOの職員なんですね。神戸の元町に小さな事務所があって、海外からの青年を研修生という形で呼んでお世話をしている。そのための費用というのは、皆さんからの寄附、会費で何とかやりくりをしているんですね。そういうところに、最近ずっと、JICAさんなり、外務省さんなりからいろんなスキムが出てきて支援してもらえるのかというと、やっぱりちょっとメニューが合わないということがあってもらえないということもあるし、本来、NGOというのは非政府ですから、全部をそっちに寄っ掛かってしまうということによって、ある種の主体性が失われてしまうというのは具合が悪いかなということもあったりして、うちは主たる事業についてはちょっと距離を置くようにやってきたんです。ところが、最近、外務省さんのほうもいろんなメニューが増えてきて、たとえば、外務省NGO相談員というのがあります。たとえば皆さんからの国際協力のこととか、NGO活動に対する質問について、一々、外務省の霞が関のほうまで訪ねなければいけないというのではなくて、地域のところに答える先を委託しましょうという制度、これは5年ぐらいですかね。
(内田) 平成11年からですから、そうですね。
(藤野) というのができたりすると、うちもそれだったら、もらってもいいかなということを思って、させてもらって、いまちょうどいただいて、また逆に皆さんのご相談にも応じるようにしたりもしているんですけれども、いわゆる外務省なり、JICAさんと組むということが一つの連携であるんです。その連携も下手をすると、下請けになってしまったりとかというようなことがあるのでは、NGOの役割いって一体何なの、政府の足らずをただ補えばいいのかといったら、必ずしもそうじゃない。いまODAがたとえば 9,000億円という額があるとしたら、それが本当にいい方向に使われているかということに対して意見を言うことも、NGOの立場であたり、国民、市民の立場であったりしたりということがあると、要するにお金をもらわない関係でも、いろいろと付き合っていくということが必要じゃないのかなと。そういう中に提言的な活動をするNGOなんていうのもあって、きょうの表の中にはそういうところがちょっと出ていませんでしたけれども、要するに、皆さんがODAに対してどういうことを思っているのかということを、一人ではなかなか言えませんから、NGOがある種代弁するというんでしょうか、そういうようなことで調査研究をして、もう少しODAを変えていこうとか、よくしていこうとか、われわれの意見がもう少し組み込めるようにしようとかということをやる団体もあったりして、多分、そういうところが先ほどのネットワークのところに少し機能があるんだと思いますけれども、そういう形も最近起こっているということを少しつけ加えたいというふうに思います。
 一通り、こちら側の人間がさっといまお話をしまして、皆さんのほうにも少しご意見なりご質問をということを最初に申し上げましたので、ここまでのところ、特に外務省さんのほうからのプレゼンテーションを聞いていただいて、ここに来て、聞きたい、質問したい、また意見を言いたいという方がおられましたら、ぜひお手を挙げていただけたらと思いますが、いかがでしょうか。どんなことでもいいかと思いますし、こちらのお2人に対してでも結構でございます。お名前と、どこに属しているか、だれにというのを言ってください。
(質問者A) 京都学院大学法学部4年のAと申します。内田さんにご質問させていただきたく存じます。
 NGOに対する援助金が増えてきているとありましたが、実際、NGOの方々、職員さの給料を見てみると、生活するだけで精一杯という方々もおられますし、たとえば東京のピースウィンズジャパン、パートタイムジョブで時給 800円、東京で言えば、コンビニと変わらないくらいですね。同じくジャパンボランティアセンターでしたら、伺ったときに19万だと話されていました。実際、仕事をするための援助金があっても、その人たちのお給料の面ではもっと改善していくべきじゃないのかなと思うんですね。でないと、NGOに参加しようという積極的な人たちが出てこないと思うんです。お金の面で食べていけないからやめておこうというふうに考えてしまう人も多いんじゃないかなと思うんです。
 次に第2点目なのですが、私は将来、外交官、もしくは国連職員を目指しております。そして、外務省に関してなんですが、内田さんが外務省に入省されて、私、学生のときにこういうことをしておけばよかったなというふうに感じられることがありましたら、お答えください。
 第3点目に、世界の国連職員の卒業大学を見てみると、ハーバード、オックスフォードとありますが、政治学を専攻されている方が多いのですけれども、法律関係からそういうふうな形で出ていくというのは学問として役に立たないのかなというふうに感じたんですが、いかがでしょうか。
(藤野) では、三つ。お願いします。
(内田) まず、1点目のNGOの方のお給料に関しては、これはわれわれも実態はもちろん知っておりまして、さっきもちょっと言いましたが、お給料をもらって専属でやっている人というのは本当にまだまだ少ない。もらっている人でも、もちろんそのお給料というのは、企業並みに出ているところもあるのですが、大抵のところはやっぱり低いということで、それはNGOの側からもよく言われるんです。ただ、さっきNGO支援無償というスキムをご紹介しましたけれども、こちらはプロジェクト支援なので、こういうプロジェクトをやりますという部分の事業費のみを出すのですね。とはいえ、このスキムではプロジェクトに係わっている本部のスタッフの、プロジェクトに係わった分の人件費というのは支援対象になっているんです。だから、そのプロジェクトに係わった部分に関しては、もちろんある程度の制限、上限というのはありますけれども、支援をしているという意味で、単にプロジェクトにかかる物を買うお金だけではなくて、人件費的なソフトの部分も見ているということでは、NGOの方からも大変評価はいただいております。ただ、やっぱり額が低いとか、もっと欲しい、あるいはプロジェクトに充てる分ではなくて、人件費の全体を支援してくださいということはよく言われますけれども、これはわれわれの方針で、開発途上国の自助努力を支援するというのと同じで、NGOも、組織としてNGOが存続していくために必要なお金まで政府がおんぶに抱っこで全部見るということは、NGOの存在意義という観点から言っても全く望ましくない。だから、NGOが組織としてやっていく、組織であり続けるための団体運営に係わる費用というのは、やっぱり自分でやっていくのが、それはわれわれの側にとってだけではなく、NGO自身にとって、長いことこれからやっていくためには必ず必要な資質だと思うんですね。そういう意味から、団体が団体としていられるための支援、資金を、ずうっと政府がそのように支援するというのは本末転倒であるという趣旨から、そういう支援はしておりません。これはちょっとむずかしいかなという気はしますけれども、もちろんプロジェクトに係わるところというのはこれからもより希望に添える形で見ていけたらいいなというふうには思っています。
 それから2点目の外務省に入って、学生のときにやっておけばよかったことですね。これはちょっと何とも言えないですけれども、外務省といっても、経済協力だけやっているわけではもちろんありません。公務員ということもあって、実にいろんな仕事をやらなければいけない。こんなことまでやるのというような、イベント屋みたいな仕事から、本当にいろんなことをしなければならない。つまりこれしかやりたくありませんという人ではちょっとやっていけないですね。あと、海外の人と接するわけですけれども、もちろんわれわれが相手にしているのは外国の方ばかりではなく、日本の国民であったり、マスコミの人であったり、政治家であったり、ほかの省庁であったり、いろんな人と係わって、外務省というのは非常に特殊で、世界に目を向けつつも、でも、やっぱり政府の機関なので国内のことも疎かにできない。つまり足元も見ながら周りも見なければいけないと、やっぱりその辺はバランス感覚だと思うんですけれども、そういうのがちょっと特殊なところかなというふうに思いますので、できるだけ学生のうちに、別に海外に行けばいいというわけでもないので、いろんなものに興味を持って、広い気持ちで、いろんなものに接して、それをただ見るだけではなくて、そのたびに自分はこうこう、こうだという考えを育んでいくというようなことができれば一番いいのではないかなというふうに思います。
 三つ目の法学部についてなんですが、これはちょっと済みませんが、私は専門外なのではっきりお答えできないのですけれども、別にこの学部に行っておけば、多少有利というか、知識的に有利というのはあるかもしれないのですが、別にこの学部に入ったら不利だとか、そういうふうには私は考えたことはなくて、むしろ学生さんに聞いてはいかがかと思いますけれども、国連というのは、やっぱり実務社会なので、入ってすぐにエキスパートとして活動できなければ意味がないところだと思うんですね。ですから、その分のそういう専門的な知識とか、技術というのは、どうしても学力も含めて、かなりハイレベルなものを求められると思いますので、どの学部というよりも、むしろ国連を目指すのであれば、自分の専門で武器になるものは何かというところから、それを磨いて、これを使えば私はこんなにすぐにお役に立てますよというところをアピールするということがむしろ大事ではないかと思います。
(藤野) ありがとうございました。続いてお手を挙げてください。どうぞ。
(質問者B) Bと申します。普通のサラリーマンというか、会社員なんですけれども、ちょっと医療関係のNGOのお手伝いをさせてもらっていて、以前、スタディツアーのようなものにも行かせてもらったことがあります。そこで病院を見学したんですけれども、実際のところ、ODAとかで送られた機器、日本製の、日本の病院でよく見るような
 機器とか、とてもよいものが送られていて、すごいなと思ったんですけれども、その反面、壊れてしまって、放ったらかしになっているというものも見受けられました。この場合、ODAとして機器を直接送られる場合と、NGOさんを通して、NGOがODAの資金を使って購入して病院などに送られるものがあるとは思うんですけれども、実際、外地の現状として、日本製のものだと修理ができない。その国のものだと、すぐ壊れるとか、近隣のちょっと進んだ国のやつだと、壊れても、一応手当はできるのだけれども、お金が結構かかってしまってという実態があるというのをお伺いしました。実際、ODAの資金を提供する場合にそういったことまで考えておられるのかどうかというのと、税金を使われるということで、なかなか審査が厳しくて、直したくてもお金がない。お金を申請しても、なかなかOKにならないということがあったみたいなのですけれども、そういった点はどういうふうにお考えなのかというのをお伺いしたいと思っております。
(藤野) それでは、内田さんですが、担当かどうかよくわかりませんけれども、どうぞ。
(内田) まずメンテナンスや維持管理のところですが、これはODAが供与するときにそこまで考えるのかという点ですけれども、もちろん考えます。維持管理をどういうふうにやるのか、私はいまNGO支援室でやっていますので、その観点からお話ししておりますけれども、普通のODAのときももちろん考えます。特に、NGOの方が、医療機器でも何でもいいんですけれども、たとえば機材を供与しますというふうに言われると、やっぱりこれを供与した後は使い方をどういうふうに教えるのですか、維持管理、メンテナンスというのはどういうふうにするんですか、スペアパーツ、消耗品がどんどん出てくる、これもどういうふうに手当していくんですかということまで必ず確認はすることになっています。この辺は本当にかなりしつこく聞くので、NGOの方も余りにもしつこく聞かれて、辟易するようなこともあるかもしれないんですけれども、本当に昔、ずうっと何十年もやっている昔には、そういう問題というのは絶対にあったと思うんですね。そこは隠してもしようがないので、機材をあげたけれども、壊れてしまったら、もう使えないとか、あるいはあるんだけれども、消耗品がなくなっちゃって使えないとか、そういう問題というのは、当然、いままでもあったと思うんですが、そこは本当にいまの段階ではとても気をつけてやっています。
 たとえばJICAがやっているボランティアなんかの技術協力と組み合わせて、無償資金なんかで機材をあげる、そこにJICAから専門家やボランティアが行って、その使い方等を技術的に教える。あるいはNGOの方の場合でも、機材をわれわれのスキムでやって、現地のNGOのスタッフの方がメンテナンス等についてはセミナーを開く。こういうセミナーのお金ももちろん支援しているので、簡単な修理ができるように教えるとか、そういうことも含めてやっております。それは本当に大事なポイントだと思いますので、そうあるべきだと思いますし、消耗品については、これは使えばなくなるもので、いつまでも、いつまでも、いつまでもお金をあげ続けるということはできないので、やっぱりできることであれば、供与された側が何らかの形で自分たちで消耗品を買えるぐらいになることが一番なんですよね。だから、たとえばいま保健衛生とおっしゃられましたけれども、水の案件だったら、何らかの形で水道料金が徴収できるようにする。そうすれば、そのお金を使ってメンテナンスができるとか、そういうところまで見据えた案件になるように、われわれも考えてやっております。
(藤野) 多分、いまの質問については、別にODAだからどうで、NGOも同じようなことをやる可能性はあるんですよね。要するに、物をあげるとか、機材をあげるということと、いつまでめんどうを見るかということ、できるだけ早く向こうがやれるようにするというところまで含んでやるかどうかというのは、ODAも、NGOも余り関係ないので、そこは考え方とか、プロセスの大事なところじゃないかなと思います。
 あと、お1人ぐらいはいけると思いますが、どうでしょうか。どうぞ。
(質問者C) 美方郡で小学校の教員をしておりますCと言います。
 私自身、十五、六年前に青年海外協力隊でホンジュラスに行かせてもらっていたのでODAというか、JICAには係わりがあるんですけれども、きょうはタウンミーティングということで来させていただきました。タウンミーティングということなので、ODAがいま持っているものや、タウンミーティングと言う限りは、われわれのほうからいろんな意見を、JICAや外務省に対して言えるような機会なのかなと思っているんですよ。これまでも何カ所かでやられたと。兵庫は何回目かというような説明を受けたんですけれども、何か聞いていると、いいことがたくさん前から出てきて、ODAに対してどんな問題点があって、こういうことをやらなければいけないんだとか、こういうことがいま課題で考えているんだけれども、皆さん、どうですかみたいな、そういうことが出てきていないなと。本当は多分、藤野さんあたりがいっぱい感じ取られて、そのあたりをダーッと言ってもらったり、それに対してわれわれはこう考えているんですよ、税金を払っているわれわれとしてはこう考えているんですよと、何かこういうものであるんだろうなと思って期待していたんですが、実はあと3分しかないので、そういう問題に入っていないので、ぜひ聞かせてほしいと思って手を挙げました。
(藤野) 私が答えるのか、よくわかりませんけれども、ぶっちゃけた話をしますと、きょうのタウンミーティングの目的というのが、きょう内田さんがご説明なさったようなこと自体が余り知られていないので、まずそれをわかっていただこうというのが第1の目的でした。それで、よく外務省さんの方が来られると、それに対して、たとえば中国があんなに日本に対して文句ばかり言うのに、なぜODAを出すねんみたいなことが出たりとか、無駄遣いが多いんちゃうかとかということで、どっちかというと、外務省を袋叩きにするような会もままあるんですけれども、そういう会にはしたくないねという事前の打ち合わせがあって、どちらかというと、マイルドになってきているわけなんです。時間も余りありませんし、最後に皆さんから一言ずついただきたいと思いつつ、いませっかくそういうことがありましたので、私のところも20年国際協力をやってきて、外務省さんなり、JICAさんと、最近になってやっとお付き合いが始まったんですね。それまではやっぱり違うんじゃないかという思いがあって、経済というものが余りにも先に立っている開発の考え方ですね。
 だから、住民の生活をよくするというのもお金や、経済の発展があれば、それでかなっていくんじゃないか。そのために道路を引いたり、港をつくったりということも必要だしというようなことの考え方、また教育がということであれば、ともかく学校を建てるんだとか、医療であれば、すぐ病院が要るんだ、機材が要るんだという考え方よりは、もっと人的な部分だったり、ソフトな面であったりということのほうが大事なような気がしているわけなんです。ところが、そういうものに対してはなかなか評価がしにくいとか、形になりにくいとかということもあるし、多分、手間隙かかって、余り成果が上がってこないということもあって、多分、形になるようなものに対してたくさん支援が出るし、もっとぶっちゃけた話をすれば、ODA自身がやはり受注するというところが経済行為になりますから、それをどこが受けるのか、日本の企業が受けるのかとか、そういうようなことを考えていくと、ある程度は経済活動としての存在意義というものもあって、それが多分時間がなくて説明をされませんでしたけれども、ODA大綱の中に、最近は国益という言葉が出てきているわけですけれども、そういうものをどういうふうに理解するのかというときに、いわゆる政府側の言う国益と私たちが考える国益というものが果してどこまで一致しているのかというあたりについては、まだまだ説明をわれわれも十分に受けていないと思います。ですから、皆さんがきょうのこの場で一通り説明を聞かれて、納得できへんということになったら、どんどん外務省もホームページとか、ご意見を承るのがありますので、そういうものに言っていただいたり、先ほど私が申し上げたように、NGOの中にもお金をもらって、外務省さんなり、ODAと同じようなプログラムを展開するNGOばかりではなくて、もっとオールターナティブな別の開発のあり方があるんじゃないのかということであったり、ODAの政策を変えるようなことを進言、提言していくような団体も幾つかありますので、そういったところに皆さんが係わっていくことがODAをよりよくしていくことになるのではないのかなということを、時間のない中で少し申し上げたいと思いますし、これが終わってから、また内田さんとは、控えの間がありますので、そこでじっくりお話をしたいと思いますけれども、またそういうところにもご意見を寄せていただければ結構かなというふうに思います。
(今西) ・・・私の会の中には、インストラクターをつくったら、それでしまいにしたらいいじゃないかというのもいます。いろんな意見があります。私どもが考えているのは、委託を受けている内容だけはきっちりすることが重要なことです。ただ、委託費 100%その中でやっているかというと、そうじゃなくて、私どもの持ち出し分も相当あるわけです。これはODAだけのお金でやれるなんていうのは、こんなことを言ったら怒られますけれども、草の根技術支援事業費のみでは、困難な事業です。その辺は理解していただきたいのと、海外で活動しようとする者は、やはりそれだけの覚悟がなかったらだめと思います。税金を投入するに当たっては、必要最小限のものでやっていくのが基本だと思いますから、それは私どもも十分理解していますし、それに対応できるだけのポテンシャルを持った活動をしていなかったら、参加いたしませんし、冒険もしません。
(藤野) では、大塚さん。
(大塚) 私も今回、タウンミーティングに呼んでいただいて、初めての参加だったので、タウンミーティングというものがどんなものか全くわからず来たんですけれども、私はふだんの活動で、私がイベントやら、セミナーやらを行ってきて接してきた人たちというのは、ここにいま来ている方よりも、国際問題とか、ODAとかに興味のないというか、余り関心のない方が多かったので、きょうはここに来てみて、皆さんの関心の高さにちょっとびっくりしたんですけれども、でも、世の中にはODAに関して、ただ受け身で問題を投げかけてばかりな人もいれば、本当に真剣に考えている人もいて、こういったタウンミーティングというものが、私は今回自分が呼んでもらって知ってしまったので、もっとたくさんこういった活動が盛んになって、皆さんがこういった場があるということを知って積極的に意見をできる場がもっともっと増えていけばと思いました。
(藤野) ありがとうございます。内田さん、先ほどのご意見も含めてどうぞ。
(内田) ご意見をいただきましたが、私はむしろきょうはフロアのほうからもっとビシバシいろいろ出てくるのかなと実は逆に思っていたんですね。と思ったら、意外と皆さんやさしくて、時間もないので、なかなかそこまで突っ込んだ話には至らないんですが、きょうは皆さんができる、国民参加型の国際協力みたいな話が趣旨ということもあって、ご説明させていただいたと。ただ、もちろん私達はこういうことをやっています、こういうことをやっています、だからそれを理解してね、そういう一方方向のものではもちろんありませんし、またきょう、私はすべてお話しできたわけでもありませんので、そこはやっぱりこういう場を設けるということは、つまりそれだけフィードバックをこちらも欲しいと。もちろん批判も結構ですし、励ましも結構ですし、いろんなフィードバックが欲しいという趣旨でやっておりますので、本当は5時間も6時間もあればいいんでしょうが。ここですべての意見を取ることはできませんが、「外務省なんか、話を持っていっても聞いてくれないんじゃないか」というふうなイメージが皆さん結構あるみたいなんですけれども、電話がかかってくれば、ちゃんと対応しますし、来ていただければ、お話もしますし、呼ばれれば行きますし、決してそんな閉じられた世界ではありませんので、そこはきょうだけではなくて、何か意見なり、質問なりありましたら、今後も幾らでもお寄せいただければと思います。
 また、さっき私、説明のときに忘れちゃったんですけれども、民間モニターという制度がありまして、これは民間の方がODAの案件を実際に現地まで見に行ってもらうというスタディツアー的なものを外務省がやっているものです。限られた人数しか行けないんですけれども、実際にODAをどういうふうにやっているのかを見て、問題点も含めて実際に現場を見てもらうというもので、こういうものはこれからどんどんやっていければと思います。われわれも国民の意見を聞きたいというのであれば、逆にこっちからこうですよという事実を公開するということが大事だと思うんですね。ですから、透明性と言われていますけれども、それを実際に見てもらって、実際に皆さんの目で判断してもらうという機会を増やしていくのはとても大事なことだと思っております。それはまだまだ限られた機会ではありますけれども、実際に皆さんもそういうのを見て判断していただければいいなと思います。いろいろといただくご意見の中には、たとえばマスコミなどの限られた情報だけで、一方方向の見解で批判される方も中にはいらっしゃいますし、もちろん的を得ている方もいらっしゃいます。いろいろなんですけれども、できるだけいろんなものを見ていただいて、その上でそれぞれのご意見で判断していただくということが大事かなと思っていますので、その情報公開というのは、こちら側でも結構責任のあることだと思います。ですから、きょうのようなイベントというのはこれからもどんどんやっていければいいなと思っております。きょうは本当にありがとうございました。
(藤野) ということで、お3方から最後のコメントをいただきました。先ほど 9,000億円というお金がODAに使われているということで、いま日本の人口は大体1億ですよね。やっぱり1人頭、税金を納めていない赤ちゃん、子供もいますけれども、ざっと 8,000円なり 9,000円なりというお金をわれわれは出している。それがきちんと使われていくということに対してもう少し興味関心を持って、意見が言えたらいいのかなということを思うわけです。そういうことが世界の平和であったり、本当に困っている方のために使われるということにつながっていってほしいわけです。その辺に対して皆さんが少しでも興味を持てるようなきっかけに、きょうの場がなってくださればうれしいなというふうに思っていますし、さらにそこのところを越えてしまって、もう少し深いところに突っ込んで、ODAをもうちょっとましにしようぜというようなことに対しての会が持てるということになればさらにいいと思いますので、それはまたJICA兵庫さんのほうに頼んだり、また外務省の方に来ていただいて、続編をやりたいというふうに思っております。そのときには私ももうちょっとしゃべりたいと思いますが、きょうは時間が参りましたので、本当にお忙しい中、皆さんにもご来場いただきましてありがとうございました。それからパネリストの今西さんと大塚さん、それからはるばる東京から来られた内田さん、どうもありがとうございました。これにて終了にしたいと思います。 (拍手)
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