参加希望 ODA出前講座

第210回ODA出前講座 開催報告
~東京大学~ 感想(抜粋)

日本が援助先の状況を考慮し,「人間の安全保障」の立場に立って,きめの細かい援助をしていることや,円借款といってもそこには相手国の自助努力を促進する意義があることを聞いて,日本はODAの分野でもしっかり国際貢献を果たしているのだと知り,ODAに対して肯定的な見方を持てるようになりました。やはり,ODAも自分を含め日本国民全体の税金から負担している以上,その税金が有効活用されていると知って安心しましたし,もっとこのことを日本全体に知ってもらえるようにすべきだと感じました。また,地方自治体や民間の中小企業と連携しているという話は,ODAは政府が行うものいう認識があったためとても驚きました。技術協力という日本の得意分野を生かせるという点でも,中小企業を活性化させられるという点でも,素晴らしい取り組みで,もっと推進していくべきだと考えます。
 疑問に思った点なのですが,今新興ドナーとしてインドが台頭しているという話がありましたが,資料によれば日本の円借款拠出額1位がインドとあるのは矛盾があるように思われるのですが,こういった事実はどういうことなのでしょうか?他国を援助できるほどの経済力のあるインドには日本のODAは必要ないのではないかと感じられたのですが,ODAの相手国はいかにして決まるのでしょうか?政治的理由ということだとしたら残念な気がします。
ODAという言葉自体は聞きなれたものでしたが,日本が現在行っている「人間の安全保障」という視点を持った実態には,驚かされました。特にシンガポールで交番制度が導入され,そこから第三国へ制度と技術が広められていること,インドネシアで母子手帳を通じた保健プロジェクトが行われていることにはとても驚きました。ただ資金を援助したり,役に立つだろう施設を短期間の計画で作って,あとは知らぬ顔をしたりするのではなく,もっと「人」に視点を置いて行われる日本のODAを誇らしく思いました。ボランティア=NGOとなってしまう諸外国とは違って,ODAを使った経済協力の一形態としての技術協力はきめ細かなプロジェクトを行うことができるという利点を持ち,さらにこの予算を民間企業にもつけることで,NGOと連携して,より現地の人たちに近い視点を持った意見を取り入れた援助ができるというシステムに賛同します。そして,ODAを社会学的視点,経済学的視点の双方から考え,現地の人々にとって「何が幸せなのか」を考えていく活動に大いに興味を持ちました。
人材育成や技術・知識の移転といった技術協力やNGOや企業,地方自治体との連携など,地域の実情に合った援助と,国益確保や国内問題の解決を両立させうる特色を持っていると知ることができました。印象に残ったのは,ニジェール「みんなの学校プロジェクト」のように,住民が自立して運用できるような形で構築され,また地域のニーズに密着した(細やかな)活動です。そういった援助形態は,日本のODAの優れた特色だと思います。軍事的行動に非常に厳しい制約がある日本が,国際貢献を果たす上で,ODAは貴重な手段だと思います。また,優れた技術を持ち,細やかな援助のできる国として,途上国で生活の基盤を構築し,「人間の安全保障」を推進するうえで重要な役割を果たしうるし,果たすべきだと思いました。
途上国の発展のことも考えつつも,自国の経済的な利益も考えようという,様々なことをバランスよく考慮してODAを行うというのは素晴らしいと思いました。政府の支援を受けて日本国内の中小企業が途上国にいってビジネスを展開して経済発展に貢献するというのは,直接金を現地政府に渡すよりも遥かに費用対効果が大きく,持続性のある支援だと思いました。お金を出すだけでなく,学校や井戸などの管理・運営を現地の人が出来るように支援していくのは,まさに釣った魚をあげるのではなくて,魚の釣り方を教えることに通じるものだと思いました。
 ただ,このような工夫を凝らしたODAを実践していても,周知されてないので多くの日本の企業や地方自治体が,ビジネスとも融合したこのODAに乗ってこないので,いまだにいくらか慈善的な人たちだけが参加している状態だと思いました。もっと広報にも力を入れた方がいいと思います。
先日横浜で開催されたTICAD Vで宣言されたことや本講演からもわかるように,日本は国際協力にオールジャパンで取り組んでいこうとしていることを理解することができました。しかし,日本国民への「国際協力」への理解・関心度は他の先進国に比べて決して高いとは言えないので,広報活動においても,外務省による草の根の活動だけでなく,国民との距離がより近い企業やNGOを含むオールジャパンで取り組むことが更なる効果を上げるのではないだろうか,と感じました。
講義を聞き,二点の疑問が生じました。一つ目は,援助受入国の政府とどのような関係を築いていくのかということです。とりわけ,南アジアなどでは政府の汚職が深刻であると聞きますが,腐敗した政府をどの程度援助のプロセスに介在させるのかが気になりました。二つ目は,地域援助の考え方に関するものです。講義の中では,ODAによる援助が地域住民に歓迎されていると説明されていましたが,ある地域を援助することは他の地域を疎外することであると思います。実際の現場で,どのように現地住民の意見を汲み上げ,バランスをとっているのかを知りたいです。