
「国際協力に関する有識者会議」
これまでの主な論点(中間報告骨子案)
平成19年11月
1.戦略性:選択と集中
- 国民益と国際益のバランス。
- 貧困削減とミレニアム開発目標(MDGs)達成の重要性。
- 戦略性、メッセージ性の向上。基準を明確化し、潜在力を持つ国を重点国として、重点分野に集中的に投入(脆弱国家等支援ニーズのある国へのアプローチは別途必要)。国別・地域別の予算配分の強化。
- ODA予算減少の反転の必要性。
- 戦後復興、東アジアの経験を生かした、成長とインフラ支援の日本モデル。 ⇔ 安易に「アジアの成功をアフリカに」あてはめることはできないとの意見も。
- 経済連携や資源・エネルギー確保のために戦略的に活用する必要性。 ⇔ 一方で、中国のように資源確保と直接に結びつけるべきではない。
- 地球環境問題の重要性。
- 日本の政策アジェンダをグローバルな規範・政策に反映させていくことの重要性。
2.アフリカ
- 2008年以降の対アフリカODAのビジョンを示す必要性。ODA事業量の拡充。
- アフリカ支援戦略を協議・実施するためのマルチ・ステークホルダーのフォーラムの設置。
- アフリカの多様な開発課題に応じた、差別化した支援アプローチ。
- 生産セクターにおける包括的な支援パッケージの必要性。
- アフリカでの事業実施のリスクを緩和し、民間セクター開発を側面支援するファシリティー。
- 南南協力の拡充。環インド洋多極間協力。アフロ・ダイナミズムをアジアの活力に結びつける。
- 貿易支援の必要性。
- 3つの資本(インフラ、人材、制度)の整備、特に制度資本(法制度整備等)が重要。
- 農業生産性向上(緑の革命)の重要性。農業を市場につなげるためのマーケティング、インフラ支援。
- ベトナムの石川プロジェクトのように、政策立案から実施まで指導していくモデル的な支援の必要性。
- 先行発展する国が「成長の極」となるメカニズム。
- クリーン開発メカニズム促進のための基盤整備や能力構築支援。
- アフリカへの知的協力(高等教育支援)。
- アフリカに対する過去の円借款による対外債務増加と構造調整の悪影響の評価。
3.官民連携
- 官民の同盟、市場志向をODAに導入、一社・一NGO支援にもODA投入を可能にする。その際、官民の間で適切な距離を保ちつつ、協力できるルールを作ることが必要。
- CSR支援のためのマッチング、官民パートナーシップ(PPP)、ODAの投融資制度復活。
- 民間企業提案型の案件形成、官民間の適切なルール整備、現地ODAタスクフォースへの民間代表の参加。
- 外務省・新JICAと産業界の懇談会等のチャネル形成。⇔ その際、透明性確保の要請もあり。
4.ODA案件の形成と実施上の課題
- 「三層構造」の役割分担の明確化。民間を入れた「四層構造」の視点。
- 海外経済協力会議でのより大きな議題の議論(予算の縮小傾向の外交的な影響等)、開かれた議論や発信。 ⇔ 戦略を議論するためには透明性確保に限界もあり。
- 現地の人員・体制強化。ODA担当官・日本のコンサルタント会社の質の向上。
- 現地ODAタスクフォースの権限の強化・明確化。
- 上流から下流への一貫性とともに、下流から上流へ問題点・評価がフィードバックされる風通しの良さ。
- 新JICAの下での、有償・無償・技協の連携。
- 新JICAと日本政策金融公庫やNEXI、ODAとその他の資金の連携。外務省と各省の連携。
- NGOとの連携。現地NGO・NPOの知見の活用。
- 国際機関の比較優位を活かした、マルチとバイの連携。
- スキームの簡素化、要望調査の通年化、国際約束の包括化。
- 個別案件の審査・監理における政府と実施機関の役割の重複をなくす。
- 円借款制度の改善(無償との協業、保証、外貨建て、STEP改善、返済金活用)。
- 無償に予備費がないことや、単年度予算に縛られた納期等への対処。
- 現JBICの専門性活用、人材流出防止。
- タイド案件の増加への期待 ⇔ 無償・技協を含むアンタイド化、手続き調和化、財政支援も検討すべきとの意見も。
- 地域住民の主体性確保。国別援助計画作成や案件の評価へのNGOの関与。
- チェック機能の強化(第三者機関によるレビュー、国会の役割、外部有識者による評価の改善)。
5.人材育成
- 国際協力の人材育成のための、高等教育の充実とキャリアパスの検討、人事交流。
- 開発教育の強化。
(参考) 外相の諮問事項
- 国際協力政策の基本的な考え方
- 国際協力への国民参加(国際協力を担う人材の育成や教育など)
- ODA案件の形成と実施上の課題(ODAの効率化・迅速化、官民連携、NGOとの連携等)