(資料1)
平成16年9月
新ODA中期政策論点整理TF
本資料は総合戦略会議における新ODA中期政策に関する議論の前提として論点の整理を行ったものである。論点整理に当たっては、各省庁間で了解した中期政策の主な論点(案)に沿って検討を行った。。
I.ODA中期政策策定にあたっての基本的考え方
1.新ODA大綱で現行中期政策の内容が相当程度盛り込まれたことを受けて、新中期政策においては、大綱の内容を網羅的に取り上げることは避け、むしろ、大綱の内容のうち、我が国の考え方や取り組み等を国内及び国際社会に対してより具体的に示すことが特に必要とされる事項を中心に記述することで、意見が一致した。その際、昨年12月のDAC対日援助審査の勧告や明年秋の国連ミレニアム宣言中間レビュー会合などに示される国際的なODA再重視の傾向も考慮するべきとの意見があった。
2.中期政策は、大綱に基づく政府のコミットメントを示すべきであり、達成すべき目標を設定してその達成状況を評価できるようにすべき旨の意見があった一方、具体的目標の設定には困難が伴うとの指摘があった。しかし、我が国がODAを通じて貢献すべき国際目標としてミレニアム開発目標(以下、MDG)に言及すべきことでは意見が一致した。
3.以上を踏まえた新中期政策の基本的な構成としては、下記(1)~(4)の項目とすることで意見が一致した。特に(2)~(3)の各項目については、それぞれのアプローチに関する記述が重要である点で一致した。
(1) |
「中期政策の位置づけ」
本項に関しては、大綱に明記された我が国ODAの「目的」にあらためて言及すること、中期政策と大綱及び国別援助計画の3者間の関係を説明することで一致した。中期政策の期間については、3~5年程度とし、国内外の情勢に応じて見直すことで意見が一致した。 |
(2) |
「人間の安全保障の視点について」
大綱の「基本方針」の中でも「人間の安全保障の視点」について詳細に記述すべきことで意見が一致した。「人間の安全保障の視点」は新中期政策がODAの具体的実施の際に特に重視する「基本方針」であるが、大綱の記述だけでは国際社会及び国民の理解が十分得られているとは言えず、我が国ODA全般に関わる分野横断的な理念として、我が国の考え方及びアプローチを詳しく説明する必要があるからである。 |
(3) |
「重点課題について」
大綱の4つの重点課題である「貧困削減」、「持続的成長」、「地球規模の問題への取り組み」、「平和の構築」について考え方、アプローチと具体的取り組みについて記述することで一致した。ただし、中期政策では網羅的にすべての問題を取り上げるのではなく、国内外の情勢等を踏まえて、特に「貧困削減」及び「平和構築」を中心的に取り上げることでメリハリのある記述を目指すことで一致した。なお、これら重点課題に対処するためにはODAのみならず様々な手段があるが、中期政策においては、ODAの活用の観点から記述することが適当とされた。 |
(4) |
「効果的及び効率的援助の実施に向けた方策について」
ODA総合戦略会議の設置、ODA大綱の改定等一連のODA改革がODAに対する積極的な評価に繋がってきていることに鑑み、中期政策においても本項目を取り上げることで意見が一致した。 考え方、アプローチ、具体的取り組みという小項目で記述することでも一致した。
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4.地域に関する記述については、特に東アジアやアフリカへの言及をめぐって議論があったが、重点課題に関する記述の中で適宜地域的な特性に言及することとし、独立した項目として設定しないことで意見が一致した。
5.重点課題に関する記述においては、「人間の安全保障」以外の大綱の基本方針である「開発途上国の自助努力支援」、「公平性の確保」、「我が国の経験と知見の活用」、「国際社会における協調と連携」も踏まえた内容とし、必要に応じて記述する事が適当とされた。
II.「人間の安全保障」の視点について
1.考え方
(1) |
「人間の安全保障」について、「人間の安全保障」とは、個々の人間を中心に据えて、脅威にさらされている人々やコミュニティーの保護と能力強化を通じ、個人の生存・生活・尊厳に対する取組を強化しようという考えである旨の説明を盛り込むことで意見が一致した。 |
(2) |
「人間の安全保障」の視点が、政策の立案からプログラムやプロジェクトの実施に至るあらゆる局面で重視されるべき基本的理念であることで意見が一致した。 |
(3) |
「人間の安全保障」は人間中心の視点を導入する考え方であり、紛争・平和と開発をつなぐ概念と捉えることで意見が一致した。 |
(4) |
「人間の安全保障」の概念については、様々な解釈があり、人道目的で国家を越えて個人や地域社会に直接介入するといった考え方を包含している国もあり、これらの国とわが国が推進する「人間の安全保障」を混同している向きもあるが、そのような解釈の相違に深く立ち入ることは適当ではなく、開発援助に同概念をどのように反映するかという観点から記述することで一致した。
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2.アプローチ
(1) |
「人間の安全保障」の視点から、人々に確実に届く支援を目指し、また、人々を援助の対象としてのみならず、将来の「開発の担い手」と捉え、そのために人々の自立を重視すべきことで意見が一致した。 |
(2) |
社会的に弱い立場にある人々、生命、生活及び尊厳が危機に晒されている人々、あるいはその可能性の高い人々への裨益を重視すべきことで意見が一致した。 |
(3) |
「政府」(中央政府及び地方政府)だけでなく「地域社会・人々」レベルにも重点を置くこと、また、人づくり、社会づくりを通じて、相手国当該国・地域社会の持続的発展を図るべきことで意見が一致した。 |
(4) |
人々の抱える問題の構造を分析した上で、問題解決のために分野横断的に取り組むべきことで意見が一致した。 |
(5) |
インフラ関連の支援にあたっても「人間の安全保障」の視点を踏まえるべきことで意見が一致した。 |
(6) |
人間の安全保障に対する取り組みを分かりやすく説明するために、中期政策の附属資料として具体的事例を盛り込むべきとの提案があった。
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III.重点課題
1.貧困削減
(1) |
考え方
(イ) |
貧困の概念については経済的側面のみならず社会的側面も重要である点で意見が一致した。一方、貧困の具体的な定義については、DACの貧困削減ガイドラインの定義が分かりにくいとの指摘があり、日本の考え方を示すような定義にすべきであるとの意見が出された。 |
(ロ) |
MDGsの達成に向けて我が国が積極的に貢献する旨明記すべきことで意見が一致した。 |
(ハ) |
人間の安全保障の視点に基づき、貧困層を「将来の開発の担い手」として捉え、能力向上を図ること、また、ジェンダーの視点にも十分配慮すべきことが指摘された。
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(ニ) |
貧困削減における経済成長の重要性及び成長により貧困層が裨益し不利益を被らないことが不可欠である点について意見の一致があった。 |
(ホ) |
各国の発展段階や個別事情に応じて異なる対応が必要である旨明記することで一致した。 |
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(2) |
アプローチ
(イ) |
貧困の諸要因に効果的に対処するために分野横断的な取り組みが必要であり、また、有償資金協力、無償資金協力、技術協力の各スキームや国際機関を活用した支援を効果的に組み合わせるべき旨指摘された。 |
(ロ) |
人々やコミュニティーのもつ能力を強化し、貧困層に対する自立を支援することが重要であり、そのために貧困層に対する直接的な支援として、教育・保健等の基礎的な社会サービスの強化や職業訓練等を通じた能力向上を目指すともに、自然災害や経済危機等の突然の脅威からの保護を支援すべきことが指摘された。 |
(ハ) |
貧困層がその能力を発揮できるような制度環境整備のために民主化支援やマクロ経済安定と行政能力向上を支援すべきことが指摘された。 |
(ニ) |
都市部の貧困削減のための取り組み(中小企業育成、インフラ整備等)とともに村落地域の貧困削減のための取り組み(農業生産性向上、農業加工業等の育成、インフラ整備等)をそれぞれの特性に配慮しつつ取り上げるべきと指摘された。同時に、各国の事情は様々であり、普遍的なアプローチの記述は困難であるため、詳細は国別援助計画の中で扱うべきことで意見が一致した。 |
(ホ) |
インフラ整備に関して、環境社会配慮を十分行うこと、貧困層への利益の均霑確保、インフラの持続可能性に配慮することを明記すべきことで一致した。 |
(ヘ) |
環境劣化により貧困層は特に深刻な影響を受けることから、持続可能な開発の視点を重視すべきとの指摘があった。 |
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(3) |
具体的取り組み
(イ) |
貧困削減のための具体的取り組みとして、教育、保健医療、HIV/エイズ、水と衛生、農業/農村開発、民間セクター、環境保全などの項目を取り上げるべきことで概ね一致した。ただし、セクター別に取り組みを整理すべきか、あるいは、課題別(飢餓、基礎教育の普及、感染症、安全な水へのアクセス等)に取り組みを整理すべきかについては、結論は出なかった。 |
(ロ) |
市場や保健医療サービスにアクセスする道路等インフラ整備が極めて重要であるとの意見があった。また、文化的・宗教的制約が市場や社会サービスへのアクセスの障害となっている場合もあるとの指摘があった。 |
(ハ) |
HIV/AIDSに対しては予防や保健医療面での取り組みにとどまらず、感染者の雇用支援や孤児への対処等にも言及すべきとの指摘があった。 |
(ニ) |
都市部に雇用の受け皿がないにもかかわらず、農村地域の厳しい生活環境から脱出するために都市への人口流入がスラム化を引き起していることは問題であり、村落地域における農業や農村工業の振興等を通じた自営も含めた雇用創出の重要性が指摘された。 |
(ホ) |
具体的取り組みの評価の観点を踏まえて、MDGsの関連目標を記述することで意見が一致した。
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2.持続的成長
(1) |
考え方
「貧困削減」、「地球的規模の問題」や「平和の構築」といったODAの「重点課題」に対処して開発援助の効果を確保するためには持続的成長が不可欠であり、また、途上国の発展段階に応じた取り組みが重要であることで意見が一致した。また、持続的成長においても、脅威にさらされる人々やコミュニティーの保護や強化につながることを目的とし、またその視点からの十分な配慮が必要であることを明示すべきであるという意見があった。 |
(2) |
アプローチ
(イ) |
投資促進、経済活動の円滑化のためにODAによるインフラ整備が重要であること、公正で自由な経済活動の促進のために政策立案や制度整備を支援すべきこと、産業発展を担う官民の人材育成を支援すべきこと、インフラ整備や技術協力により産業育成を支援すべきことが指摘された。民間セクターに対する技術協力等においては、我が国の経験と知見の活用が重要であるとの意見があった。 |
(ロ) |
特に北東アジア、ASEANや南アジア等、アジアを念頭において、域内格差是正のためにクロスボーダー・インフラを含む広域協力を通じて経済・社会の結びつきを強化して持続的成長を図るべきとの指摘があった。この関連でインフラ整備に当たっては特に関係国における環境社会面への配慮を十分行った上で進めるべきとの意見があった。 |
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(3) |
具体的取り組み
(イ) |
持続的な成長のためには、民間セクターが重要な役割を果たすことから、投資促進、経済活動の円滑化のためにODAを活用することが必要であり、交通網や通信網の整備・構築といった経済社会基盤(インフラ)の整備を通じ、人、物、情報の流れを円滑化し、民間セクターの活動を促進させることを明記することで意見が一致した。 |
(ロ) |
経済活動にかかる法制度も含めた様々な制度の整備を通じ、公正で自由な経済活動を促進すること、また、ガバナンス向上のための支援によって、民主的で公正な社会造り実現に向けた努力を支援する必要性について意見が一致した。 |
(ハ) |
日本の経済開発の経験に照らしても、経済の持続的成長のためには国の経済・社会開発や科学技術振興に必要な官民の人材の育成が不可欠であり、そのような人材育成を積極的に支援すべきであるとの共通認識が得られた。 |
(ニ) |
持続的成長のためには基幹産業の育成が重要であり、このためにインフラ整備、技術移転等を行うことが重要という点で意見が一致した。また、我が国の経験と知見を活用した農林水産業や同業以外の裾野産業・中小企業の育成が重要であるという共通認識が得られた。 |
(ホ) |
経済圏全体の貿易・投資拡大及び経済圏を構成する加盟国間の域内格差を是正するための広域協力が重要であるという指摘があった。そのためにも、ASEANなど域内の経済的社会的結びつきを強化し、国際競争力を強化して経済成長を達成するとともに、域内の低所得国の貧困削減を支援するためにクロスボーダーインフラを支援する必要があるという意見もあった。 |
(へ) |
開発途上国にとってODA以外の資金の重要性に鑑み、民間資金及びODA以外の公的資金(OOF)との役割分担と連携を重視すべきとの意見があった。 |
(ト) |
成長過程で顕在化する環境問題への対処にも十分配慮することが重要であるという点で意見が一致した。 |
(チ) |
具体的取り組みの分野がインフラ整備、政策立案・制度整備、人づくり支援、産業育成、経済連携促進のための支援など多岐にわたることから、これらすべてを列挙することは避け、むしろ、「アプローチ」における記述でできる限り戦略とともに具体的取り組みを示すべきことで意見が一致した。
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3.地球的規模の問題への取り組み
(1) |
考え方
(イ) |
大綱がすでに列挙した地球規模の問題すべてを本項の下で書き下すことは避けて、地球規模の問題の中でも、特に貧困削減と持続的成長を達成する上でも基本的に重要な意義を有する環境問題を取り上げるべきことについて意見が一致した。 |
(ロ) |
途上国における経済成長に伴う深刻な環境汚染や人口増加・貧困を背景とした自然環境の劣化の急速な進行などは、途上国の人々の生活の脅威となっており、我が国は、貧困削減や持続的成長を達成する上で基本的に重要な意義を有する環境問題に対して、ODAを活用して積極的に取り組むことについて明記することで意見が一致した。 |
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(2) |
アプローチ
(イ) |
環境問題全般に関わる基本的アプローチとして、我が国の「持続可能な開発のための環境保全イニシアティブ」の基本方針を踏まえ、以下の点について盛り込むことが適当とされた。
(a) |
開発途上国の能力向上
環境にかかる組織、関係者の総合能力を高めるため、環境に関する技術の修得等を含めた人づくりを推進するとともに、制度構築及び機材整備などに対する協力を推進する。 |
(b) |
開発援助への環境要素の取り込み
あらゆる開発計画及び案件プログラムにおいて環境保全の要素を取り込み、貧困削減と環境保全が統合されるとともに、適切な環境配慮がされた取組を支援することによって、環境問題が改善に向かうよう努力すること。 |
(c) |
我が国の先導的な働きかけ
政策対話、各種フォーラムや適切な協力方法を通じて途上国に対して環境意識の向上を図り、環境問題に対する取り組みを奨励すること。 |
(d) |
多様な形態の協力の効果的組み合わせ
多様な形態の協力を効果的に組み合わせて総合的・包括的枠組による協力を実施すること。 |
(e) |
わが国の経験と科学技術の活用
我が国の地方自治体、民間企業等の幅広い主体に蓄積されている経験や科学技術を活用すること。
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(ロ) |
環境保護と地域住民の生活の両立を図るべきこと、参加型アプローチの重視を明記すべきと意見があった。
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(3) |
具体的取り組み
一般的には、地球温暖化対策、環境汚染対策、自然環境保全といった項目毎に以下のような具体的取り組みを記述することで意見が一致した。また、環境社会配慮ガイドラインの確実な運用とその公開についても記述すべきであるとの意見があった。
(イ) |
地球温暖化対策については、(1)京都イニシアティブに基づく支援を継続すること、(2)途上国に対し温暖化対策に係る技術の移転・普及を図ること、(3)科学的、社会的、制度的側面を含めた温暖化問題への途上国の対処能力の向上を図ることを記述する。 |
(ロ) |
環境汚染対策については、(1)都市部での公害対策及び生活環境改善(大気汚染、水質汚濁、廃棄物処理等)への支援の重点化、(2)実効的な規制と技術的資金的支援の組み合わせ、(3)政策対話を行い、途上国の規制の実効性を確認しながら実施すること等を記述する。 |
(ハ) |
自然環境保全については、(1)自然環境保全に係る活動とともに住民の貧困削減に向けた支援を検討すること、(2)生物多様性国家戦略に基づき、世界レベルの生物多様性の保全と持続可能な利用の促進を図るための取組みを行うこと、(3)開発途上国の自然保護区等の保全管理、森林管理、砂漠化防止及び自然資源管理に対する支援を行うことを記述する。
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4.平和の構築
(1) |
考え方
平和構築は紛争予防から紛争の早期終結、紛争後の緊急人道援助及び復興支援までを網羅する包括的な概念であり、平和構築支援の目的は紛争の発生及び再発を予防し、紛争時・直後の各種の困難を緩和し、長期にわたって安定的な発展を達成することにあることを明記することで一致した。 |
(2) |
アプローチ
(イ) |
紛争予防から紛争後の各段階に応じて、予防のための支援、緊急人道支援、復興支援、中長期的な開発支援を一貫したアプローチに基づき実施すべきことで意見が一致した。 |
(ロ) |
紛争予防を重視し、紛争予防にも十分留意した援助を行うことを盛り込むことで意見が一致した。 |
(ハ) |
人間の安全保障を実現しつつ、緊急人道支援から復興支援へのスムーズな移行が必要であることで一致した。紛争下あるいは紛争直後における案件形成は様々な制約から迅速な対応には難しい面があるところ、迅速な対応のためには世銀・UNDP等の国際機関と緊密に連携することも重要であるとの指摘があった。 |
(ニ) |
紛争において特に脆弱な女性や児童などへ特別の配慮を盛り込むことで一致した。 |
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(3) |
具体的取組について
(イ) |
これまでの我が国の取組例を紹介し、具体像が目に浮かぶような説明が必要であると指摘された。 |
(ロ) |
取り上げるべき項目として、ニーズ把握のための調査、緊急復興計画の策定、紛争予防/再発防止に資する援助、紛争時/紛争直後の緊急人道援助、復興支援、評価の実施、実施体制の強化とすることについては、意見が一致した。特に国内体制の整備や人材育成は重要であると指摘された。 |
(ハ) |
NGOの役割及びNGOとの連携についても十分記述すべきであるという点で意見が一致した。例えば、コンフリクト・センシティブな考え方の導入にあたっては、NGOに一定程度の経験の蓄積があり、現場で経験のあるNGOの意見を十分聞くべきであるとの意見があった。
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IV.「効果的及び効率的援助の実施に向けた方策について」
1.考え方
政府全体として一体性と一貫性をもってODAを効率的、効果的に実施するため、大綱では「援助政策の立案及び実施体制」の改善・強化について様々な事項が言及されている。多くの事項は「現地機能の強化」に集約されることから、中期政策では「現地機能の強化」のためにとるべき措置を取り上げることで意見は概ね一致した。
2.効果的及び効率的援助の実施に向けた取組みについて
(1) |
世銀、UNDP、DFID等他の援助機関ではかなり現地事務所の権限委譲が進んでいることに鑑み、現地機能の強化と右を担保する方法について、相当踏み込んだ意思表明をすべきであるとの意見で概ね一致した。 |
(2) |
現地の体制を強化するためには、在外公館を中心に実施機関であるJICA、JBICと混成部隊を形成し、当該国の現状や援助協調について高い専門性及び豊富な経験を有する人材をアドバイザーとして適宜活用しつつ、一貫性のある援助を実施すべく、お互いの能力を補う体制が整備されるべきという点で意見が一致した。また、国際機関や諸外国の援助機関を含めた現地援助コミュニティーとの連携、現地のNGO、学術機関等の関係者との連携についてもその重要性について一致した。なお、その関連で、現地ODAタスクフォースの人材の能力向上のため、研修の充実等にも言及すべきという意見があった。 |
(3) |
現地の役割として透明性の強化について言及すべきであるという意見がある一方で、案件毎の透明性を重視しすぎると、効率性が落ちる結果にもなりかねず、透明性と効率性のバランスが重要であるとの指摘もあった。 |
(4) |
透明性を向上するためには、ホームページ等を活用した情報提供が重要だが、終わったものだけを公開するのみならず、途中経過や今後に議論すべき課題に関する情報も公開すべきであるとの意見もあった。 |
(5) |
現地機能強化との関連で、「評価の充実」は大綱で「効果的実施のために必要な事項」として挙げられているが、中期政策においてすぐに方針を示すのではなく、まずは現地機能の一つである現地における評価の具体的成果が出るのを待ってから具体的に検討しても良いのではないかという意見も出された。 |
(6) |
スキーム間の横断的な連携についてより具体的に言及することで一致した。
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(7) |
現地タスクフォースのイメージをよりわかりやすく紹介するため、ベトナムを含めて効果的にかつ効率的に機能しているODAタスクフォースの事例をコラムなどで記載すべきとの意見もあった。
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