(資料7)
平成16年2月
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3月末の閣議報告を目指し、現在、白書案について関係各府省庁と調整中。 |
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今回の白書においては、昨年改定されたODA大綱を特集し、ODA大綱の改定の背景や新大綱の内容を最近の事例を交えつつ解説。 |
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また、例年の白書にならい、最近の援助を巡る国際的潮流や我が国の考え方、2002年度の援助実績についても概括的に報告。 |
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編集にあたっては、在外公館からの意見聴取を行ったほか、政府が一体となってODAに取り組んでいる姿をODA白書にも反映するため、関係府省、援助実施機関の実績もできるだけ掲載するよう心がけた。 |
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白書の構成とポイント
第I部 「ODA大綱」の改定と日本の新たな取組
第1章 日本のODAを取り巻く状況とODA大綱の改定
第1節 岐路に立つ日本のODA
- 厳しい経済・財政状況やODAに対する国民の厳しい考え方や、ODA予算の減少傾向など、ODAを取り巻く国内の情勢を説明。これに対する政府のODA改革の動きについても改めて説明。
第2節 ODAを取り巻く国際的潮流の変化
- 平和の構築や人間の安全保障など新しい開発課題、考え方が出現しつつあること、貧困削減などの共通の課題に対応するため国際社会が取組を強化していること、NGO、地方公共団体、大学、研究機関、企業といった援助主体の多様化や現地での援助協調を基調とした援助手法の多様化が進んできたことなど、援助を巡る最近の国際的潮流について説明。
第3節 ODA大綱改定のプロセス
- 以上のような内外情勢の変化を踏まえ、行われたODA大綱の改定プロセスについて説明。ODA総合戦略会議における論点整理や政府部内における検討に加え、有識者、実施機関、NGO、経済界との数多くの意見交換、インターネット等を通じたパブリックコメント募集や公聴会の実施など幅広い議論を行ったことに言及。
第4節 改定されたODA大綱のポイント
- 改定されたODA大綱のポイントをまとめて説明するとともに、大綱の改定を踏まえた今後のODA改革の方向性(援助の戦略性の向上、援助実施体制の改善、援助の進め方の改善など)について言及。
第2章 新ODA大綱の概説と最近の実施状況
第1節 理念
- 大綱の記述に従い、目的、基本方針、重点課題、重点地域それぞれについて、順次内容を解説。その際、具体例をあげつつ、最近の援助の実施状況についても説明。
- 目的(なぜODAを行うのか)については、改定されたODA大綱において「国際社会の平和と発展に貢献し、これを通じて我が国の安全と繁栄の確保に資すること」とされたことについて、開発課題が山積していること、世界の主要国としての日本の責務、相互依存関係の進展、平和を希求する日本にとってのODA、日本の安全と繁栄の確保とODA、など様々な観点から説明。
- 基本方針(どのようにODAを行うのか)については、開発途上国の自助努力支援の考え方、人間の安全保障の視点、環境や社会面に与える影響、男女共同参画の視点などを含む公平性の確保、日本の経験と知見の活用、南南協力なども含む国際社会における連携と協調について説明。
- 重点課題(どのような課題に対してODAを行うのか)については、大綱に示された順に、日本の考え方と取組状況を解説。貧困削減では、ミレニアム開発目標に関連する教育、保健医療・福祉、水と衛生や農業といった分野に重点的に取り組むこと、持続的成長では、アジアにおける経験も踏まえつつ、経済社会基盤(インフラ)の整備、政策立案、整備制度、人づくりへの協力などを重視していること、貿易・投資との有機的な連携にも努めることに言及。地球的規模の問題では、環境問題、人口問題、食料、エネルギー、災害、感染症、テロや麻薬・組織犯罪等について、そして、平和の構築については、最近のイラク、アフガニスタン、スリランカにおける日本の貢献について詳細に説明。
- 重点地域(どのような地域・国に対してODAを行うのか)については、ASEAN諸国、中国、アフリカ(TICAD IIIの開催を含む)などの具体例に触れつつ、日本の考え方を説明。
第2節 援助実施の原則
- 旧大綱の援助実施の原則が基本的に維持された背景にある考え方について説明するとともに、改めて原則の適用にあたっての基本的考え方を解説。
- さらに、援助実施の原則の適用が問題となった最近の代表的な事例(イエメン、カンボジア、スーダン、ミャンマー)について具体的に説明。
第3節 援助政策の立案及び実施体制等
- 大綱の構成に従い、援助政策の立案及び実施体制、国民参加の拡大、効果的実施のために必要な事項について順次説明。個々の項目ごとに、最近のODA改革の実施状況とともに考え方を説明。
- 援助政策の立案及び実施体制については、一貫性のある援助政策の立案(中期政策や国別援助計画)、関係府省間の連携、政府と実施機関との連携、政策協議の強化、現地機能の強化(現地ODAタスクフォースの活動についての説明を含む)、内外の援助関係者との連携(NGOとの連携を含む)それぞれの項目ごとに考え方を説明。
- 国民参加の拡大については、国民各層の広範な参加(国別援助計画の策定の仕方やシニア海外ボランティア派遣事業などを含む)、人材育成と開発研究(大学・研究機関との連携を含む)、開発教育、情報公開と広報(ODA民間モニターなどを含む)それぞれの項目ごとに具体例とともに考え方を説明。
- 効果的実施のために必要な事項については、評価の充実、適正な手続きの確保、不正・腐敗の防止、援助関係者の安全確保それぞれの項目ごとに考え方を説明。
- なお、最後にODA大綱の実施状況に関する報告が毎年の白書において明らかにされることとなったことに関連し、今回の白書では大綱改訂後間もないことや、第I部の中で、最近の実施状況に触れながら説明していることを踏まえ、独立のセクションではなく、第I部全体として最近の実施状況についても報告することとした旨を説明。
第II部 開発問題を巡る国際的な援助潮流
第1章 最近の主要な国際会議の成果と日本の対応
- 開発全般について議論したG8エビアン・サミット、開発資金に関する国連総会ハイレベル対話を取り上げ、また、主としてミレニアム開発目標(MDGS)の達成を念頭に行われた分野別の国際会議(教育、保健、水と衛生分野のもの)を取り上げて、その概要と成果を概観することにより、これら会議で繰り返し議論された開発上の主な論点を紹介し、日本の対応についても説明。なお、この関連で、世界エイズ・結核・マラリア対策基金や、第3回世界水フォーラムなどについても説明。
第2章 開発問題を巡る主要な論点と日本の主張
- 第1章で取り上げた国際会議に加え、DACや世銀、IMFの年次総会などで行われている議論を含め、開発をめぐる最近の主な論点について、日本の考え方とともに解説。
第1節 開発問題を巡る主要な論点と日本の基本的な考え方
- 開発問題に関し国際的に議論されている最近の主要な論点を概観し、その内、重要な開発課題の範囲、経済成長を通じた貧困削減の必要性の2点について日本の考え方を説明。
第2節 主な個別論点ごとの日本の主張・貢献
- 貧困削減と経済成長・インフラの役割、MDGSの達成状況に関するモニタリング、開発資金の確保(海外直接投資、貿易と開発との連携などを含む)、貧困削減戦略文書とMDGS、国際社会における援助効果の向上に向けた協調と連携(世銀、UNDP、UNICEFとの対話・連携の現状、財政支援などの援助手法の問題、手続きの調和化を含む)、政策の一貫性、債務問題への取組という7つの論点について、最近の国際的議論の状況と日本の考え方を解説。
第II部 開発問題を巡る国際的な援助潮流
- 例年の白書にならい、日本の2002年度の実績について、課題、地域別に解説。援助手法・実施・運営上の留意に関する取組についても説明。