ODAとは? ODA改革

「パキスタン国別援助計画」
策定作業の方針(案)

(資料3)

平島成望
2003/5/12


1. 作業体制と手順

(1) 東京サイドのタースクフォース(TT)を、平島の他に、専門家2名(下村恭民法政大学教授、広瀬崇子専修大学教授)、ODA総合戦略会議から青山温子名古屋大学教授をもって構成する。また、外務省、JICA,JBICから責任者および事務担当者を各1名づつ選定し、TT事務局とする。

(2) イスラマバード(パキスタン)サイドに、TTの補助組織として、タースク・フォース(IT)を組織する。ITは、イスラマバードの日本大使館、JICA,JBIC事務所の担当者をもって構成する。

(3) TTの作業形態は、TTのガイダンスを得つつ、TT事務局で素案を作成し、TT本会議で検討する。

2. 作業プロセス (予定)

(1) 現在最終段階にあるJICA国別援助研究会報告書を参考にITで作成される原案を、TTで検討し、本件策定のガイドラインを作成する。策定に当たっては、関係省庁からヒアリングを行う。

(2) 同ガイドラインに基づき、イスラマバードにてワークショップを開催する。 パキスタン政府、国際機関、現地NGO,関係企業等の参加を得て、幅広く意見を徴収する。ワークショップにはTT関係者も参加する。TT関係者は、必要に応じてパキスタン政府関係者、学識経験者、IT関係者と協議・調整を行い、第1次案の作成を準備する。

(3) 第1次案を基にして、東京でワークショップを開催する。 国際機関、関係企業、JETRO、学識経験者、NGO/NPO,等の参加を得て、幅広く意見を徴収する。ワークショップでの議論を踏まえ、第2次案を作成し、IT関係者およびパキスタン政府関係者と協議・調整する。

(4) 第2次案について関係各省庁と協議し、最終案を作成する。

(5) なお、上記過程において、様々な国民層からの意見を反映させるために、随時メール等で意見を受けることとする。

(6) 作成された最終案は、ODA総合戦略会議に報告し、検討に付される。


3. パキスタン国別援助計画策定の方向性

(1) パキスタン援助の重要性

1) OECDメンバーとしての国際的責務。
2) 地勢学的重要性:カシミール問題を媒介とする(パキスタン-中国)と(インド-ロシア)、Durand Lineをめぐるパキスタンとアフガニスタン、テロ問題をめぐるとムスリム諸国とアメリカ、パキスタンとアラブ産油国・中央アジアムスリム国。
3) 国家の分裂や崩壊の結果想定される世界的危機への認識。
4) 日本と同規模の人口を持つ穏健なムスリム国家。
5) 根強い親日感情 (核実験における経済制裁後もこの感情は不変)。


(2) JICA国別援助計画報告書の構成 (案)

第1部 総論
 第1章 パキスタンに対する基本認識
 第2章 わが国の対パキスタン援助のあり方
 第3章 パキスタンの現状と課題(第2部の要約)

第2部 現状分析
 第1章 開発の政治環境
 (1)外交
 (2)内政
 第2章 基層社会の構造
 (1)民族、部族、言語の地域構造
 (2)人口、資源、産業の地域構造
 (3)基層社会の権力構造 
 第3章 人間開発の進展と課題
 (1)教育
 (2)保健医療における公平性
 第4章 経済開発の推移と課題
 (1)マクロ・ファンダメンタルズの推移
 (2)経済成長と貧困・雇用
 (3)農業セクターの役割
 (4)工業セクターの開発と課題
 第5章 インフラストラクチャーの開発と課題
 (1)推理・灌漑
 (2)電力
 (3)運輸
 (4)上下水道
 第6章 パキスタンの中・長期開発の方向性と課題
    -社会的モニタリング能力の構築と強化-
 (1)持続的社会発展への基礎条件
  (a)Law & Orderの堅持と政策の整合性・継続性。
  (b)人間開発と生産要素の移動を阻害する身分階層性の克服。
  (c)社会的モニタリング能力の構築と強化。
 (2)人間開発の方向性
  (a)教育:ジェンダー・バイアスの解消と中間層の育成。
  (b)保険・医療の公平性と人間安全保障。
 (3)経済開発の方向性
  (a)農業成長:貧困削減と雇用吸収力の増強。
  (b)産業構造の高度化とブラック・エコノミーの統御。
  (c)経済インフラ整備の方向性。
 (4)地域開発の方向性
  (a)地域開発と社会セクター。
  (b)地域開発とインフラ投資の方向性。
  (c)個性ある地域経済センターの育成:カラチとペシャーワル。

第3部
 第1章 技術協力と無償資金協力の実績と評価と課題
 第2章 有償資金協力の実績と評価と課題
 第3章 他の主要ドナー国・機関およびNGOの援助動向
 第4章 セクター別援助動向および今後の展望
 第5章 わが国援助関係者による対パキスタン援助の評価と課題

巻末資料
 (1)質問状(日本側援助関係者対象)
 (2)調査結果の詳細
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