ODAとは? ODA改革

「第2次ODA改革懇談会」(第12回会合の概要)

「第2次ODA改革懇談会」事務局

本懇談会では、ODA改革に関する幅広いご意見を募集しております。
ご意見は、odakaikaku@mofa.go.jp又は03-5776-2083(FAX)までお寄せ下さい。

1.日時

 平成13年12月18日(火)10:00~12:00

2.場所

 外務省667号会議室

3.議題

 各府省庁間の連携、タスクフォースの設置

4.出席者

 懇談会メンバー(五百籏頭委員、上島委員、小島朋之委員、弓削委員は欠席)。関係各省からの報告者(秋元・外務省経済協力局政策課長、玉木・財務省国際局開発政策課長、伊地知・農林水産省国際部国際協力課長、桑山・経済産業省貿易経済協力局通商金融・経済協力課長)。外務省から山口政務官、西田経済協力局長他が出席。関係府省庁、JICA(国際協力事業団)及びJBIC(国際協力銀行)がオブザーバー参加。

5.議論の概要

 「各府省庁間の連携」について、外務省、財務省、農林水産省、経済産業省より報告を受けた後、意見交換が行われた。主な意見は以下の通り。

(1)各省からの報告等

  • 先般の行政改革においては、中央省庁等改革基本法(平成13年1月6日施行)において、外務省がODAに関する全体的な企画等について「政府全体を通ずる調整の中核としての機能を担う」旨規定された。
  • 一般に言われているほど、各府省庁のODAはバラバラに行われているわけではない。外務省はODAの相当部分を政策的にコントロールしているか、或いは関与している。一般会計予算ベースでは、政府全体のODA予算約1兆円のうち各省庁の行っている技術協力は500億円強を占めるが、これについても関係省庁連絡会議等を通じ、協議、情報交換等を行っている。
  • 主要被援助国に対するODA供与の指針となる国別援助計画について、外務省は関係府省庁と協議の上策定しており、我が国のODAは同計画に基づき供与されている。また、政府開発援助関係府省庁連絡協議会、技術協力関係府省連絡会議、ODA関係省庁評価部門連絡会議のような場を通じて、府省庁間の連携強化を図っている。
  • 米国では援助庁(USAID)の下に援助が一本化されているわけではない。米国援助の中で、USAIDが自らの予算として有しているのは約3割、実施面でみても7割強である。また、USAID長官は国務長官の指導の下に服する。
  • 世銀等の国際開発金融機関に関しては、財務省と外務省との連携は近年極めてよくなっており、密接に協議している。例えば、融資方針等の理事会審議に際しては、財務省は外務省と対処方針を協議している。また国際開発協会等の増資交渉や世銀・IMF開発委員会には財務省以外にも外務省からも参加している。
  • 世銀等の日本特別基金において、全ての案件承認の際には財務省と外務省とで協議しているとともに、その広報活動などでも両省で協力している。財務省所管の世銀の日本特別基金と外務省所管のUNDPの同種基金を用いて共同プロジェクトを行うこともある。人事面でも、世銀と欧州開銀の日本理事室には外務省からも人が派遣されている。
  • 世界エイズ保健基金に向けたサミット・プロセスで、関係国際機関が多岐にわたるため、外務省を中心に財務省、厚生労働省が連携し、拠出金も外務省と財務省とで分担している。
  • 今回の対パキスタン支援でも、難民支援、債務問題、国際開発金融機関からの支援、IMFからの支援、日本特別基金からの支援など、外務省と財務省が連携し、多角的な手段を動員している。
  • 国際開発金融機関を通じた援助というのは、基本的にはマルチの機関にある知見を使うのが前提であり、機関の援助方針や規則に合致したプロジェクトでなければならない。そうはいっても、各国と同様、日本としても日本の人材や知見を活かすことのできるポーションを作りたいと考えており、様々な工夫をしている。例えば、日本人職員や日本のコンサルタントが関与しているプログラムに対して、日本特別基金を通じた支援を行っている。マルチにおける日本のプレゼンスを高めていくというのは、当然の共通認識としてある。
  • 農林水産省のODA事業においては、開発課題や今後の協力方向性の調査の際に在外公館やJICA事務所やJICA専門家と意見交換を行うなどしている。また、人材育成や国際機関を通じた協力などでも、外務省と必要な調整を行っている。
  • 外務省が行う農林水産省分野の協力においては、プロジェクト技術協力や開発調査などの主要技術協力スキームについては、全ての案件の実施の可否等について外務省は農林水産省と協議している。円借款においても、案件提示から交換公文提示までの過程で必要な協議がなされている。これらの過程で農林水産省の有する専門的・技術的知見が活用されるとともに、国内政策・外交政策との整合が図られることとなっている。また、食糧援助、食糧増産援助等他のスキームについても、円借款と同様の必要な協議の実施による連携の強化が重要である。
  • 経済産業省では、例えばインドネシア中小企業政策支援やタイ裾野産業支援などでは、外務省や財務省とも連携しつつ、幅広い協力分野に応じて、省内関係部局、JICA、政府系金融機関、JETROなどと協力しながら、各種スキームを組み合わせて支援している。
  • 例えばインドネシアなど主要な被援助国への日本としての援助内容を固める際には、経済協力政策協議に各省庁が参加することで連携を図っている。
  • 連携を図るためには、会議という形をとっていなくとも、日々関係部局が課長から担当官までの各レベルで連絡を取り合っているのが実情である。
  • 各種分野で各省間の連携は行われているものの、いくつかの分野では更なる連携が求められる。
  • 案件は、途上国と日本との関係省庁の専門家同士の対話から発掘されることもあれば、二国間外交政策を行っている外務省部局や在外公館から発案されることや、外務省を通じて先方政府から知らされる場合もあり、発掘方法はまちまちである。
  • ODAの指令塔機能強化の必要性は理解できるものの、実務面からいえば、ODA政策は、貿易政策、金融政策など幅広い政策と密接にかかわっており、各種政策との調整はいずれにせよ必要となる。

(2)委員からの意見

  • ODAと国内政策との整合性という側面があまりにも大きくなってしまうのは問題ではないか。ODA全体を考えた場合、国民参加や途上国との連携といった側面が薄れてしまうのではないか。
  • 関係省庁連絡会議等を通じて各省庁の専門的知見を活用することは重要だが、民間にも相当の知見がある。国民参加とのすり合わせも重要な課題ではないか。
  • 日本特別基金の使い方に関連して、EUの場合にも同様の基金があるが、欧州に本部がある団体を通じてしかアプリケーションの申請が出来ないというルールがある。日本の場合も、日本のNGOや開発機関の日本人職員などが関係しているプロジェクトにしか使えないというルールを設けてもいいはず。
  • ベトナム北部で日本のNGOと世銀との連携がテストケースとして進められているが、この場合は世銀が自らプロジェクトを作って、それにNGOが乗るという形で進められたので、NGOが乗りにくい部分があった。NGO側を考えると、今後は、案件形成段階から日本のNGOが関与できるような仕組みにしてほしい。
  • 対アフリカ支援を担当する専門家を派遣といっても、JICAの専門家は、セクターワイドアプローチの議論などについていけなく、言葉が出来ない。また権限もないので、技術はあっても現場ではほかの国にかなわないことがある。

6.次回会合の日程等

(1)次回会合(第13回会合)は、1月15日(火)に開催し、最終報告の骨子について議論を行う予定。

(2)最終報告起草のためのタスクフォースを立ち上げ、次回会合までに骨子を作成する予定。

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