ODAとは? 援助政策

対インドネシア国別援助計画(中間報告)

1.対インドネシア援助の目的・理念

ASEANとの共存共栄:東アジア経済圏の中で、経済危機から立ち直りつつあるASEAN諸国は、自らの国造り、社会造りを進めるとともに、ASEANとして経済・社会、政治・安全保障等の広範な分野で地域的統合を順次進めつつある。我が国としてこれまで以上にASEANとの関係を強化し、ASEANとの共存共栄を推進していくことは、我が国対アジア外交の基本である
東アジア全体の平和と繁栄:インドネシアは国土、人口、資源等のいずれの面からもASEAN最大の国であり、またASEANの中核を担う国である。更に世界最大のイスラム人口を抱える国であり、マラッカ海峡を始めとする国際航海上重要な海上交通路を擁する。インドネシアの政治的安定と経済的発展は東アジア全体の平和と繁栄に不可欠である。
相互依存関係:インドネシアと我が国とは幅広い国民レベルでの長きに亘る友好関係を有している。また、両国は、貿易・投資等の面で密接な相互依存関係を有している。即ち、インドネシアは我が国にとり、エネルギーを中心とする重要な天然資源供給源であり、同時に、重要な市場・製造拠点でもある。

2.インドネシアの開発に関わる状況

経済全般の概況:インドネシア経済は、スハルト政権下で、経済の自由化、外国資本への門戸開放、工業化と食糧増産を重視する開発政策、インフレ・財政赤字を抑制するマクロ均衡政策が推進され、天然資源を活用しつつ過度の依存からの脱却にも成功し、「東アジアの奇跡」と称される高成長を記録した。その結果、目覚しい経済発展に伴い多くの社会問題の改善にも成功を収めた。
 アジア通貨危機では深刻な影響を被ったが、内外の環境変化に加え、IMFとの経済改革プログラムに沿ったマクロ経済の安定、金融システムの改革を着実に推進した結果、2000年以降は、実質経済成長、為替ともに比較的安定して推移している。このようなマクロ経済の安定の下で、インドネシア政府は2003年末でIMFプログラムを卒業し、インドネシア経済は危機からの脱出を内外に示すこととなった。
 しかしながら、経済の実態においては依然として投資が低迷し消費が主導している。また、現状の成長率(3~4%)は失業の改善や貧困の軽減には不十分なレベルにある。このような状態が長引けば、近い将来に経済は失速し、深刻な社会問題が再び生じることとなるとの警戒する見方が大勢を占めている。

インドネシア経済の問題点

  • 投資環境の問題点:「投資の危機」
    (1) 不透明な司法制度
    (2) 政府の汚職・腐敗
    (3) 治安状況
    (4) 地方分権による混乱
    (5) 不明確な労働制度
    (6) インフラの未整備
    (7) 投資促進政策の遅れ
  • 企業部門、銀行部門の問題点:「銀行セクターの機能不全」
    銀行部門の信用仲介機能が依然として機能不全にある。
  • 政府財政:「財政の持続可能性の確保」
    多額の公的債務(対外債務と国債)の適正管理と歳入強化が課題である。
国際経済環境の変化: 「中国の台頭」

3.インドネシアの開発課題

(1)開発課題

 マクロ経済の安定を達成したインドネシアにとり、当面の最重要課題は、同国経済を現在の民間消費に支えられた経済成長から民間投資主導の持続的成長の軌道に乗せていくことである。また、この経済成長を貧困削減に繋げていくことである。

(イ)短期的課題
 マクロ経済の安定の維持と財政の持続可能性の確保、金融セクターの改革、及び企業部門改革(国営企業の民営化を含む)。
(ロ)中期的課題
 民間投資主導の持続的な経済成長を実現して雇用を創出する。
 劣化・不足している経済インフラの整備、裾野産業・中小企業の育成、経済関連の法制度整備。政府行政部門及び司法(特に商業法廷)におけるガバナンスの改革・改善。
(ハ)長期的課題
 経済成長による貧困削減の実現、政府部門全般(行政、司法、立法、中央=地方関係)における透明性の高いガバナンス構造の構築、それらを通じた社会的発展による民主的で公正な社会造り。
(ニ)全ての時間的フレームワークに関わる課題
 民主的で公正な社会造りの前提となる国家の統一性の維持、環境の保全、教育の拡充、紛争地域の平和構築と安定確保等。

(2)開発課題を追求するに際しての問題点

  • インドネシア政府としての包括的かつ具体的な中期的開発戦略が明確でない。
  • インドネシアの開発課題の中で、投資環境整備に対する対応が欠落している。
  • 政府の開発計画の企画・調整機能が十全とはいえない。

4.我が国援助の方向性

(1)我が国援助の主要課題

(2)対インドネシア援助の重点分野

 我が国にとっての対インドネシア援助の持つ意義に鑑み、「民間主導の持続的な成長」、「民主的で公正な社会造り」、及び「平和と安定」のための支援を重点分野とし、それぞれのセクターの下で「選択と集中」の原則に則り我が国が重視すべきものを絞り、これを重点事項とする。

(イ)「民間主導の持続的な成長」実現のための支援
 財政の持続可能性の確保、投資環境改善のための経済インフラ整備、裾野産業・中小企業振興、経済諸制度整備、金融セクター改革等
(ロ)「民主的で公正な社会造り」のための支援
 貧困削減(農漁村開発による雇用機会の創出及び所得・福祉の向上、教育及び保健・医療などの公共サービスの向上等)、ガバナンス改革(司法改革・警察改革、地方分権支援等)、環境保全等
(ハ)「平和と安定」のための支援
 アチェ、マルク、パプア等の平和構築・復興支援、治安確保(テロ対策、海賊対策・海上保安体制の強化)等


(3)各援助形態の効果的活用及び連携の強化

(4)ニーズに適した援助手法

(5)政策協議の一層の強化

5.援助実施における留意点

(1)パートナーシップの重視

(2)実施・管理の強化及び実施の促進

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