ODA評価年次報告書2025 | 外務省

ODA評価年次報告書2025

コラム

OECD-DAC開発評価ネットワーク(EvalNet)と我が国の協力

1983年に開発評価ネットワーク(EvalNet)new windowは、経済協力開発機構開発援助委員会(OECD-DAC)の下部組織として設置されました。パリのOECD本部にて開催される定例会合において、各国の評価への取組を促進し開発援助の効果の促進を図るため、51の国及び国際機関(日本を含むDACメンバー33か国、パートナー7か国、11の国際機関)が参加し、評価制度や評価結果等に関するベストプラクティスを共有し、評価の方法の改善等について議論しています。

パリのOECD本部で開催されるEvalNet定例会合の様子の写真。

パリのOECD本部で開催されるEvalNet定例会合の様子

 

1991年に同ネットワークの前身が採択し、2019年に改定したDAC評価基準(妥当性(Relevance)、整合性(Coherence)、有効性(Effectiveness)、インパクト(Impact)、効率性=(Efficiency)、持続性(Sustainability))は、世界の開発援助機関の多くで評価の基礎として活用されています。外務省のODA評価においても、「開発の視点からの評価」では、DAC評価基準を踏まえた評価基準(政策の妥当性、結果の有効性、プロセスの適切性)を設定しています。DAC新評価基準の和文翻訳new windowは、日本評価学会と協力して作成しています。また、同基準の現場での適用に関する指針をまとめたDAC評価ガイダンスの和文翻訳new windowを日本評価学会の監修の下作成しています。

2023年にはEvalNet設立40周年を記念して、DACノンメンバーを特別オブザーバーとして招待したセッションがOECDで開催され、62の組織から150人以上の参加者が出席しました。参加者は、過去の評価を振り返り、評価の活用に投資することの重要性や、説明責任という用語には評価結果から学び活用することへの説明責任も含まれること、また、評価プロセスにパートナー国を積極的に関与させることの重要性について同意しました。さらに、参加者からは重要な政策への影響力を高めるためにリアルタイム評価手法を探求したいという希望が表明されました。また、技術の進歩が政策形成へのエビデンスのフィードバックを加速するのに役立つと思われ、AIが評価プロセスを効率化できる方法を探ることへの関心が示されました。

我が国は、本ネットワーク定例会合において毎回のように議題に上がる、被援助国の評価能力の向上を重視しており、2001年から外務省が開催している「ODA評価ワークショップ」をベストプラクティスとして共有しています。また、定例会合において、外務省が被援助国政府・機関などに、我が国の保健、交通、防災分野などの開発プログラム又はプロジェクトの評価について依頼して実施している取組について紹介しています。さらにEvalNet事務局からの求めに応じて、我が国が実施した第三者評価の事例について情報を提供しているほか、定例会合において他のメンバーとの情報交換を行っています。例えば、令和6年度に外務省が実施した新型コロナウィルス感染症対策支援の評価に関し、同事務局が新型コロナウィルス関連支援に関する国際評価連合(GEC)と合同で行っている評価の参考にしたいとして協力依頼があったため、データの提供など積極的に関与しており、国際評価連合による合同評価の報告書new windowでも日本の支援の事例が言及されています。今後も同ネットワークの活動の充実、発展のために積極的に協力をしていきます。

2025年2月に開催された第42回定例会合出席者の集合写真。

2025年2月に開催された第42回定例会合出席者の集合写真
© OECD / DAC Network on Development Evaluation, 2025.

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