ODAとは? ODA改革

無償資金協力実施適正会議(平成22年度第3回会合)議事録

 7月13日,平成22年度第三回無償資金協力実施適正会議が開催されたところ,概要以下のとおり(出席者別添1議題別添2)。

1. 冒頭,外務省から今般発表されたODAのあり方に関する検討の結果について説明を行った。今次検討結果を踏まえ,本無償資金協力実施適正会議は今回で終了し,ODAに対するより一層の説明責任を果たす観点から無償資金協力のみならず円借款も含むODAの案件の適正な形成を確保する「ODA適正会議」の設置を検討したい旨説明を行った。

(委員)

 来年度概算要求について,各省一律で前年度比10%削減との報道もある。ODA予算が更に大幅に削減されうる状況にあっても,実現可能な内容となっているのか。

(外務省)

 今次あり方に関する検討は,かかる国内環境も念頭に置いて行われている。国内の経済・財政状況が厳しい中,より戦略的・効果的な援助,また国民の理解と支持を得るための取組を進めて行く所存である。

(委員)

 あり方に関する検討にて設立が提唱されている「開発協力フォーラム(仮称)」の創設の位置づけについて伺いたい。

(外務省)

 具体的な内容は検討中なるも,NGOや企業等関係者が集まってその時々の開発協力の課題等について議論し,ODAに対する国民参加の促進を図る機会となろう。

(委員)

 現地の事情をよく理解しているNGOとの連携強化は,援助のより効率的実施の上で望ましいと考える。

(外務省)

 NGOとは今次あり方に関する検討を取りまとめる過程でもよく協議を行ってきており,このような関係を継続していきたい。

(委員)

 本無償資金協力実施適正会議について,「ODA適正会議」に改組されるが,これまで本会議では個別案件に関する議論となっていた。個々の案件自体の重要性は理解できるが,限られた無償資金協力全体の中で,より効果の高いものを優先させることが必要と考える。

(委員)

 無償資金協力実施適正会議が立ち上がったそもそもの経緯は,案件形成において第3者の関与を確保することにあったと考える。「ODA適正会議」は円借款や技術協力も対象になると理解している。従って,今次のODA改革を踏まえ,今後取り組んでいくと思われる,国別援助計画の改訂やプログラム・アプローチの導入等の仕組み・制度面についても様々な立場の方々から意見を聴取する場としてはどうか。

(委員)

 個別案件の適正性を議論するにあたっては,もう少し事前のタイミングで会議の場を設けることができれば,意見を反映しやすいのではないか。

(委員)

 「ODA適正会議」の創設においては,そもそも外務省が同会議で何を求めるのか,まずはその点を明確にした上で,メンバーや枠組みを検討すべきと考える。

(外務省)

 個別案件の形成・実施・評価・改善という「PDCA」サイクルをこれまで以上に徹底する必要があると考えており,「ODA適正会議」についても,右サイクルの中での位置づけを明確にして,評価とリンクする形で実施していきたい。

2.外務省から平成22年度国際協力重点方針について概要説明を行った。

(委員)

 ODA予算が縮減傾向にある中,アフガニスタンに対する支援を重点的に行うことにより,その分他の地域への支援を削減せざるを得なくなると理解する。アフガニスタン支援の開発効果も明確にしていく必要がある。

(委員)

 アフガニスタンに対する復興支援については,きちんと開発効果を検証しながら実施すべき。

3.外務省から7月の一括閣議請議候補案件に係る概要説明を行った。

(委員)

 職業訓練センターの建設計画について,当該国では資材価格が高騰していると聞いており,積算に問題はないのか。また,給水計画について送水管等の整備が予定されているが,市内には相当程度パイプが敷設されているのではないか。

(外務省)

 事前の調査において,最近の治安状況及び物価上昇を踏まえ,積算を慎重に行っている。また,給水計画について,既に水道が敷設されている地域は確かに水道管も十分に行き渡っているが,送水管等が不足している地域を対象としている。

(委員)

 食糧援助については,昨年度の対象国と同じ国も見受けられるが,同一国にどの程度継続的に実施しているのか。

(外務省)

 対象国については,国際機関等が集計している客観的なデータに基づき選定している。

4.JICAからコンサルタント契約状況,入札実施状況について説明を行った。

(委員)

 ODAのあり方に関する検討ペーパーにて,入札不調を避けるため小型案件を避ける旨の記述があるが,無償資金協力の案件は小型化しているのか。また,案件の小型化は入札率と関係するのか。

外務省JICA

 一般的に小型化が進んでいることは事実である。
 事業規模が小さくなれば全体事業費も小さくなる。しかしながら,事業規模の大小に拘らず要する管理費等は実態としてさほど変わらないことから,その分が利益に影響することで案件としての魅力度が低下するのではないかと考察される。


別添1

出席者

  1. 委員(50音順)
    1. 大野 泉 政策研究大学院大学教授
    2. 小川 英治 一橋大学大学院教授
    3. 片山 信彦 ワールド・ビジョン・ジャパン
    4. 敷田 稔 財団法人 アジア刑政財団理事長
    5. 杉下 恒夫 開発ジャーナリスト
    6. 深田 烝治 元会計検査院事務総長
  2. 外務省
    7. 牛尾 滋 国際協力局開発協力総括課長
    8. 岩間 敏之 国際協力局事業管理室 審査役
    9. 高橋 了 国際協力局開発協力総括課 課長補佐
    10. 足立 秀彰  国際協力局開発協力総括課 課長補佐
    11. 魚井 雄一朗  国際協力局開発協力総括課 課長補佐
    12. 村樫 真奈美  広報文化交流部文化交流課 課長補佐
  3. 国際協力機構
    13. 小西 淳文  経済基盤開発部長
    14. 中村 明  企画部次長
    15. 上垣 素行  資金協力支援部計画・調整課長

別添2

無償資金協力実施適正会議(平成22年度第3回)

日時:平成22年7月13日(火曜日)15時00分~16時30分
場所:外務省 南886会議室

議題:
  1. ODAのあり方に関する検討(同会議の今後のあり方)
  2. 平成22年度国際協力重点方針
  3. 7月閣議請議候補案件概要説明
  4. コンサルタント契約状況,入札実施状況(JICA)

以上

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