ODAとは? ODA改革

無償資金協力実施適正会議(平成15年度第2回会合)(議事要旨)

 5月9日、無償資金協力実施適正会議が開催されたところ、議事要旨は以下の通り。

1.無償資金協力課長より、イラク人道支援の現状、紛争予防・平和構築無償の概要等について説明。

2.JICA無償資金協力部長より、コンサルタント契約の締結状況や入札の実施状況について説明。

3.5月閣議請議案件に係る主な質疑応答。

(1) 委員より、井戸の掘削については、マスタープランがきちんと出来ていて、かつ適切な深さまで掘削しないと、十分に採水出来ないことや、水路で水がうまく流れないことがあり、今回決定される案件については、それらの点について十分に調査しているのかとの質問があった(無償資金協力課長及び無償資金協力課員より、詳細設計等十分に調査は行っており、掘削深度も最適値に設定していること、またそれ以前に開発調査にて広範な調査を行っていること等説明)。

(2) 委員より、自分自身は、教育・保健等、住民により近いセクターについては技術協力とのパッケージ化が重要と考えているが、今回の案件の中には技術協力と連携しているものとそうでないものが見受けられるところ、どのような基準で連携の有無を決定しているかとの質問があった(無償資金協力課長より、技術協力との連携については、何か一つの基準というよりは無償案件形成の様々な段階で常に技協との連携を意識することが重要と認識しており、連携の重要性を課内でも強調していることや、現場で連携することも現実的かつ重要であると認識していると説明)。

(3) 委員より、コストの適切性の判断の基準はどのようになっているのかとの質問があった(無償資金協力課長より、日本として恥ずかしくないものを作ることが大事と認識していると説明、更にJICA無償資金協力部長より、日本タイドでもあり、国内の公共事業に準じた方法で積算している等説明)。

(4) 委員より、日本タイドであるが故に質は高いが価格も高いということであれば、部分的にでもアンタイド化を検討すべきではないかとの質問があった(無償資金協力課長より、コストの問題は極めて重要な問題と考えているが、簡単な解決策はなく、またアンタイド化は無償資金協力の制度の根幹に係る問題であることから、十分な議論と研究が必要と認識していると説明)。

(5) 委員より、イラク戦争に係る報道等を見ていると、米国関係者からナショナル・インタレストという言葉をよく聞くが、ナショナル・インタレストすなわち国益について、我が国はどう考えているのか、より端的に言えば、開発調査など上流の部分にて、我が国から積極的に国益を打ち出していくべきではないかとの質問があった(無償資金協力課長より、一外務省員として国益とは何かについて日々考えているがODAの文脈ではその表現方法が難しい、しかし現地への裨益と日本の国益は基本的に矛盾しないものであり、相手国の開発に最も良く役立つことにより日本が信頼される援助を目指すべきと認識していると説明、更に無償資金協力課員より、ODAについては近年、現地での報道は充実しているが、日本国内では批判的な記事が目立つ傾向があり、国益を追求していても国民に対するパブリケーションが非常に難しいと実感、と説明)。

(6) 委員より、紛争予防・平和構築などについては、アジア重視など、地域性は意識されているのかとの質問があった(無償資金協力課長より、例えばスリランカ和平を積極的に支援しているように、外交政策を踏まえ地域性は常に意識していると説明)。

(7) 委員より、ミャンマーは軍事政権だが、そこに対する無償の供与は、二国間外交政策の全体像と一貫性があるのか、また、財務省はミャンマーに対する通貨協力に取り組んでいると聞いたことがあるか、このような動きについてコンシステンシーの観点からどう評価するか(無償資金協力課長より、ミャンマーについては省内担当局のイニシアチブのもと、政策的一貫性については特に気を遣っていること、また対ミャンマー外交においては「開かれたミャンマー経済」を目指す経済改革に対する支援が重要と位置づけられており、財務省の動きはその一環であると評価出来る、と説明)。

(8) 委員より、イラクについては政権が崩壊している中で各種の支援が進行しているようだが、イラク政府からの二国間援助の要請は出てくるのか(無償資金協力課長より、当面の間は国際機関及びNGO等を通じてイラク国民を支援する旨説明)。
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