ODAとは? ODA改革

無償資金協力実施適正会議(平成21年度第6回会合)議事録

 2月19日、平成21年度第六回無償資金協力実施適正会議が開催されたところ、主なやりとり以下のとおり(出席者別添1議題別添2)。

1.冒頭、外務省からODAのあり方に関する検討状況について説明を行った。

(委員)

 平成23年度予算の概算要求時期である今年の夏頃を目途にODAについての方針を出すとのことであるが、近くに行政刷新会議の第2回目が開催されるとの報道もある。なるべく早い段階で国民の支持を得ておく必要がある。

(委員)

 現在のODA大綱は、諸外国との関係においても我が国ODAのあり方の基本となっている。個人的には、かかる大原則は一定期間は維持されるべきものと考える。今回のODA見直しに係る議論は、昨年行われた行政刷新会議の事業仕分けの評価結果を反映しているのか。

(外務省)

 岡田外務大臣が記者会見の場で述べているが、ODAについては、国民の理解と支持を更に得るための見直しを行っている。NGO、経済界、有識者等の知見も活用したいと考えている。また、評価の徹底など事業仕分けの評価結果はよく踏まえていく所存。

(委員)

 国際協力に関する理念を打ち出すとのことであるが、MDGsの達成等の国際的な共通のアジェンダをベースにしながら、日本独自のカラーを打ち出すということか。また、日本のODAにおいては、「自助努力」「要請主義」が基本とされ、概念としては賛成するが、途上国側からの要請だけではなく、日本から途上国側に計画の策定についての主張を行っていくべきではないか。

(外務省)

 国際協力の理念については、国際社会における共通目標を踏まえ、我が国としてのスタンスを打ち出すことになる。国民の理解と支持を得るためにも、国際協力をより効果的・効率的に実施するべく、改善策を検討する。

2. 外務省から無償資金協力に係る平成21年度第二次補正予算及び平成22年度概算要求について説明を行った。

(委員)

 事業仕分けにおいて、ハコモノ無償を1/3削減すべしとの評価を得ているが、右評価を良しとしていくのか。途上国の現場では、日本による基礎インフラ整備支援が高く評価されている。

(外務省)

 事業仕分けにおいても、ハコモノ無償について、削減したから全部やめるということではなく、ハードな部分からソフトな部分へ、また人への支援を重視する、このような方針で改めて見直しを行った上で、ハコモノ無償を続けていただきたいとの評価であった。岡田外務大臣も述べているとおり、かかる評価結果を十分に踏まえ、実施していく。

3.外務省から2月及び3月閣議請議予定案件に係る概要説明を行った。

(委員)

 上水道整備に係る案件概要によれば、配水ポンプ・モーター等の配水関連機材及び漏水箇所をモニタリングするための機材供与となっている。漏水箇所を改修しないかぎり具体的な効果は発現しないわけだが、実際の補修作業は先方負担か。また、貧困農民支援(2KR)案件としてトラクターや精米機など農業機械の供与を計画しているが、対象国にはそもそも天水に頼った農業を余儀なくされている国もあり、かかる国の作物収穫量の拡大を図るためにはむしろ灌漑などを通じた支援を行うべきではないのか。

(外務省)

 調査及び先方政府との協議の結果、水道管等の補修作業は先方が自身で実施可能であり、負担することとなっている。貧困農民支援(2KR)による支援は、我が国他の支援や他ドナーによる支援との調整の下で行われる。

(委員)

 太陽光パネルを供与する案件については、供与対象国・地域の日照条件などを確認しているのか。

(委員)

 太陽光パネルを供与する案件は、日本企業による事業となるのか。

(外務省)

 事前の調査を十分に行ってきており、太陽光パネルを活用できるサイトを選定している。また、本件は、経済対策の一環とした補正予算による案件である。

(委員)

 母子保健改善のために蘇生関連機材を供与する計画について、供与予定数と裨益人口数が異なっているが、蘇生関連機材とは具体的に何か

(外務省)

 簡易な児童用蘇生器のほか、チューブ、医薬品などが挙げられ、向こう複数年に亘り必要となる数を供与する計画となっている。

4.JICAからコンサルタント契約状況、入札実施状況について説明を行った。 競争性を高めるための各種取組を進めており、その一環としてより多くの企業の参加を得るための地方セミナーを実施する旨の説明を行った。

(委員)

 競争性が高まったとの説明であったが、入札に参加した企業数は増えているのか。特定の企業ばかりが参加するのではなく、横の広がりが重要。

(委員)

 地方企業をもっと取り込んで行く試みは評価できる。ただし、海外における事業経験のない企業に対しては必要なアドバイスを与えるなど何らかの手当てを考えるのはどうか。

(JICA)

 海外における事業経験のない企業については、いきなり元請けとして事業を行うことはいろいろな面で困難だと思われる。まずは共同企業体の構成員や下請けとして参加して頂くことも一つの方法ではないかと考える。


別添1

出席者

  1. 委員(50音順)
    1. 大野 泉 政策研究大学院大学教授
    2. 小川 英治 一橋大学大学院教授
    3. 片山 信彦 ワールド・ビジョン・ジャパン
    4. 敷田 稔 (財)アジア刑政財団理事長
    5. 杉下 恒夫 開発ジャーナリスト、元茨城大学教授
    6. 深田 烝治 元会計検査院事務総長
  2. 外務省
    7. 牛尾 滋 国際協力局開発協力総括課長
    8. 佐藤 勝 国際協力局事業管理室長
    9. 高橋 了 国際協力局開発協力総括課 課長補佐
    10. 足立 秀彰  国際協力局開発協力総括課 課長補佐
    11. 魚井 雄一朗 国際協力局開発協力総括課 課長補佐
    12. 村樫 真奈美 広報文化交流部文化交流課 課長補佐
  3. 国際協力機構
    13. 小西 淳文 経済基盤開発部長
    14. 植嶋 卓巳 企画部次長
    15. 上垣 素行 資金協力支援部計画・調整課長

別添2

無償資金協力実施適正会議(平成21年度第6回)

日時:平成22年2月19日(金曜日)12時00分~14時00分
場所:外務省 南886会議室

議題:
  1. ODAのあり方に関する検討状況
  2. 無償資金協力に係る平成21年度二次補正予算
    及び平成22年度当初予算政府案
  3. 2月・3月閣議請議候補案件概要説明
  4. コンサルタント契約状況、入札実施状況

以上

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