5月15日、無償資金協力実施適正会議(次回の無償一括閣議請議案件の事前説明等)が開催されたところ、主なやりとり概要以下のとおり(出席者別添1、議題別添2)。
(委員)
外務省が実施したいと考える無償資金協力の案件のうち、現状予算では実際にどの程度の割合で実施できるのか。
(委員)
ハイチに対するノン・プロジェクト無償資金協力(ノン・プロ無償)の供与やアンティグア・バーブーダへの水産無償が予定されているが、ODAの選択と集中を図っている現在、中南米に新たな事業を展開するのは、政府の方向性と逆行するのではないか。国際社会の責務であるとしても、他のドナー諸国に任せて良い部分もあるのではないか。
(委員)
ノン・プロ無償は外務省実施分として外交的な考慮がより強く働くものであり、これに対し、プロジェクト型無償資金協力については、中・長期的な開発課題が念頭に置かれているものと理解している。「選択と集中」の議論は、無償資金協力だけを見て考えるのではなく、有償資金協力や技術協力などODA全体で進めていく必要がある。
(外務省)
無償資金協力予算全体は、ここ数年でピーク時の6割程度の規模にまで削減されていることから、手当てできる事業の割合が減っていることは確か。また「選択と集中」を図る観点から、例えば、中南米諸国に対しての無償資金協力は他地域と比較しても減少している。ハイチについては、国連安保理非常任理事国としての責務を果たすという側面もある。アンティグア・バーブーダについては、捕鯨や漁業資源確保との関わりがある。
(委員)
道路や施設などの設計基準、現地仕様に準拠しているのか、それとも日本での仕様を用いているのか。また、フィリピン「カミギン島防災復旧計画」について、橋長40メートルの橋梁建設の効果として、通過速度の向上を挙げることに疑問を感じる。
(委員)
ガーナの道路案件について、本道路はかつて有償資金協力により支援を行っている。自分は実際にこの道路を視察したことがあるが相当痛んでいた。先方政府の維持管理能力に問題があるのではないか。今回、過去の有償資金協力に加えて、多額な無償資金協力を供与するとのことだが、維持管理の問題への対応は十分検討されているのか。
(外務省・JICA)
設計基準については、現地の設計基準で十分な場合はそれを使用し、不十分な場合は日本の設計基準を参考に設計するなど、案件ごとに検討している、フィリピン「カミギン島防災復旧計画」については、現在の橋梁に重大な損傷があり、通行に多くの時間がかかっているため、短い橋梁でも橋としての機能が著しく阻害されているため、安全性について定量的な評価が可能になったものである、ガーナの道路案件については調査時に維持管理が行われていることを確認している。
(委員)
第5回島サミットにおけるフィジー政府への対応及び緊急無償を実施したスリランカの現政府に対する支援の在り方について説明頂きたい。
(委員)
今後、無償資金協力、有償資金協力、技術協力の連携についても議論したい。報じられている国際協力局の再編についても承知したい。
(委員)
「国際協力に関する有識者会議」の最終覚書(2009年2月)において国別協力課の機能強化を提言したが、これが活かされることを期待している。
(外務省)
島サミットは首脳会合であるがフィジーのみ事務レベルの招待に止める等の対応をとっており、スリランカに対しては人道上必要なものに支援を行っている。3スキームの連携の取り組みについても随時御紹介していきたい。機構改革についても次回以降御説明したい。
別添1
別添2
日時:平成21年5月15日(金曜日)12時00分~14時00分
場所:外務省南396会議室
以上