ODAとは? ODA改革

無償資金協力実施適正会議(平成20年度第6回会合)議事録

 2月13日、無償資金協力実施適正会議(次回の無償一括閣議請議案件の事前説明等)が開催されたところ、概要以下のとおり(出席者別添1議題別添2)。

1. 2月閣議請議案件概要説明 (外務省より冒頭説明)

<質疑>

(委員)

 今回請議を行う案件形成は、JICAとどのように協力したのか。

(外務省)

 一般プロジェクト無償はこれまでもJICAが事前調査を行ってきた。従来のプロジェクト形成調査と無償資金協力の準備調査まで実施する協力準備調査による案件が形成されるのは、平成21年度の後半から平成22年度にかけてであろう。外務省とJICAの連絡を密にしていきたい。

(委員)

 ウガンダの「稲研究・研修センター建設計画」については、近隣の東アフリカ諸国からも研修生を呼ぶのか。専門家派遣に加えて何か取り組みを行っているのか。

(外務省)

 ウガンダでは米の需要が増えてきており、日本人の専門家も活躍している。近隣国からの研修生の参加も想定している。また農業技術を普及することが重要であるが、地方役場、ラジオ放送を通じた普及活動を行っているところである。

(委員)

 スーダンの職業訓練センター拡張計画のカリキュラムはどのようなものか、また、治安等実施に困難の伴う案件であると考えるが、昨今のコスト削減との関係でどのように積算を行っているのか。

(外務省)

 治安のリスクに関しては、多少割高にはなるが警備員への手当などを含んだ積算額となっているが、平和構築無償自体は足の速いスキームとなっている。

(JICA)

 今年から安全確保のための経費を確保するべく積算の基準変更を行った。高リスクの案件を企業が受注するインセンティブが働かないのは理解できるところであり、委員のご指摘のとおりコスト削減の流れとの整合性は難しいところである。

(外務省)

 カリキュラムについては自動車整備、大工、溶接等現地のニーズが高い分野が中心になる。

(委員)

 マリの案件(カティ市教員養成学校建設計画)は前回入札不調だったとあるが、その原因と対応如何。

(外務省)

 機材費高騰等により、予定価格との価格差を見込まれたことが原因と思われるが、応札業者がいなかった。そのため、設計を簡素な形に見直し再度積算を行い、コミュニティ開発支援無償のスキームでの実施とした。

(委員)

 地雷除去案件について、除去機材の供与も重要な国際貢献だが、被害者の義肢の支援も積極的に行うべきではないか。地雷被害者が増え続ける中で、機材供与より人間性のある支援ではないか。

(外務省)

 直接個人につながってしまう支援は難しいという側面もある。地雷対策支援は平和協力国家の一つとして重要であり、既にカンボジアやアフガニスタンでは国際機関を通じた案件を実施し成果を上げている。地雷除去機に関しては、日本製品を活用した官民連携により、引き続き支援を行っていきたいと考えている。

(委員)

 モルディブへの食糧援助について、被援助国の自給体制を改善するための支援は行わないのか。また、見返り資金の用途について、日本に協議を行うのか。

(外務省)

 モルディブは元々農業に適していない土壌を有しており自給率は低い。他方、GNIは高くなってきており、LDCも卒業予定である。見返り資金の用途に関しては、その都度協議が行われており、適切に運用されている。

2. 平成21年度無償資金協力予算に関する政府原案及び平成20年度第二次補正予算について(外務省より冒頭説明)

<質疑応答>

(委員)

 無償資金予算が反転されたことは喜ばしいことである。ODA予算全体が削減される中、主にどの省庁でODA予算が削られているのか。また、ダボス会議での総理の発言を聞く限り、支援の量は増やしていくようにも思われるが、円借款の原資については問題ないという理解でよいか。

(外務省)

 ODA予算が減少している主な省庁は、財務省(204億円)、文科省(23億円)等である。円借款は現在のところ返済が順調に行われており、十分な原資があると考えている。

(JICA)

 円借款に関しては、財務基盤が堅固な状況であり、平成21年度の事業量は8,200億円になる予定である。一般会計からの出資金や交付金は減少しているが、貸出量自体は増えている。

3. コンサルタント契約状況、入札実施状況(JICAより説明)

<質疑応答>

(委員)

 昨今の世界的な経済不況は無償資金協力の入札に影響しているか。

(JICA)

 昨年は経済危機の影響により、世界的に民間工事の需要が減少し、本邦企業の受注高が減少していると思われるため、今年はODA事業への入札参加者が増える可能性がある。


別添1

出席者

  1. 無償資金協力実施適正会議委員(50音順)
    1. 大野 泉 政策研究院大学教授
    2. 小川 英治 一橋大学大学院教授
    3. 敷田 稔 財団法人 アジア刑政財団理事長
    4. 杉下 恒夫 開発ジャーナリスト(元茨城大学教授)
    5. 深田 烝治 元会計検査院事務総長
  2. 外務省
    6. 柴田 裕憲 国際協力局無償資金・技術協力課長
    7. 佐藤 勝 国際協力局無償資金・技術協力課企画官
    8. 高橋 了 国際協力局無償資金・技術協力課課長補佐
    9. 近藤 茂 国際協力局無償資金・技術協力課課長補佐
    10. 田坂 拓郎 国際協力局無償資金・技術協力課課長補佐
  3. 国際協力機構
    11. 黒柳 俊之 経済基盤開発部長
    12. 植嶋 卓巳 企画部次長
    13. 上垣 素行 資金協力支援部計画課長


別添2

無償資金協力実施適正会議(平成20年度第6回会合)

日時:平成21年2月13日(金曜日)11時30分~13時30分
場所:外務省南396会議室

議題:
  1. 2月閣議請議案件概要説明
  2. 平成20年度第二次補正予算について
  3. 平成21年度無償資金協力予算に関する政府原案
  4. コンサルタント契約状況、入札実施状況
    (以下時間があれば実施)
  5. 対パレスチナ支援

以上

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