ODAとは? ODA改革

無償資金協力実施適正会議(平成15年度第1回会合)(議事要旨)

 4月11日、無償資金協力実施適正会議が開催されたところ、議事要旨は以下のとおり。

1.無償資金協力課長より、無償資金協力実施適正会議の性質について、無償資金協力の案件選定にかかるプロセスを第三者の目にさらすという原点にたってやっていくことが重要と考えており、その上で、それぞれ納税者の立場から、無償資金協力の適正な実施のために「こういう点に期待している」「こういった点を心配している」といった意見を頂きたい、と着任挨拶。続けて、イラク情勢への対応、外務省機構改革に伴う経済協力局の体制の変化等につき説明。

2.JICA無償資金協力部長より、コンサルタント契約の締結状況等について説明。

3.4月閣議請議案件に係る主な質疑応答。

(1) 委員より、上下水道の整備については、セクター全体を見据えて援助をする必要があると考えており、個々の案件が全体のマスタープランの中で位置づけられないまま、プロジェクトありきで援助が実施されてはならないと考えているとの意見が出された(無償資金協力課長より、全体の援助計画を策定してその中に個別のプロジェクトを位置づけていくという点、またオールジャパンとしてODAに取り組むという点については、現在のODA改革でも中心的課題であり、オールジャパンの現地体制の構築に積極的に取り組むなど、国によっては大分進んでいるが、実際に被援助国のセクター・プログラム策定の現場に行って他のドナーと丁々発止で渡り合うためには、人員の不足の問題や語学やプレゼンテーションといった能力面で制約があり、現実には厳しい点もあると説明)。

(2) 委員より、無償資金協力課長の説明も踏まえ、現地へ権限を委譲していくという基本的な発想に賛成する、自分は個別の案件を絞り込む上流の段階が決定的に重要だと考えており、個別の案件を、相手国のセクター開発計画の中でどのように位置づけるかという視点が不可欠であると考えているとの意見が出された。

(3) 委員より、一部の国では、資金をプールして安いコストでプロジェクトが行われうる状況にあるとも聞いたことがあるが、これらの案件を選定したときに他のドナーとの間でどういう議論が行われたのかとの質問があった(無償資金協力課長より、中にはプロジェクト型援助は古いというドナーもいるが、納税者や納税者を代表する国会議員には、顔の見える援助、外交的な効果という観点から理解が得られにくい、また特にアフリカは現地の体制が十分ではなく、コモンファンドの資金について十分なコントロールを効かせることはなかなか難しい等説明)。

(4) 委員より、顔の見える援助という点については、自分は日本人が全部やっていなくてもいいと考えており、それよりも哲学を被援助国に説明できる人が必要と考えているとの意見が出された(無償資金協力課員より、例えば小学校について、日本の援助で建設されたと分かる校舎で6年間も学び続けることにより、日本の援助に感謝することを体感していることは、二国間関係において貴重な財産であると考えるとの意見が出された)。

(5) 委員より、第何次計画等、数次に渡って案件について、過去どのような評価がなされ、問題点についてどのように対処したかと質問があった(無償資金協力課長より、評価については、失敗を教訓として良くしていくという形の前向きの評価であればいいのだが、日本ではどうしても少しでも悪い点があると「失敗案件」として評判が悪くなる傾向があり、教訓を生かすということになりにくい等説明)

(6) 委員より、ワクチンの供与について、ワクチンは中進国が自分で作り始めたら、より安いコストでできるようになるのではないか、との質問があった(無償資金協力課長より、ワクチンの供給は人命の観点から緊急性が高いが、中進国であっても必ずしもワクチンを直ちに供給出来る体制にはない等説明)。
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