7月18日、無償資金協力実施適正会議(7月の無償一括閣議請議案件の事前説明等)が開催されたところ、概要以下のとおり(出席者別添1、議題別添2)。
(外務省)
(委員)
ベトナムにおける植林事業案件は、枯れ葉剤対策などの特殊な目的があるのか。
(JICA)
御指摘の案件の目的は防風林としての植林である。この植林事業は森を育てるというよりは、木を植えることにより地面を安定させる効果が期待されている。実施例は中国などに見られる。
(委員)
文化無償資金協力につき、ソフト支援の援助効果の高さを鑑みると重要であると考えるが、具体的にどのような支援を行っているのか。日本のイメージ向上に資するような案件を行っているのか。
(外務省)
テレビ番組の内容は主にドキュメンタリー番組や教育番組等であり、日本のハイテク技術の紹介も行っている。バラエティも増えてきており、最近は英語だけでなく、スペイン語やフランス語で翻訳されたものもある。
(委員)
文化無償資金協力においては国益には直結しなくとも、ソフト面の支援を通じての日本のイメージの向上に努めてほしい。
(委員)
食糧援助につき、二国間支援若しくは国際機関経由にするかはどのように決定しているのか。
(外務省)
食糧援助(KR)は、基本的にまず二国間で実施することを考える。アクセスの悪い地方等に支援を行う場合などは、国際機関を通じた方が効果・効率が高い場合には、国際機関経由となることもある。
(委員)
また、ノンプロ無償と貧困削減戦略支援無償の使い分けはどうなっているのか。新JICA発足後は前者を外務省、後者を新JICAが行うこととなるが、混乱は生じないのか。被援助国政府の意向でノンプロ無償から貧困削減戦略支援無償へ変えていくということがあり得るのか。ドナー協調の動きを踏まえると、ノンプロ無償よりバジェットサポート(貧困削減戦略支援無償)の方がいいのではないか。
(外務省)
1年程前にノンプロ無償に関するアンケートを在外公館に対し行ったところ、約84%がノンプロ無償に好意的であったが、残りは一般財政支援にすべしとの回答であった。これら一般財政支援を希望している国の中にはノンプロ無償の実施を希望しない国もあり、また、ガーナの様にノンプロ無償で中小企業支援を行い、貧困削減戦略支援無償で一般財政支援を行っている国もあるところ、棲み分けが可能と思料。
(委員)
食糧援助の支援効果として被援助国の穀物価格が下がるとの説明があったが、仮に穀物価格が下がるとすると、被援助国の農業にダメージを与えかねないのではないか。支援の目的は最貧困層を対象とした支援ということに限定し、あくまで価格を下げることとは切り離すべきではないのか。
(外務省)
国際機関経由食糧援助では食糧を無料配布しているが、二国間食糧援助では被援助国政府が定める価格にて食糧を市場で売却しているため、食糧価格の安定に寄与することが期待される。売却価格は被援助国政府関係者との協議により慎重に決めている上、被援助国の農業にダメージを与えてしまうほど大規模なものではない。
(1)北海道洞爺湖サミット、TICAD IV等(食料価格高騰への対応等)
(2)骨太の方針2008年
(3)平成20年度財務省予算執行調査
(4)新JICA発足に向けての制度整備(新たな標準契約書式)
(委員)
骨太の方針で縛りがある中、総理の対アフリカODA倍増公約は現実的に達成できるのか疑問である。
(JICA)
(4)に関連し、「基本設計調査概算事業費積算ガイドライン」において、従来積算時点を「現地調査帰国月」とし「積算価格には物価上昇率等の価格変動予測値は加味しない」としていたが、「物価上昇率等の価格変動予測値を加味する」ことに制度変更を行った。
(委員)
もし、物価が下がった場合はどう対応するのか。
(JICA)
物価下落の場合は差し引いた額を予定価格として設定する。
(委員)
昨今発表されたインドネシアへの円借款の、無償版ということか。
(外務省)
総理が発表したクールアースパートナーシップの枠組みの中で、既存のスキームと共に、今回創設した環境プログラム無償も使って気候変動対策支援を行っていくことになる。
(JICA)
応札業者のリスク不安に基づくものからか、入札率はあまり下がっていないのが現状である。他方、従来は国の予算制度の制約から年度末までに事業完了の必要があったが、10月の新JICA発足による新たな制度の下では、必ずしも年度末までに事業を完了させる必要がなくなることから、従来に比して柔軟な工期・納期を確保することが可能となる。こうした措置により無償資金協力への参入についての企業のインセンティブが高まることを期待する。
別添1
別添2
日時:平成20年7月18日(火曜日)12時00分~14時00分
場所:外務省中央153会議室
以上