12月7日、無償資金協力実施適正会議が開催されたところ、概要以下のとおり(出席者別添1、議題別添2)。
(委員)
アンゴラへの支援は、一般無償本体と、コミュニティ開発支援無償を合わせると約50億円になる。アンゴラでは他政府や国際機関等からも多くの支援が行われていると思うが、ドナー全体の協調性の観点からも、日本のODAはどのような仕切りで計画・実施されているのか。また、紛争後の現場にすぐ人が入っていくことは困難と承知しているが、支援の全体をしっかりモニタリングできる体制はあるのか。
(外務省)
バイで実施可能な案件は出来るだけバイで行い、マルチの方が国際機関の知見を利用して効果が上がる案件については、国際機関経由で行うのが原則。国際機関経由の支援の場合、我が国の援助が適切に行われているか常にモニタリングしている。
(外務省)
大使館の実施体制が弱い国や治安が悪い国に対して、国際機関経由の支援を行うことが多く、大使館がモニタリングに行けることは少ない。その代わり、国際機関には報告書の提出を義務付けている。平和構築支援無償とコミュニティ開発支援無償は似ているところもあるので補足すると、コミュニティ開発支援無償は平成18年度から開始され、国際機関経由の案件についてはこれまでに1件が実施中であり、5件が検討段階にある。そのうち5件は、現地事務所に日本人職員がいるため、日本の顔が見えるというメリットに加え、モニタリング等の観点からも、望ましい体制である。
(委員)
選択と集中という観点から、アンゴラに支援を行っていると思われるが、「緊急港湾改修計画」案件に関し、なぜロビト港、ナミベ港の2港を対象として選んだのか、という点に関して伺いたい。
(JICA)
本件はもともと開発調査から始まった案件である。アンゴラは長年にわたる内戦の影響により運輸・港湾分野は極めて劣悪な状況にあり、穀物や建築資材の多くを輸入に頼っている中で、主要港湾等の交通インフラ整備は不可欠であった。当案件は、緊急港湾復興計画調査を実施し、その中から優先順位の港への支援を行うこととしたもので、この2港を選んだ理由としては、アンゴラにおける最大規模の港であるルアンダ港は、他のドナーが支援を行っており、加えて中国等が鉄道の改修支援を行っており、ドナー間で協調・連携し、役割分担する中で本案件の2港がふさわしいとされたものである。
(委員)
「選択と集中」の観点から、日本のアフリカ支援の中でアンゴラを今後、重点的に位置づけて取り組んでいくのか。
(外務省)
限られたODAを戦略的に活用するためには、「選択と集中」が重要である。 アンゴラは、ポスト・コンフリクトという観点からも、豊富な天然資源を有しているという観点からも我が国として重視している国の1つである。
(委員)
最近、中国のアフリカ支援への進出が顕著であると聞くが現状如何。
(外務省)
中国はアフリカ支援にあたり、スーダンやアンゴラ等を資源獲得に直結した援助を行っており、基礎生活分野等を重視した我が国の援助とは性質が異なると言える。
(委員)
中国は資金のみならず、人的資源も豊富。日本は、あえて中国と対立姿勢で臨むことは避けた方がいいのではないかとも思う。
(外務省)
我が国は、中国等が新興ドナーとして資金その他の形態によりアフリカ開発に積極的に関与する姿勢を示していることは歓迎。他方、その関与は、透明性が確保される等国際的な規範に則って行われなければならないとの立場。
(委員)
日本と中国が競合してしまうことはしょうがないことだと考える。国際政治のパワーバランスの観点からも、中国が行く場所を避けるのではなく、日本も行くべきではないか。中国のように資源を目的とした支援は一過性のものであるのに対し、日本の支援のように何年も続けていく中で味が出てくる支援は価値がある。今後も継続し、日本に望ましい環境を作っていくべきである。
(外務省)
日本の援助は相手国の人権・統治状況等に注意を払いつつ政策協議も行ってきている。DACでは、DAC側と中国等BRICSとの間の対話を深める取組みを日本が中心となって2年前から進めている。対話や透明性は必要であり、引き続きマルチ、バイ両方での働きかけが必要である。
(委員)
タジキスタンに対する「クルガンチュベードゥスティ間道路改修計画」についてだが、アフガニスタンのどこまでつながるのか。また、アフガンの安定に繋がるメリットとは何か。
(外務省)
アフガン全土を広くカバーするハイウェイ網(リングロード)につながる。この計画により、物流と治安の両方に効果があると考えている。
(JICA)
本案件は、アジアハイウェイ構想の一部であり、アフガニスタンのみならずアジア地域全体に裨益することを目的としている。
(委員)
バヌアツに対する「ポートビラ港埠頭改善計画」に関し、限られた財政の中で当案件は高価すぎるのではないか。費用対効果の観点からどうなのか。
(外務省)
国、人口の大小に関わらず、港や空港などの設備は目的達成のためにある程度の資金投入が必要となる。本件も、バヌアツの安全基準や、定期的に来る船舶の大きさ、頻度など様々な点を考慮せねばならない。小国のインフラ案件は概して対人口比で大きくなる傾向があるが、案件の目的、物理的効果のみならず、外交的観点をも加え、総合的に判断している。
(外務省)
漁港港湾への協力を小規模化することも検討はしたが、余り小規模化すると人件費や管理費等の占める部分が半分になるなど、案件規模として適正なバランスが取れなくなることもある。空港や港等は、ある程度の投資をしないとかえって非効率な使いづらいものとなるので然るべき水準の確保は必要と思われる。
(外務省)
(1)案件形成段階において、JICAの開発援助に関する知見を最大限活かす。外務省が案件の決定を行った後、実施はJICAが行うという流れである。
(2)援助と外交は密接に関連しているため、外務省・JICAの相互連携は不可欠だが、JICAと外務省の役割分担をこれまで以上に明確にする、また、両者の折衝回数を減らし、シンプルな意思決定の実現を図る。
(委員)
案件採択は外務省が行うという認識でいいのか。外務省の無償資金・技術協力課と新JICAの関係は、現在の有償資金協力課とJBICのような関係になるのか。
(外務省)
案件採択は引き続き外務省が行うが、案件形成についてはJICAの知見等に最大限委ねたい。また外務省は、閣議請議へ向けて、直前でなく、より前の段階で、外交要請、国際情勢に照らし、適切な供与タイミング、予算状況を考慮した案件規模等について確認を行う。
(委員)
技術協力と無償資金協力を連携させることを初めから意識した上での案件形成ができるようになるのか。
(JICA)
現地ODAタスクにおいて3スキームの一元的プログラム化を進めることで、シナジー効果が期待される。また、評価に関しては、個別のプログラムのベンチマークをある程度設定したうえでモニタリングをし、プログラム全体及び個々のプロジェクトを検査するという二層構造が可能になると考えている。
(外務省)
参議院決算委員会の検査要請に基づき会計検査院が行った検査及び会計検査院が毎年行っている特定検査事項として無償資金協力に関し行われた検査状況の2つに関し報告する。
(1)参議院決算委員会の検査要請に基づき会計検査院が行った検査状況
(2)会計検査院の特定検査事項として、外務省を対象に行われた無償資金協力に関する検査状況
(外務省)
(委員)
タンザニアを選定した理由としては、ノン・プロジェクト無償等を活用しての実績があったためか。また、農業セクターへのコモンファンド型支援ということであるが、円借款で一般財政支援、無償でセクター支援という役割分担を想定しているのか。ガーナへの一般財政支援については、現行の国別援助計画改訂時にも議論した点であり、現地の要望をふまえて実現したことは喜ばしい。政策インプット・モニタリング等の点で現場の体制が重要になるが、現在でも、ガーナ財務省に専門家を派遣しているのか。
(外務省)
タンザニアについては、委員のご理解で間違いない。ガーナ財務省への専門家については、現在は派遣していない。
(JICA)
別添1
別添2
日時:平成19年12月7日(金曜日)12時00分~14時00分
場所:外務省南396会議室
以上