ODAとは? ODA改革

無償資金協力実施適正会議(平成18年度第1回会合)議事録

4月18日、無償資金協力実施適正会議が開催されたところ、概要以下のとおり(出席者別添1議題別添2)。

1.報告事項

(1) 無償資金協力事業における契約認証業務の監査について
 外務省より、契約認証の流れ、監査結果、監査法人からの提案内容について説明・報告があった(監査結果については外務省ホームページに掲載)。

(委員) 監査人選定のプロポーザル方式とはどのような仕組みなのか。
(外務省) 外務省のホームページにて公募を行い、関心表明のあった監査機関に対し業務内容の説明会を行い、先方から提出される企画書を審査して監査人を決定する。
(委員) 前回の監査人とは異なるが、癒着防止等の観点から別の監査人を選んだのか。
(外務省) 企画書の中身で監査人を選定している。
(委員) 企画書は何社くらいから出てきたのか。
(外務省) 説明会には数社参加したが、企画書の提出は1社のみであった。
(委員) 契約認証審査の結果、認証しないケースはどれくらいあるのか。
(外務省) 重大なミスは僅かであるが、審査した契約書の半数位は不備があり、是正を求めている。
(委員) 意図的な不適格な記載はあるのか。
(外務省) 意図的なものはなく、表記間違い等単純なミスが殆どである。
(外務省) 契約書はJICAから外務省に送付され、まとめて外務省から修正指示がある。
(委員) あまりにも頻繁に記入不備のある業者は外すという考え方はあるのか。
(外務省) 契約書は先方政府実施機関も確認し署名をしている。意図的に契約書を変更しているケースはないものと考えている。
(委員) 審査項目は形式的であり、単純なものと見受けられるが、審査日数はどれくらいかかるのか。
(外務省) 5営業日以内に処理することとしている。
(外務省) 委員の方々が関心を持たれている品質(substance)は契約認証以前の入札時の入札評価でチェックされる。
(委員) 形式的な面だけのチェックを外部監査法人にもう一度行ってもらうのは、チェックの重複にならないか。
(委員) 監査法人にはいくら払っているのか。
(外務省) 600万円弱である。
(委員) ODA戦略会議か何かで提言があった話であり、ODAの透明化の観点ではわかるものの、外務省・JICAがしっかりチェックしているのであるからそれで十分ではないか。
(委員) 案件管理カードの記載情報はどのようなものか。
(外務省) 案件名、案件概要、E/N署名日、E/N期限日、コンサルタント名、業者名、契約金額、契約日、修正契約情報といった契約認証業務に必要な情報である。案件の進捗状況についての記載はない。
(外務省) 契約認証は無償資金協力の資金管理のためのものであり、きちんとした契約に基づいて支払が行われていることを確認するのが目的である。案件そのものの管理については、JICAの実施促進、コンサルタントの報告、事後評価、大使館のフォロー等にて行われる。
(委員) 透明性の観点から外部のチェックを入れるのはわかるが、資金管理はまさに事務であり、外務省内でできる話と思う。
(委員) 契約認証は契約書の内容チェックであり、資金が適正に使われるベースを作るものであると考える。

(2) スマトラ沖大地震及びインド洋津波被害に対する二国間無償進捗状況

(外務省) 先週インドネシアへ出張し、津波被災後1年を経過した現状を見てきた。バンダアチェ市の中心街は活気が出てきている。一方市内にはかなりの数の仮設住宅が建っており、日本もIOM等国際機関を通じ支援している。国際機関が建てている住宅は問題ないが、NGOが建てている住宅の品質、各戸の水回り等の施設は必ずしも十分なものではないという印象を持った。出張時に面談したクントロアチェ復興庁(BRR)長官も、住宅を建てればいいというものではないとしており、今後きちっとした生活インフラを伴うモデル地区をBRRが整備するとのことであった。日本のノン・プロジェクト無償でも道路整備、配水施設、コミュニティーホール建設等の面でこのモデル地区を支援することになっている。また海岸縁の地域は引き続き悲惨な状況であり、まだ水浸しの所がかなりあった。
 護岸工事については、被災時に護岸が崩れて海水が逆流して塩害が発生していることから早期の護岸修復が求められており、工事は相当進捗している。西岸道路は地震の震源地に面した道路であり、日本とアメリカで分担して復興中である。この地域は地盤が緩いところもあり、工事は難しい。工事には現地住民が雇用されている。
 仮設住宅についてはIOMが実施しているものを各国が支援している。電気は来ているが水はまだ給水車に頼っている状況。住民はバイクタクシーを営んだりIOMの作った煉瓦工場で働いたりして生計をたてている。日本の支援する住宅には各戸にODAステッカーが貼られていて日本からの支援であることが浸透している。また現地では国際協力機構(JICA)及び日本国際協力システム(JICS)がアチェの大学を間借りして、懸命に支援活動を行っていた。
 アチェの和平IOMが実施しているアチェ和平後の武装解除・動員解除・社会復帰(DDR)の現場にも行った。昨年度は日本は支援のために10億円を供与した。IOMは例外的に過去20年間アチェ州内で活動を許された国際機関であり、当面そのノウハウを活用するのが効率的であるが、今後はバイでの平和構築支援を考えていかなければならないと考えている。
 またバンダアチェでは、NGOや国際機関で働く日本人が沢山いる。現地で懇談会を設けたが(約20名が参加)、女性が圧倒的に多かった。日本の顔を実践している人達なので、この機会にネットワークを構築して、お互いの努力をシェアし、広がりを持って援助コミュニティの中で日本の貢献をアピールすべきとの印象を持った。
 なお、日本のインドネシア津波支援に関して業者への支払額が少ないことをもって援助が進捗していないとする批判については、委員の方々もご存じの通り工事が終わってから業者への支払を行うことから、現時点で業者への支払額が少ないのは当然のことである。復旧工事は着々と進んでいることをこの目で確認してきた。先般2月末の週刊現代の批判記事については、以前いわれのない批判記事に対しては外務省としてきちんと反論すべきとの委員からのご指摘があったことを踏まえて先般反論記事を出し、更にホームページにも掲載した。
(委員) 独立アチェ運動(GAM)の最近の動きは。
(外務省) 戦闘行為は収まっているが、DDRの対象となる兵士約3,000人の特定は進んでいない。一方、政治犯2,000人の釈放は進んでいると聞いた。元GAM兵士等の登録事務所に行って疑似登録をしてきた。ここでは登録、就職のアドバイス、メディカルチェック等を行っている。元GAM兵士への住民の恐怖感はまだ残っており、和解のための草の根無償の実施が必要。信頼醸成には時間がかかる。場合によっては選挙支援も考えなければならない。
(委員) バイの平和構築とは。選挙支援を実施するのか。
(外務省) それも一つであるが、コミュニティをどう再興していくのかがポイントである。そこで考えなければならないのが、津波被災者・元GAM兵士には支援の手が差し伸べられる一方、それ以外の人がいわばはざまに入って落ちこぼれてしまう危険があるということであり、コミュニティ全体の底上げが必要であるということである。現在草の根無償を実施しているが、今後更に多様なスキームを活用していく検討が必要である。但し、アチェも広いので全部日本がやるという訳にはいかず、うまくドナー間で分担することが必要である。
(委員) アチェ復興庁(BRR)はアチェ全体を見ているのか。
(外務省) BRRは津波のみ。和平は同じく大統領直轄のBRAという組織が担当している。
(委員) ローカルNGOはインドネシアで合法化されているのか。
(外務省) 登録されていると承知している。ローカルNGOを使った草の根無償も実施している。

(3) 平成18年度プロジェクト・レベル事後評価実施方針について

(外務省) 昨年度初めて実施したが、平成18年度は約6,000万円の予算が計上されている。現在、前年の反省点も踏まえ、又、外部の専門家の評価を入れた形でガイドラインを見直し中である。本日右ガイドライン案についてご意見・ご指摘を頂き、それらを反映した形でガイドラインを見直し事後評価を実施していきたい。
(外務省) 約6,000万円の予算のうち、約1,500万円が在外公館の評価実施の際の旅費、約4,500万円は外部評価・内部評価の二次評価の経費である。夏にかけて評価を実施し、年内に評価を終了する予定である。今回のガイドライン改訂のポイントとしては1.外部評価を組み込む、2.評価基準等をわかりやすいものにする、3.大きな骨格は昨年のものとする、である。評価件数についても充実したものにしていきたい。
(委員) 外部評価の対象案件選定の基準・方法はどのようなものか。無償課で決めるのか。
(外務省) 現在検討中ではあるが、国ということであれば、手始めにアジア、アフリカから実施したいと考えている。特に国別評価を数年来行っていない国、再来年位に国別評価を予定している国をイメージしている。またテーマとしては、援助金額の多い分野である保健医療と教育分野等を考えている。
(委員) 無償資金協力の評価では上位目標の明確化が必要である。無償資金協力は外交的・政治的要素が強いことから、技術のアウトプットだけではなく、外交的・政治的な効果を上位目標に盛り込まないと無償資金協力は正しい評価はできないのではないか。DACの5項目などだけでは、不十分な評価になる可能性もある。
(外務省) 基本設計調査ではあまりそういう面は出て来ない。どういう目標を作っておくか、非常に難しい面はある。
(委員) 外交・政治的配慮はわかるが、プロジェクトとして最低満たさなければいけない条件はある。外交的な側面でやるという資金を別にとっておくといったことが必要ではないか。そうしないと、うまく行っていない案件について後付で「いや、これは外交的効果を狙った案件である。」と言う人もいると思われる。
(外務省) 10億円以上の案件は事前評価の対象となるので、外交的・政治的な配慮が必要な理由を上位目標としてはっきり記載しておくのは一つの方法かと考える。
(委員) 暗黙でも、例えば全体の5%といった形で外交的配慮を要する案件用の枠を持っておく必要があるのではないか。
(外務省) 無償案件については、大小はあるが円借款・技協に比して外交的・政治的な配慮が必要となることは多い。ある意味全ての案件に何らかの外交的要素はある。予算逼迫の状況下、戦略的に予算を使えとなると、どの案件を選ぶのかというところ自体が戦略的となる。従ってパーセンテージで枠を決めることは難しいものと考える。
(委員) 開発的視点で行うのが望ましい。「戦略的」といえば何でも「戦略的」になる。外交・政治的配慮をゼロにはできないが、大前提とするのはいかがなものか。
(委員) イラク・アフガン支援などは開発のみの視点で考えれば無駄と言う人もいる。しかし日本の外交政策上平和構築という目標がある以上やらねばいけないというものもある。こういうものはきちんと評価すべきであるということを言いたい。
(外務省) 外交的評価についてA,B,C,Dとつけるのは難しい。プロジェクトの評価とは別の軸で評価するべきであるが、両者の併存はできると考える。
(委員) 昨年初めて出した事後評価の外部からの反響は。
(外務省) 外務省は無償の事後評価を全然やっていないという批判はなくなった。しかし大事なのは評価した結果をどう活かすかである。
(委員) ガイドラインにおける案件の妥当性について、事前に頂く資料を見るに、1)、2)、3)に合っているものばかりのように思えるが、評価はそれなら「A」ということで良いのか。
(外務省) 本来、妥当性はあるかないかの二者択一なので四段階で評価するのは難しいという側面もある。
(委員) これでは何でもAになるのではないか。
(外務省) 外形的に見るのであって、結果を見て判断するものではない。
(委員) 当初は計画通りに行っていたが、実施中に外的要因、現地ニーズの変化で妥当性がなくなる可能性はある。ただ、これはプロジェクトが悪かったというわけではない。
(外務省) 評価する時点で妥当かどうかを判断するものである。
(委員) 事後評価はプロジェクト評価であって、個人の成績ではない。


2.コンサルタント契約状況、入札実施状況(JICA)

(1) JICAより閣議請議案件のE/N後実施状況、コンサルタント選定状況について説明があった。
(2) ついで、JICAから以下の報告があった。
 (JICA)応札額が予定価格を上回ったため入札が不調となった案件が何件かあった。代表的な原因としては1)為替変動、2)石油価格の上昇、3)世界経済の成長に伴う各種資材の高騰、4)今後の当該国での物価上昇の捉え方がある。



3.4月閣議請議案件の説明及び質疑応答(外務省)

(1) 外務省より4月に取りまとめ閣議請議を行う案件につき、以下の通り説明を行った。

(イ) 4月閣議は留学生支援無償及び殆どは昨年度に詳細設計を閣議請議済みの国庫債務負担行為案件であるが、カンボジア、東ティモール、エジプト、インドネシアの4件は新規案件である。なお、留学生支援無償についてはキルギスは本年度より開始するが、他は継続案件である。
(ロ) 今回は特にカンボジアの「国道1号線改修計画(2/3)」について説明申し上げたい。本案件はJICA環境社会配慮ガイドライン適用第1号案件である。要請は平成11年にあったが、開発調査にて沿道住民への影響等につき調査を実施した後、予備調査、基本設計調査と丁寧に調査を行い、要請から7年を経て本格的に道路建設が始まる。JICAの環境社会配慮審査会での了承も得ている。
(ハ) 本案件では移転等を強いられる住民への補償・同意取付をきちんと行うことを重視した。カンボジアの省庁間住民移転委員会(IRC)と協議を行い、日本側から主に以下の4つの点につき指摘・提案を行い、カンボジア側もこれを受け入れている。
1.道路沿の公用地に不法に住んでいる住民に対してもカンボジア政府が補償を行うこと。
2.補償単価について、2000年に作成されたカンボジアでの公共事業で用いられる単価の見直し行うこと(物価上昇率を勘案し12%の引き上げとなった)。
3.住民移転の同意取付の際に強制・脅迫があってはならないので、現地コンサルタント等による外部モニタリングを行うこと。
4.カンボジア側の苦情処理委員会に出される苦情については、定期的に日本側に報告を行うこと(今のところこれと言った苦情はない)。
以上の結果、本案件の前半区間において影響を受ける1,423世帯のうち、12世帯を除いた1,411世帯(99.2%)から既に合意を得ている。また、同後半区間についても、影響を受ける1,253世帯のうち、6世帯を除いて補償合意が成立している(合意率99.5%)。

(委員) 代替地の提供は国有地なのか、新たな土地を買って(財政負担を負わせて)行うのか。
(外務省) 一部国有地はあるが、概ね新たな土地を買って割り当てるものと承知している。


別添1


出席者


I.無償資金協力実施適正会議委員(50音順)
1.大野 泉   政策研究大学院大学教授
2.小川 英治  一橋大学大学院商学研究科教授
3.杉下 恒夫  茨城大学人文学部教授
4.西川 和行  財団法人公会計研究協会会長・元会計検査院事務総長
5.星野 昌子  日本国際ボランティアセンター特別顧問

II.外務省
6.鈴木 秀生  経済協力局無償資金協力課長
7.三浦 和紀  経済協力局無償資金協力課無償援助審査官
8.武田 朗   経済協力局無償資金協力課地域第一班長
9.板垣 克巳  経済協力局無償資金協力課地域第二班長
10.内藤 康司 経済協力局無償資金協力課ノンプロ・KR等班長
11.倉冨 健治 経済協力局無償資金協力課業務班長

II.国際協力機構
12.山浦 信幸  無償資金協力部次長
13.正木 寿一  無償資金協力部管理・調整グループ 管理チーム長


別添2


無償資金協力実施適正会議(4月18日12:00~14:00)議題


場所:外務省(霞ヶ関、中央庁舎)8階857号室

  1. 報告事項(外務省)
    ・ 無償資金協力事業における契約認証業務の監査について
    ・スマトラ沖大地震及びインド洋津波被害に対する2国間無償進捗状況
    ・平成18年度プロジェクト・レベル事後評価実施方針について

  2. コンサルタント契約状況、入札実施状況 (JICA)

  3. 4月閣議請議案件について説明及び質疑応答 (外務省)

以上
このページのトップへ戻る
前のページへ戻る目次へ戻る