ODAとは? ODA改革

JICAが実施する新たな無償資金協力制度の意義

平成18年11月

ポイント(1) 3スキームの有機的な連携を確保しつつ、柔軟なタイムフレームによる案件形成や迅速な実施の決定を行うことが可能となる。

従来の制度の問題点

 国の予算制度の制約やプロジェクトに要する工期・納期の都合上、プロジェクトの実施の決定時期は自ずと制約されてきた。具体的には、年度末(予め明許繰越をした場合でも翌年度末)までに事業を完了する必要があることから、プロジェクト型の案件については、年度の前半に閣議において実施の決定をする必要があり、事前の調査を通じたプロジェクトの設計を完了し必要な準備が整わない場合は、翌年度まで実施の決定を遅らせる必要があった。

新たな制度による改善点

 新たな制度の下では、政府からJICAに資金を支出した段階で国の予算制度の制約が外れることとなることから、JICAが調査の段階から独自のタイムフレームで3つのスキームの有機的な連携を確保しつつ案件形成を行うことが可能となる。また、実施の決定も、工期・納期の制約にとらわれることなく、迅速かつ機動的に行うことが可能となる。

ポイント(2) 無償資金協力予算を効率的に活用することが可能となる。

従来の制度の問題点

 閣議で決定される供与限度額と入札により確定する業者との契約額との差額が、毎年一定の予算上の不用額として生じていた。

新たな制度による改善点

 案件完了後の残余額を翌年にJICAが実施する新たなプロジェクトの財源として充てることが可能となることから、JICA自身にとって、入札に際する競争性の向上等の取組を通じて資金を節約するためのインセンティブが働くこととなり、限られた予算を最大限に有効活用することが可能となる。

ポイント(3) 無償資金協力プロジェクトのコスト削減につながる。

従来の制度の問題点

 開発途上国においては、治安情勢等の悪化により、工事が遅延することがしばしばある。その一方で、国の予算制度の制約により、業者は年度末までの工期を厳守しなければならないことから、追加投入を行い、何とかして年度末までに工事を完了させようとする傾向がある。このような事情から、業者は入札に際して、リスク要因としての追加投入分の費用を予め応札価格に織り込んでいる傾向があり、その結果事業コストが割高になってしまうという問題がある。

新たな制度による改善点

 政府が支出した資金をJICAが適切に管理をしつつ、治安情勢の悪化等に伴う契約内容の修正を柔軟に行うこと、また供与限度額の範囲内での追加的経費の支出を行うことを可能とする制度設計を行うことにより、応札業者は予めリスク要因を応札価格に織り込む必要はなくなり、コスト削減効果を促すことが期待される。

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