本報告書は、2003年3月10日にベトナムの首都ハノイで開催された「ODA評価セミナー」(日本大使館主催)の概要をとりまとめたものである。
外務省が実施する「国別評価」は、わが国の政府開発援助(ODA)の主要受け取り国を対象に、国全体や主要援助分野・地域単位で援助の実績を分析・検証し、対象国に対するわが国援助の効果や妥当性等について総合的に評価するとともに、総合的・横断的な教訓を導き出し、国別援助計画の策定や見直しに資するという役割を担っている。
ベトナムは、わが国経済協力の最重点国の一つであり、わが国の対ベトナム経済協力は、2000年度実績で第4位である一方、ベトナムに対する援助総額に占める日本のシェアは1995年以来トップとなっている。外務省委託により2001年度にベトナムを対象として実施した国別評価では、日本がこれまで実施した対ベトナムODAの効果を総合的に分析するとともに、今後の対ベトナムODAのさらなる改善のための提言を行っている。
ベトナム国別評価調査が実施された後、ベトナムの開発援助を巡ってCPRGS(包括的な貧困削減・成長戦略)の世銀理事会承認(2002年6月)、CG会合におけるCPRGS拡大の承認(同年12月)、アジア地域調和化準備ワークショップの開催(2003年1月)などの動きがあった。また、日本側においてはベトナム国別援助計画の見直し作業が始まっている。
本セミナーは、こうした動きも踏まえ、上述の評価調査の結果を現地の関係者にフィードバックし、ベトナムにおけるわが国ODAに対する理解を深めるとともに自助努力を促し、より効果的・効率的な援助の実施に資することを目的として実施された。
現地セミナー開催に関する業務の遂行や本報告書のとりまとめにあたっては、外務省経済協力局評価室及び在ベトナム日本国大使館等の関係各位より多くのご指導・ご協力をいただいた。さらに、セミナーにおいてはベトナム政府や国際機関の方々からも多大なご協力やコメントをいただいた。ここに深く謝意を表するものである。
最後に、本報告書は当センターの責任において作成されたものであり、日本国政府あるいは外務省の見解または立場を反映するものではないことを付記する。
2003年3月
財団法人 国際開発センター
理事長 薮田仁一郎