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パプアニューギニア
「ワンディ地区保健所改善計画」
引渡式(平成10年6月15日)

 今回、引渡式の舞台となったチンブ州ワンディ地区は、首都ポートモレスビーから飛行機で北西に約1時間、さらに州都クンディアワから国道を西に13km行ったところに位置する急峻な山岳地帯にあります。国道が通ってはいますが、舗装状態が悪く、加えて支線は未舗装で、緊急時における輸送手段の確保が難しく、患者の診療に遅れが生じるといった重大な問題が起こっていました。特に、急患を手遅れになることなくクンディアワ州立病院(1991年度の日本の無償資金協力によって建設)に運ぶこと、あるいは本保健所及び周囲の4つの保健所に医薬品の補給・供給をスムーズに行うことは、長年の懸案事項でした。そこで、ワンディ地区住民に基礎的医療サービスを提供するとともに、周囲の保健所で巡回医療を実施するべく、この度日本の草の根無償資金協力によりワンディ地区保健所に救急車が提供されることになりました。
 この日、会場となったワンディ保健所脇の広場には300人を越す人々が集まり、式典はまるでお祭りのようなにぎやかさの中で行われました。特に女性たちは、救急車の周りを踊りながら、歓迎・感謝の意を示す独特な声を上げて、自分たちの喜びの大きさを表していました。式典にはチンブ州副知事、長老、保健所所長を始め、国防大臣、保健大臣が出席、次々とスピーチを行い、彼らは皆「ミペラ・ハママス・トゥルー(私たちは心から感謝しています)」と、口々に何度も日本の協力への感謝の気持ちを繰り返し述べていました。
 人々は終始日本の支援に対する感謝の気持ちを表していましたが、最後に救急車のキーの引渡が行われると、いっそう大きな拍手が会場からまき起こりました。

(*)案件概要:平成9年度 草の根無償資金協力
 1950年にエイドポストとして設立されたワンディ地区保健所は、周辺住民約1万8千人の基礎医療サービスを実施してきていますが、緊急時における輸送手段がないことが、効果的な診療の阻害要因となっていました。さらに、昨年からPNGを襲っている干ばつによる被害で住民の間に食糧、飲料水の不足による栄養失調等が発生しています。保健医療サービスの必要性から、輸送手段の早急の確保が望まれておりました。
 今回の救急車供与は、ワンディ地区における保健医療サービスの改善だけでなく、草の根レベルでの干ばつ支援としてもその意義は大きく、住民に喜ばれています。


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