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パラグアイ共和国
「児童栄養改善モデル食堂建設計画」
供与式(平成11年8月23日)

供与式に集まった人々
 パラグアイで一般的に食べられている食事と言えば肉料理、特に有名なのがアサード(焼き肉)です。週末ともなると、家族・友人が集まり、大きな牛肉を時には3時間以上もかけて焼き、それを皆で食べる光景があちこちで見られます。この国では牛肉は1kg300円程度と大変安く、多くの人々に好まれていますが、その一方栄養面では、味付けに使用する大量の塩による塩分の取り過ぎや野菜不足で、バランスは決して良いとは言えない状況です。
 今回援助を行ったラパス市の豆乳委員会は、首都アスンシオン市から約350kmのところにあります。ここは約40年前にJICA移住地として日本から多くの移住者が入植した背景があります。現在、主として大豆、小麦が生産されていますが、経営が苦しい中小農家が多く収入が十分でないこと、また栄養に関する知識不足や、偏った食事等の理由で子供の発育に十分な栄養が与えられていないという問題が指摘されてきました。
 そこで96年に栄養改善指導のために赴任した葛木シニアボランティアは、こうした状況を改善するために、当地で多く生産されている大豆に着目しました。市役所の協力を得て「一杯の豆乳運動」を開始し、市内の中学校を中心に学校給食として豆乳の配布を行うとともに、現地の婦人に大豆を使用した栄養バランスの取れた食事の指導を行いました。この功績を讃え、葛木さんはパラグアイ政府より勲章を授与されました。
 葛木さんの帰国後も、指導をうけた現地のメンバーが事業を引き継ぎ、現在も豆乳の配布が行われています。この評判を聞いた同地域の他校からも多数の問い合わせがあり、当時の調理場では対応しきれなかったため、モデル食堂の建設計画が持ち上がりました。
大豆を利用した健康食品を食べる子供達
 建設にあたっては、葛木さんが始めた栄養改善講習会を継続し、豆乳の生産・配給センターとしての役割を担うとともに、調理実習のできる講習会の開催が可能な施設を目標としましたが、苦しい市の財政からはとてもこのような充実した施設は望めません。そこで援助が申請されたことを受け、草の根無償資金協力による資金が供与されることになったのです。
 供与式は完成したモデル食堂の前にある広場で行われ、久保大使が出席し、パラグアイ側からはスサーナ大統領夫人をはじめ、ボウエル内務大臣が出席するなど、日本の援助に対する関心の高さを表すものとなりました。
 学生や地域住民も多数参加した中で行われた式典では、まず宮里ラパス市長から、「日系移民地であるこのラパスに対する日本の変わらぬ援助には本当に感謝しています。これで地域住民の食生活は一層良くなることでしょう。」と喜びの挨拶がありました。
 最後に壇上に立ったボウエル内務大臣は、「日本政府の常日頃からの援助には大変感謝しており、今回もこのような立派な施設を援助して頂きありがとうございます。ラパスがここまで発展してきたことに驚くとともに関係者の努力にも敬意を表したい。」と述べました。
 引き続き、施設前にて落成を祝うテープカットが行われました。気の早い子ども達が我先にと食事に飛びつく傍らで、関係者は新たな施設を見学し、ここで作られた豆乳をはじめとする大豆製品を試食しながら施設の完成を祝いました。

(*)案件概要:平成10年度草の根無償資金協力

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