ODAとは? ODAちょっといい話

日本国民の皆様へ ありがとう!

モロッコ王国
「地方給水計画」
引き渡し式(平成10年5月15日)

 モロッコの中央部、大西洋に面する港町アガディールから車で約1時間、荒涼とした砂漠の中に白装束に身を包んだ一団が遠くから目を引きます。その数約1,000名、屋外にもかかわらず、歓迎の民族音楽は騒がしいほど盛大で、人々の期待感が伝わってきます。日本大使は、到着するや、美しい民族衣装に身を包んだ女の子より花束を受け、ずらりと並んだ関係者から握手ぜめにあいました。日本大使の動きに合わせて、さざ波のように動く男性の集団から少し離れて、華やかに民族衣装をまとった婦人たちが人垣となって様子を見守り、こどもたちの集団は、お揃いのサッカーのユニフォームを着て、関係者を待ちうけて整列していました。
 式典は、揚水用発動機を稼働するセレモニーに大勢の人々が移動して最高潮に達しました。共同水栓所の壁は、ペルシャじゅうたんのように美しい模様のタイルがはめこまれ、開栓の瞬間を待ち受ける人であふれていました。日本大使が発動機にスイッチを入れ、勢いよく水が流れ出ると、大きな歓声があがり、水を確かめようとする人たちでごったがえしの状態となりました。
 この盛大な式典の模様は、現地主要紙、さらにテレビニュース(全国放送)で、プロジェクトの説明はもとより住民から高く評価されていることが報道されました。

(*)案件概要:平成8年度無償資金協力
 モロッコ南西部地域は砂漠性気候で年間平均降水量はわずか200mm以下という厳しい状況にあります。地下水に頼る給水事情は、水量・水質ともに悪く、特に伝統的な手堀り井戸を利用する農村部では、水が原因とみられる病気が多発しています。また、女性、こどもによる水くみの労働は、大きな負担にもなっています。
 日本の無償資金協力は、給水率が深刻なアガディール州の5県(イダオウタナネ、エイトバハ、エイトメロール、ティズニット、グールミン)の196の村落の既存井戸に、水中モーターポンプ、ハンドポンプ、ソーラーポンプ、発電機などの機材購入の援助をし、モロッコ政府が最優先課題と位置づける給水設備の普及率に貢献するものです。
 日本政府の資機材調達、モロッコ政府による給水関連施設の建設、村落住民による給水施設の維持管理の責任という3者協力に特徴があります。

このページのトップへ戻る
目次へ戻る