
MTCRブエノスアイレス総会(概要)
平成23年5月
4月11日から4月15日まで,ブエノスアイレス(アルゼンチン)にて開催されたミサイル技術管理レジーム(MTCR)総会後に発表されたプレスリリースの概要以下のとおり。
- MTCR参加国は,大量破壊兵器(以下「WMD」という。)及びその運搬手段の拡散について議論し,これらの課題への取組及びそのためにMTCRが果たす役割の重要性を再確認した。MTCR非参加国の中にもMTCRガイドライン及び規制品目リスト(MTCR附属書)を遵守する国は増大しており,これらは輸出管理の国際標準となっている。MTCR参加国はMTCRの目的を支持する非参加国に対し,ミサイル不拡散の取組に貢献するよう,要請に応じて支援し,また奨励するために,一層努力することにつき合意した。
- MTCR参加国は,ミサイル計画及びその拡散の進展,そのような計画に資する調達活動及び手法,急速な技術的変化,無形技術の役割,仲介,拡散に資する積替,ミサイル計画の拡散における主要技術の傾向を含む,世界規模のミサイル拡散に関連する活動について,幅広い議論を行った。これらの議論においては,MTCR参加国による追加的な輸出管理の取組がより一層大きな効果を及ぼし得ることが示された。MTCR参加国は,通過及び積替の問題に対処することの重要性,輸出管理が脆弱な国々が引き起こす拡散の危険性を強調した。
- MTCR参加国は,地域の不安定を助長し,その他の地域におけるミサイル拡散活動の供給源となり得る,イラン及び北朝鮮を始めとする中東,北東アジア及び南アジアの既存のミサイル計画に関する懸念情報を交換した。
- MTCR参加国は,国連安全保障理事会決議,とりわけ安保理決議第1874号及び同第1929号が,MTCRの輸出管理と直接の連関を有していることを指摘し,これらの安保理決議を履行するとともに,国内法及び国際法に従って,大量破壊兵器の運搬手段となる拡散懸念のあるミサイル計画に資するあらゆる品目,資材,物品,技術の移転を警戒し防止する決意を表明した。
- MTCR参加国は,引き続きミサイル開発計画に関する見解を交換することを合意した。
- MTCR参加国は,MTCRの既存の技術的作業が極めて重要であることを改めて確認し,関連技術の急速な進展とこれに対処するため前向きな措置をとる必要性を指摘した。MTCR参加国は,法執行専門家会合(LEEM),情報交換会合(IEM)及び技術専門家会合(TEM)の活動(特に,規制品目リストの修正に係る決定)について謝意を表明した。
- MTCR前議長(ブラジル)は,この一年間で,ベラルーシ,中国,インド,カザフスタン及びタイに対するアウトリーチを実施した。MTCR新議長(アルゼンチン)は,MTCRの透明性を高め,その目的を促進するために,追加の国々も含め更なるアウトリーチを実施する予定。MTCR参加国は,広範囲の国々に対して各参加国が個別に幅広いアウトリーチを継続していくとの意向を表明した。MTCRの目的を支持するMTCR非参加国による取組も歓迎される。
- MTCR参加国は,関心を有する国に対して安保理決議第1540号に定められたミサイル関連の輸出管理の履行を支援し,また,1540委員会と連携するために,個別及び共同の取組を継続することに合意した。
- MTCR参加国は,将来のメンバーシップに関する問題も含め,MTCRの内部機能の主要な側面についてもレビューを行った。MTCR参加国は,全体的なアプローチ,とりわけ,メンバーシップの評価に関する意見交換を行った。個別の新規参加申請についても全面的に議論がなされたが,現時点では新規参加国の受入れについてコンセンサスは成立しなかった。メンバーシップの問題については,引き続き議論される予定。