グローカル外交ネット

令和6年11月11日

在ブルガリア日本国大使館
次席兼参事官 篠澤孝幸

1 はじめに

 日本で、ブルガリアといえば、ヨーグルトが有名ですが、それ以外に有名なものの一つとして、バラがあげられます。バラの産地としても有名なガブロヴォ市は、本年7月22日、愛知県豊明市と友好協力関係構築のための覚書に調印しました。ガブロヴォ市がヨーロッパ以外の都市と姉妹都市関係を提携するのは初めてです。両市をむすびつけた背景には、高校生同士の交流がありました。

2 豊明市とガブロヴォ市の交流

覚書に調印した両市長

 豊明市とブルガリアとの交流のきっかけは、2005年の愛・地球博。豊明市は愛知万博「一町村一国フレンドシップ事業」におけるブルガリアのホストシティーでした。当時同市の国際交流協会の会長が、同市所在の星城中学・高校を運営する名古屋石田学園の理事長であったことや、名古屋大学に留学していたガブロヴォ市出身の方が同学園の職員になられたことなどから、生徒の交流がスタートし、2017年頃からはガブロヴォ市の高校生と星城高校の生徒が、それぞれ10名ほどの規模でお互いを短期留学し、ホームステイするという取り組みが定着しました。コロナ禍でもオンライン交流が続けられ、2023年7月には、ガブロヴォ市のタニャ・フリストヴァ市長が同市の高校生とともに豊明市を訪問し、本年7月の小浮豊明市長のガブロヴォ市訪問をもって、姉妹都市関係を提携するに至りました。

 豊明・ガブロヴォ両市長ともに、この姉妹都市提携に際し、両市の高校生による長期的な交流が、両市の無限の発展につながる良い基盤となっている旨挨拶されました。

3 日本文化の日の開催

日本文化の日で書道を披露

 小浮豊明市長の来訪に合わせ、本年7月19日から8月1日まで、星城高校の生徒10人(うち1人は中学生)がガブロヴォ市を訪れ、ホームステイしました。これらの生徒を引率した教師は実は最初の交流グループの参加者であったことから、生徒の交流が長く続いていることを示すものとなりました。

ブルガリアの民族衣装を着て市内を散策

 また、上述の姉妹都市関係提携の日には、日本文化の日として、ガブロヴォ市内の青年センターにて、星城高校の生徒たちが、日本の食べ物、伝統文化、興味、音楽、ゲームなどを紹介したほか、書道や生け花のワークショップ、折り紙、剣道のデモンストレーションなども行われました。

 ガブロヴォ市を訪れた高校生たちは、史跡を訪問してブルガリアの歴史を学んだり、工芸品に触れたり、地元の方々とサラダやパイ、ジャム、アイリャン(ヨーグルト飲料)を作ったり、民族衣装を着たりして、地元の高校生やホームステイ先家族との交流を深めました。

4 むすびに

 日本・ブルガリア両国間の姉妹都市提携としては、52周年を迎える岡山市とプロヴディフ市との姉妹都市関係をはじめ、長く交流関係にある自治体として、横浜市保土ケ谷区とソフィア市、福岡県宗像市・広島県福山市とカザンラク市、茨城県桜川市とシリストラ市などがあり、また、大学間の学術交流も盛んです。

 また、ブルガリアと日本は今年、3つの周年を迎えました(交流開始115周年、外交関係樹立85周年、外交関係再開65周年)。これを機会に、額賀衆議院議長をはじめとする両国要人往来、2つのビジネス・ミッションのブルガリア訪問などが行われ、当館が毎年秋に開催している日本文化月間でも多くの日本からの参加がありました。これらを通じて、ますます相互理解、日本におけるブルガリアの認知度が高まっていくことが期待されます。

 豊明市とガブロヴォ市は、高校生の交流に始まり市長同士の往来などに結びつく等協力関係が深まり、今回の姉妹都市関係提携に至りました。人々の交流に終わりはなく、両市の関係もより深くなっていくものと確信します。在ブルガリア大使館としても、今後の両市の、ひいては両国の友好関係の深化・強化に向けて力を尽くしていきたいと考えています。

グローカル外交ネットへ戻る