グローカル外交ネット

令和6年8月22日

在オランダ日本国大使館
二等書記官 池谷 知啓

1 はじめに

 オランダ南部の中核都市であるティルブルフ市は、元々は繊維産業が盛んな街でありましたが、アントワープ港及びロッテルダム港へのアクセスが良く、ベルギー、ドイツ、フランスにも近接し、鉄道の要所でもあることから欧州の物流ハブとしての存在感を高めており、現在はイノベーションシティを目指して官民の連携が盛んな、勢いのある都市です。
 2024年6月26日、南大使は、ティルブルフ市を訪問し、神奈川県南足柄市からの派遣団を招待したレセプションに出席しました。なお、南足柄市とティルブルフ市は今年で姉妹都市交流35周年を迎えました。

2 南足柄市・ティルブルフ市の姉妹都市連携

 南足柄市は、神奈川県の西端にある緑と水が豊かな美しい街です。この豊かな資源に着目して同市に拠点を置く富士フイルムは、同様に豊富で上質な地下水に恵まれているティルブルフ市に、新工場を建設したことから、同社が両自治体の交流の橋渡し役となり、1989年6月に姉妹都市提携が交わされました。
 このような民間主導による姉妹都市交流が開始されて以来、新型コロナウィルスによる人的交流が困難な時期も絆を保ちながら、今日でも文化・スポーツ・福祉などのテーマに基づいた交流が行われています。

3 ティルブルフ市主催レセプションの概要

写真1 南大使による挨拶
写真2 南足柄市関係者と南大使との交流

 同レセプションにはヴェータリングス・ティルブルフ市長や市関係者、南足柄市の姉妹都市交流協会から派遣団9名、日本やオランダの企業、両都市交流関係者等約30名が出席しました。
 まず、ティルブルフ市長より冒頭挨拶にて、南足柄市からの派遣団や日系企業関係者の訪問を歓迎した上で、この姉妹都市交流が35年前に始まった経緯と、2022年の南足柄市市政施行50周年を祝す訪日の機会が新型コロナウィルスの影響で断念され、今年になりようやく人的な交流の再開に至ったことは大変喜ばしいと述べました。そして1982年に富士フイルムが同市に拠点を設立して以来、今日でも両市民の健康増進、価値観の共有など様々な面で発展を続けており、国際紛争や環境問題が喫緊の課題である中でも相互にイノベーションを図り、より発展的な世界の実現に貢献していきたいとの意欲を示されました。

 続いて、南大使より、両市交流が民間交流によって育まれ長年に渡り継続し、富士フイルムがティルブルフ市において世界最先端のイノベーションを展開する企業に進化していることに敬意を表しました。そして、同市には約140名の在留邦人が生活しており、今後とも日本企業が増加し、日本人コミュニティが発展することを通じて日オランダの交流が促進されることを期待する旨述べました。

 南足柄市からは、加藤修平南足柄市長によるビデオメッセージの紹介がありました。加藤市長から、同市派遣団の受入れに感謝の意を述べた上で、2024年に姉妹都市交流35周年を迎え、これまでに行ってきた教育、文化、スポーツ、環境、産業といった分野での市民主体の交流を通じて相互理解を深め、今後も両市の友好親善を一層深めていきたいと述べました。また、南足柄市派遣団を代表して、佐々木・南足柄市交流協会長から、派遣団受入れへの謝意と共に交流関係を継続していきたい旨を述べました。

4 今後の姉妹都市交流・協力

写真3 両市姉妹都市交流関係者との集合写真

 昨今の循環型社会やエネルギー問題に対応すべく、ティルブルフ市は同市に拠点を置く日系企業を含む民間との連携を積極的に行うなど、日本に対する関心が高まりつつあります。このような状況で、今回の日オランダの地方自治体間の姉妹都市交流を記念するレセプションに日本政府を代表して南大使が出席し、両市の自治体や市民を主体とする草の根交流を後押しすることは、両国の友好関係を促進する上で、大変有益な機会となり、合わせて日本のプレゼンスを示すことができました。

 今回の南足柄市派遣団は、新型コロナを経て8年振りに派遣されましたが、両市の一層の交流強化に繋がったものと考えます。今後も両市の相互人的交流がより緊密に進められていくことを大使館としても期待しています。
 また、来年2025年は日オランダ交流425周年の記念年にあたり、様々な取組を通じて両国関係がより深化していくことが期待されます。同時に、同年には大阪・関西万博が開催され、オランダ政府としてもパビリオン出展や様々な日オランダ交流事業が計画されており、当館としても、日オランダ政府間の連携や大使館文化事業等を通じて、二国間関係の強化や、南足柄市・ティルブルフ市をはじめ両国の地方連携強化に積極的に取り組んでまいります。

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