グローカル外交ネット

令和6年8月15日

佐賀県 広報広聴課
フィルムコミッション担当 楢崎政彦

1 ドラマ誘致のきっかけ

マレーシアドラマ「From Saga, With Love

 佐賀県フィルムコミッションでは、2005年の設立以来、映像をきっかけとした佐賀県の情報発信を行うことにより佐賀県の認知度向上及び観光の振興を図るため、国内外の作品の誘致に取り組んでいます。

 2013年にタイ人に対する観光ビザが免除されたことを機に、隣県の福岡県との直行便があるタイからのドラマのロケ誘致を開始したところ、2017年までに6作品が撮影されました。これにより、2013年に370人だったタイからの観光客が、2019年には1万290人と、わずか6年で20倍以上に増加しました。また、この誘致をきっかけに、佐賀県でタイの文化を紹介するタイフェスティバルも開催されるようになり、コロナ禍でも開催を続け、今年7月に8回目が開催されるなど、県全体でもタイとの交流が根付いてきています。

 この成功事例を受け、2019年に同じく福岡県との直行便があったマレーシアを第二のタイとすべく、誘致活動を行いました。2020年に現地の制作会社が佐賀県を訪問して、ドラマの撮影の段取りをしていましたが、ロックダウンとなり、撮影が無期限の延期となりました。

 2022年秋、コロナ禍も落ち着きを見せたころに、マレーシア側から再度撮影を希望する連絡があり、調整を行った結果、2023年6月にマレーシアドラマ「From Saga, With Love」を撮影することとなりました。

2 マレーシアドラマ「From Saga, With Love」の展開について

県内有数の観光地「波戸岬」での撮影シーンと「いちごさん」バルーン搭乗シーン

 マレーシアドラマ「From Saga, With Love」は、いつも夢見がちなマレーシア人の女性・カルマが、俳優の女性とそのボーイフレンドのカメラマンと一緒に仕事で佐賀を訪れ、陶芸家見習いのマレーシア人の男性と出会い、そこから男女4人によるラブコメディーが繰り広げられる内容で、特産品のうれしの茶の茶畑、世界に誇る陶磁器の有田焼のほか、棚田や温泉街など日本の原風景がアクセントとして魅力的な形で登場します。

 マレーシアをはじめとした東南アジアなど16か国で展開する動画配信サービスの「Viu」で、2023年9月に配信されたところ、2か月連続で1位を記録したことにより、同年11月には続編の撮影を2024年5月に行うことが決定しました。また、現地メディアが選ぶ今年流行ったドラマTOP5にも選出されるなど、人気は動画配信サービス内に留まらず、現地の若者を中心に大ヒットしました。

 1作目のロケ地が6市町10か所だったところを、続編ではより魅力的に佐賀を紹介していただくべく、2024年1月には脚本家を交えたシナリオハンティングを実施しました。同年2月にはインバウンド誘致拡大などに繋げるため、マレーシアでは初となる佐賀県知事によるトップセールスを実施し、同年3月にはシナリオハンティングを受けての再度のロケハンを行いました。その結果、同年5月に撮影されたロケ地は8市町30か所に拡大し、より多くの佐賀県のロケ地がドラマ内で登場することとなりました。

 今回は、いわゆる観光地に加え、海外にも輸出しているブランドいちご「いちごさん」をモチーフにした熱気球を管理するJAさがとも連携し、ドラマ内で「いちごさん」バルーンに搭乗するシーンや、主要キャストの1人が佐賀大学に通う留学生になる設定が入ることで、インバウンド誘致のみならず、県産品の販売促進、国際交流等様々な切り口も付け加えることができました。

3 マレーシアドラマの反響について

佐賀大学におけるドラマ撮影の様子

 支援作品のタイトルに「佐賀」が入りながら、続編の撮影も決定した海外の作品は、フィルムコミッションの19年の歴史の中でも初めてだったこともあり、撮影開始前に、佐賀県知事への表敬訪問や各ロケ地への取材誘致を通じて、佐賀県だけでなく九州及び全国ネットのテレビ、地方紙などでも数多く取り上げられました。

 また、1作目と続編の反響を大きなものとするべく、前述の切り口を付け加えており、インバウンドの増加のみならず、県産品の認知度向上、佐賀大学とマレーシアの国際交流など様々な反響が期待できると考えています。

4 今後について

 1作目のマレーシアでのヒットをいかに日本でも広めていくかというところが今後の課題となります。このため、佐賀県では本年度中に、日本国内で本作品を気軽に無料で閲覧できる環境を整えつつ、閲覧した方がロケ地巡りに訪れていただけるようオンラインロケ地マップの作成を検討しています。

 こちらもウェブベースかつ無料で閲覧でき、多言語対応することで、マレーシアからの観光客の方にも対応できるように検討しています。この機会を捉え、佐賀県としてもドラマとの接点づくりを多く提供し、佐賀県とマレーシアの更なる交流促進を図ってまいります。

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