グローカル外交ネット

令和6年8月13日

在ダバオ総領事館
総領事 石川義久

1 はじめに

 フィリピン南部ミンダナオ島の中心都市ダバオ。戦前、2万人を超える日本人移民がダバオの町を作り上げ、今でも多くの日系人が暮らしておられます。かつて内戦とテロが頻発するミンダナオという危険なイメージは今や昔、とびきりの治安の良さ、高い経済成長、圧倒的な親日度、若くて優秀な労働力にあふれるフロンティアです。
 本年6月、帰国休暇の機会をとらえ、2017年に日本で最初にダバオ市と姉妹都市になった北九州市、本年10月にダバオ市と都市間連携協定を締結予定である静岡県浜松市を訪問し、両市長を表敬訪問するとともに、ダバオ市との協力強化に努めておられる多くの関係団体・企業を訪問してきました。
 (なお、昨年4月には、大阪府泉南市が、ダバオ市の我が国2番目の姉妹都市となったこともこの場でご紹介させていただきます。)

2 北九州市

武内和久北九州市長と

 2017年、北九州市はダバオ市の環境姉妹都市になりました。この関係強化を力強く牽引したサラ・ドゥテルテ・ダバオ市長(当時)は今やフィリピンの副大統領です。北九州市は、かつての深刻な公害から見事に立ち直ったその経験をダバオ市に伝えるべく、これまで7年以上にわたり、特に廃棄物処理および廃棄物発電の分野で、地道な努力を継続されており、ダバオの人々から強い信頼を勝ち得ておられます。在ダバオ総領事として、心からの敬意を表したいと思います。
 今回の北九州市訪問においては、武内和久市長に対し、これまでのダバオ市への弛まぬ協力についての謝意をお伝えするとともに、引き続きの協力促進をお願いしました。また、同じくダバオの発展に尽くされているJICA九州センターを訪問した他、廃棄物発電施設である日鉄エンジニアリング株式会社の新日明工場、旦過市場再生プロジェクトも視察させていただきました。

3 浜松市

中野祐介浜松市長と

 近年、一般社団法人グローバル人財サポート浜松、浜松ロータリークラブ、学生団体HANDSなどにより、ダバオ市における寄付やボランティア活動が盛んに行われてきたことをきっかけとして、今や浜松ゆかりの多くの企業・学校などがダバオ市との関係強化に乗り出してくれています。若くて質の高い労働力の宝庫であるダバオ市、多くの製造業を抱えながら少子高齢化に苦しむ浜松市、両市の関係強化は、双方にとってウィンウィンの関係になるはずです。そして、本年10月には中野祐介市長が関係者とともにダバオを訪問して、ダバオ市との都市間連携協定の覚書に署名することになっています。
 今回の浜松市訪問においては、中野祐介市長とダバオ市との今後の関係強化について意見交換させていただきました。また、スズキ自動車、ヤマハ発動機、ヤマハ楽器、春華堂、呉竹荘、西遠女子学園などを個別に訪問させていただいた他、村松商店、セキスイハイム、浜松ロータリークラブとも意見交換をさせていただきました。最後に、市民講座にて「ダバオの魅力と可能性」と題した講演を行いました。その中で、農業、エネルギー、製造業、ODA、観光業、サービス業、特定技能など、日系人の日本就労、教育交流など、ダバオが持っている9つの可能性について浜松市民の方々にご説明しました。その様子は静岡新聞でも大きく取り上げられました。

4 おわりに

 魅力と可能性にあふれるダバオに、最近、日本の多くの地方自治体や企業がようやく関心を示してくれるようになりました。ダバオにいる日本の総領事として、その動きを全力で支援していきたいという思いを新たにしています。

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