グローカル外交ネット

令和6年7月26日

在チュニジア日本国大使館

1 はじめに

大菅大使と川本雅之瀬戸市長、ナブール県知事、ナブール市助役の記念写真

 日本では陶磁器のことを一般的に「せともの」と呼びます。無論、この「せともの」の「せと」とは愛知県瀬戸市のことを指しています。瀬戸市は、名古屋市の北東約20キロメートルに位置しており、日本屈指の窯業地として知られています。その歴史は約千年前にまで遡り、現在でも茶碗や皿だけではなく、ドアノブや洗面台など、私たちの日常生活の中にたくさんあります。
 チュニジアの陶都の一つであるナブール市は、チュニジア北東部に位置し、ボン岬半島南東部にある地中海に面した都市です。ナブール市の陶器の歴史は古代ローマ時代にまで遡ることができます。ナブール焼きは、皿やポット、花瓶、壺などの日常食器まで幅広くバラエティに富んだ焼き物です。ちなみに、瀬戸市とナブール市の市章にはどちらにも「壺」がデザインされています。

2 姉妹都市提携までの経緯

瀬戸公園起工式の様子

 1997年に始まった瀬戸市とナブール市との交流は、当時の駐日チュニジア大使の瀬戸市訪問から始まり、「瀬戸市・ナブール市交流展」の開催を機にナブール県知事が瀬戸市を訪問しました。その後、ナブール市で開催された国際陶磁器フェスティバルや両市間における陶芸家同士の交流などを通じて、2004年4月に瀬戸市長、市議会副議長他5名の瀬戸市代表団がナブール市を訪問し、姉妹都市提携が結ばれました。2005年6月には、「日本国際博覧会 愛・地球博」に合わせて開催された「せと・やきもの世界大交流イベント「ナブール月間」」の開催をきっかけに、瀬戸市末広町に「ナブールの庭」が作られました。

3 姉妹都市提携20周年記念行事

ナブール焼きを紹介する地元の陶工

 2024年4月19日から22日まで、川本雅之愛知県瀬戸市長一行がナブール市を訪問し、両市の姉妹都市提携20周年記念行事が行われました。16年ぶりとなる今回の訪問に合わせ、4月21日、ナブール市に建設予定の「瀬戸公園(Jardin de Seto)」の起工式が行われ、大菅駐チュニジア大使、ナブール県知事とナブール市助役(市長不在のため助役が市政を代行)、ナブール・クラブ会長が参加しました。大菅大使からは、日チュニジア間で唯一の姉妹都市である両市間の20周年記念に祝意をおくりつつ、この間の交流は両国の友好の証であることが述べました。他の臨席者からは、川本市長のナブール市訪問について感謝の言葉が述べられました。式典終了後、ナブール市の文化施設を訪問し、熱烈な歓迎を受け、関係者及び地元の陶芸家や工芸職人と親睦を深めました。今回の式典の様子は国営テレビや主要紙にも取り上げられ、関心の高さが伺えました。

4 今後の姉妹都市交流への期待

 姉妹都市交流20周年をきっかけに、製陶分野をはじめとする文化交流の再活性化、そして、共通点の製陶以外にも産業、環境、観光、スポーツの分野での交流促進に期待が高まっています。とりわけ、3年に一度開催される国際芸術祭「あいち2025」が、2025年に名古屋市及び瀬戸市で開催される予定です。また、来年開催の「EXPO 2025 大阪・関西万博」では、日本六古窯の一つとして一部のパビリオンに敷き詰めるレンガが瀬戸市から提供される予定です。大使館としても、国際芸術祭や大阪・関西万博などの大きなイベントを見据え、姉妹都市交流をチュニジアの多くの人々にPRしていき、今後さらに瀬戸市とナブール市の様々な魅力を知っていただけるよう、両市と連携しながらより一層の交流促進に貢献していきたいと考えています。

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