グローカル外交ネット

令和6年6月24日

在カタール日本国大使館

女川町の復興シンボルでもある「マスカー」(冷凍冷蔵施設)

 本年4月23日、24日、一時帰国中の前田哲駐カタール大使は、東日本大震災後にカタールからの支援を受けたことでゆかりのある宮城県女川町及び東北大学を訪問しました。

1 女川町

女川小中学校内にあるカタールに対する感謝プレート

 女川町は、東日本大震災時の津波などにより、当時の人口約1万人のうちの死者・行方不明者は827名、町の住宅の約9割が被害を受けるなど壊滅的なダメージを受けましたが、カタール政府からの復興支援「カタール・フレンド基金」(注)を一部利用し、水産物の冷凍冷蔵施設「マスカー」の建設や小中学校の統合化プロジェクトなどを進めてこられました。前田大使は、女川町を今回初めて訪問し、こうした施設を視察しました。
 震災後真っ先の2012年秋に完成した冷凍冷蔵施設「マスカー」は、当時震災により壊滅した町の中に唯一立つ建築物だったそうで、うちひしがれていた住民に未来に向かって歩き出す勇気を与える役割を果たしてきたとのことでした。
 また、2020年に完成した女川小中学校の校舎は大変美しく、最新のIT設備やスポーツ施設が整っており、前田大使が訪問すると、子供たちの代表が郷土の獅子舞を披露して歓迎してくれました。学校内には震災の慰霊碑やカタールへの感謝を表明した記念ブースや記念碑等も置かれており、復興の中でも町の未来を担う次世代への思いを込めた教育に力を入れていることが垣間見られました。
 今回の訪問時に前田大使は、これらカタール政府からの復興支援による施設訪問の他、須田女川町長、佐藤同町議会議長、平塚同教育委員会教育長、及び女川魚市場買受人協同組合の石森理事長らと意見交換を行いました。皆さんは、本年1月にカタールを訪問され、今後も女川町とカタールとの交流を進めるべく、生徒のカタールへの短期派遣事業なども検討されているとのことで、このご縁が日・カタール関係の更なる活性化につながることを願います。

2 東北大学

東北大学大学院工学研究科 創造工学センター長の説明を聞く前田大使

 前田大使は、東北大学を訪問し、「カタール・フレンド基金」により2014年から実施された「東北大学・カタールサイエンスキャンパス」(東北大学工学研究科の主催で行う小学生から中学生・高校生を対象に行う体験型科学実験教室)の状況に関する説明を受けました。これまでに参加された子供たちの合計は累計約7千人に上るとのことで、テーマは光通信機製作、ロボット・プログラミング、DNA抽出など多岐にわたり、大変興味深いものでした。

 注:「カタール・フレンド基金」は、2011年4月、東日本大震災の復興支援のため、カタール政府が表明した1億米ドルを原資に、2012年1月に設立された基金で、これまでに13の事業が東北各地で実施されています。

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