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令和6年6月20日

駐ポルトガル日本国特命全権大使 太田 誠

1 出港地と到着地

 駐ポルトガル日本国特命全権大使の太田誠です。
 昨2023年、初めてポルトガル人が日本の種子島に到着したとされる1543年から480年を迎え、日本とポルトガル両国においてさまざまな形で日本・ポルトガル交流480周年が祝われました。約500年にわたる友好の歴史を有する日本とポルトガルには、現在7組の姉妹都市と1組の国際友好都市があり、都市間交流が行われています。
 この姉妹都市の一つが、鹿児島県西之表市と、首都であるリスボンから南に約300キロメートルのポルトガル最南西端に位置するヴィラ・ド・ビスポ市です。1993年に姉妹都市の盟約が結ばれ、2023年に30周年を迎えました。西之表市の所在する種子島は、説明するまでもなく、鉄砲伝来の舞台であり、このとき日本を来訪した船は、ヴィラ・ド・ビスポ市のサグレスから出港したと言われています。この歴史的なつながりがきっかけとなり、日本・ポルトガル交流450周年かつ鉄砲伝来450周年であった1993年、両市の間に姉妹都市盟約が結ばれたのです。
 両市は、学生によるスポーツ交流や絵画交流といった交流のほか、2010年の日本・ポルトガル修好150周年の折のポルトガル海軍練習帆船「サグレス号」の寄港、また2019年の姉妹都市提携25周年記念の際の西之表市関係者のヴィラ・ド・ビスポ市の訪問と現地での火縄銃デモンストレーションなど、様々な機会に交流が続けられてきました。昨2023年には、30周年を祝うべく、両市の間でリモート交流が実施され、八板俊輔西之表市長と、ルテ・シルヴァ市長との間で姉妹都市間交流の活性化について意見交換が行われ、この記念すべき会合には、私とヴィトル・セレーノ駐日ポルトガル大使も参加しました。

2 西之表市訪問

種子島開発総合センター「鉄砲館」訪問
種子島宇宙センター訪問

 このように、2023年に姉妹都市盟約30周年を迎え、姉妹都市活動の活性化を図る両市の後押しをすべく、本年3月24日~25日、私は用務帰国の機会を捉え、西之表市を訪問しました。
 種子島空港には矢板市長自ら出迎えられ、全行程を御案内頂きました。西之表市到着後には、市の交流関係者や種子島火縄銃保存会の皆様とお会いし、今後の両市の交流促進に向けた取組について意見交換を行いました。その際、両市の橋渡しのため大使館に期待されることについても御意見をいただきました。種子島開発総合センター「鉄砲館」の視察では、日本に伝来したポルトガル初伝銃や、国産第一号の火縄銃の展示の他、日本の火縄銃の歴史に関する展示を拝見し、鉄砲伝来という側面からの日本とポルトガルとの結び付きについて改めて学ぶことができました。市内のわかさ公園では交流記念碑を視察し、長年にわたる同市とポルトガルとの強い縁を実感しました。
 今回の訪問では、種子島南部の南種子町に所在する宇宙航空研究開発機構(JAXA)の種子島宇宙センターも訪問しました。ポルトガルは、本年3月、30年ぶりに自国産の超小型人工衛星の打ち上げに成功しており、宇宙分野への進出を進めています。大航海時代に始まった日本とポルトガルの姉妹都市交流が、宇宙分野での協力につながれば、こんなに素晴らしいことはないのではないかという期待を胸に意見交換を行いました。

3 結び

西之表市関係者、種子島火縄銃保存会の皆様との記念撮影

 今回の西之表市訪問を終え、地理的に遠く離れたポルトガルとの歴史がまだしっかりと息付いていることに改めて気付かされ、両市の今後の交流に多くの可能性があることを実感しました。大使館として、両市の一層の交流に向けた支援に取り組んでいきたいと考えています。

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