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播磨地域の魅力を発信!フランスとの深いご縁から広がる「GIはりま」テロワールの世界
播磨広域連携協議会事務局
1 はじめに
2023年10月30日、兵庫県播磨地域13市9町で構成する「播磨広域連携協議会」は、在仏日本国大使館と共催して、「GIはりま」の日本酒をはじめ、播磨地域の食、姫路城、播磨の地場産品など、播磨地域の魅力をPRするレセプションを在仏日本国大使公邸で行いました。
2 フランスから始まる「GIはりま」認知度向上

そもそも皆さん「GI」という言葉をご存知でしょうか?GIとはGeographical Indicationのことで日本語では地理的表示といいます。兵庫県の南西部に位置する播磨地域では、「米及び米こうじは、兵庫県で収穫した山田錦のみを用いたものであること、はりま内で採水した水のみを使用していること、はりま内で醸造、貯藏及び容器詰めが行われていること」といった、原料や製法等において一定の要件を満たして造られた日本酒が、2020年3月16日に国税庁によって酒類の地理的表示「GIはりま」に指定されました。
そこから「播磨」と「GIはりま」の認知度を向上させるための事業がスタートしました。この取り組みは、国内外で単に日本酒「GIはりま」をPRし、販路を拡大するだけではありません。播磨地域の認知度を向上させること、さらには、認知度向上により「GIはりま」をツールとして、播磨地域への誘客を図ろう、特に、海外からのインバウンド需要に繋げていこうとするものです。
では、どこの国をターゲットにPRをしていくのがいいのか。私たちが考えたターゲットはフランスです。フランスにはシャンパン(シャンパーニュ地方の特産)に代表される「地域ブランド」の文化があり、播磨地域で育った酒米「山田錦」と播磨地域の水から作られる「GIはりま」はフランスのテロワールという考え方に似たところがあります。そして、もう一つ、日本酒もワインも同じ醸造酒であり、ワインを評するソムリエに本当の日本酒を正しく評価いただけると考えたからです。「GIはりま」を知ってもらえれば、播磨という地域に興味を持ってもらえ、ひいては播磨へのインバウンドにも繋がっていくのではないかと期待しています。
3 フランスとの深いご縁


今回のPR事業を担っている「播磨広域連携協議会」の会長は、姫路市長が務めておりますが、姫路市とフランスは、以下のとおり、昔から深いご縁で結び付いています。
姫路市出身の柔道家・故・川石酒造之助氏(かわいし みきのすけ、1899年~1969年)は、1935年フランス・パリで柔道の指導を始め日仏柔術倶楽部を創立、後年にはフランス柔道協会の技術主任に就任されるなど、フランス柔道の父と称された人物です。これが縁で、フランス柔道チームは2020東京五輪事前合宿を姫路市で行い、混合団体で見事金メダルを獲得されました。なお、川石酒造之助氏の実家である姫路の酒蔵は播磨21蔵の一つで、GIはりま「大吟醸 酒造之助」を製造されています。
もう一人、KENZOの創始者であるファッションデザイナー故・髙田賢三氏(たかだ けんぞう、1939年~2020年)も姫路市出身です。髙田賢三氏は1965年25歳の時にパリに渡り、日本人としての感性を駆使した新しいコレクションが高い評価を受けました。1998年にはフランス政府より国家功労賞や芸術文化勲章最高位の「コマンドゥール位」を受勲されています。
この髙田賢三氏が尽力され結ばれることになったものが、世界文化遺産登録30周年を迎えた姫路城とフランス・パリ郊外にあるシャンティイ城との姉妹城提携です。姫路市の市制100周年を記念して1989年に締結されたもので、日本国内の城が海外の城郭と姉妹城提携を結ぶのは初めてのことでした。これ以来、姫路市とシャンティイ市は文化や観光、経済など幅広い分野での交流を行っています。
4 在仏日本国大使公邸でPRレセプションを開催

様々なご縁で繋がっている播磨とフランスですが、播磨広域連携協議会では2021年度からフランスにおいて「GIはりま」と播磨のPRを行ってきました。3年目となる2023年度は、フランスでのPR事業のスタートとして、在仏日本国大使公邸でのPRレセプションを、当協議会と在仏日本国大使館の共催で10月30日に開催しました。
レセプションでは、冒頭、下川眞樹太特命全権大使から挨拶いただき、また播磨広域連携協議会会長の清元秀泰姫路市長、田中康博はりま酒文化ツーリズム協議会会長が、それぞれ播磨地域の魅力や「GIはりま」に関して説明を行いました。姫路城と姉妹城提携を結ぶシャンティイ城の館長ご夫妻をはじめフランスを代表するソムリエの方々や飲食店、輸入業関係や旅行業関係など多くの方をお迎えし、播磨地域の食材や調味料を生かした食事や選りすぐりの「GIはりま」13銘柄でもてなすとともに、地場産品である播州織の扇子や革細工、刃物製品や帆船の帆を活用したバッグなどに加え、レゴブロックの姫路城の模型などの展示も行い、播磨地域を存分にアピールしました。
先にも述べましたが、フランスにはテロワールという考え方があります。今回のレセプションでは、「GIはりま」のサーブをフランスの若手ソムリエが担い、各銘柄の特徴をソムリエから直接説明していただきました。また、播磨の地場産品の紹介も日本語を勉強しているフランス人学生に事前に地場産品を学習していただき、当日に説明をしていただきました。このように播磨をより深く知っていただく工夫を行ったことで、お迎えした皆様には、日本酒と食のマリアージュを堪能しながら会話と播磨を心ゆくまで感じていただけたと思っています。
5 2025年に向けて
この度の在仏日本国大使公邸でのPRレセプションでは、播磨とゆかりのある方々をはじめ、普段なかなかお会いできない方々に「GIはりま」や播磨の食、地場産品などを知っていただくことができ、PR事業のスタートとして大変実りあるものとなりました。また、後日には、パリ西部近郊の都市ヌイイ・シュル・セーヌやフランス中東部の都市ディジョンでの国際ガストロノミー展にも出向きPR活動を行い、播磨を多くの方々に知っていただけたのではないかと思います。
2025年には大阪・関西万博が開催されます。万博会場のある大阪と播磨は時間にして1時間ほどの距離です。大阪・関西万博を契機に、万博に来場される方々を播磨地域に誘客できるよう、特に、播磨とゆかりのあるフランスからは、多くの方に播磨地域を訪れていただけるよう、引き続き「GIはりま」と播磨のPRに努めてまいります。