グローカル外交ネット

令和5年12月13日

特定非営利活動法人 「日本で最も美しい村」連合

令和5年10月29日(日曜日)、東京駅至近のTOKYO TORCH PARKを会場に「日本で最も美しい村まつり2023」を開催しました。当日は数多くの来場者に恵まれ、海外からのお客様もいらっしゃいました。本企画が、日本が誇る各地の文化や伝統に触れ、これらを継承していくことの重要性を知る機会になったのであれば幸いです。(なお、「日本で最も美しい村」連合の紹介については、グローカル通信第174号(2023年8月号)をご覧ください。)

1 開催の背景

 2019年度までは「日本で最も美しい村フォーラム」という名称で、講演会形式の催しを実施しておりました。コロナ禍を経て、2022年度、「日本で最も美しい村まつり」という名称に変更し、伝統芸能の紹介や体験、特産品のマルシェを通じて、幅広い世代や層の方々に「日本で最も美しい村」連合の加盟町村地域に出会って触れていただくきっかけづくりとして開催し、今回が2回目の開催となりました。

2 モノと出会い、人と出会い、地域と出会う

マルシェの模様

 北海道鶴居村、青森県田子町、山形県大蔵村、福島県三島町、福島県飯舘村、福島県昭和村、栃木県那珂川町小砂、山梨県早川町、静岡県松崎町、長野県大鹿村、長野県中川村、長野県原村、長野県木曽町、京都府和束町、鳥取県智頭町、徳島県上勝町、香川県まんのう町、宮崎県椎葉村がマルシェに出店し、自慢の特産品・工芸品を販売しました。静岡県川根本町は特産のゆずを使用した化粧品づくり体験ブースを出店しました。
 宮崎県椎葉村のブースでは、「日本で最も美しい村」連合の魅力発信のために活動をしている社会人サポーターと共に村の魅力を発信しました。また、「都市と美しい村間、世代間を繋ぎ関係を紡ぐ」をコンセプトに活動をしている学生サポーターは、「美村探偵 日本の魅力再発見」と題し、クイズを通じて加盟町村地域の魅力を発信しました。
 どの出店者も来場者とコミュニケーションをとり、ただモノを売るだけではなく、人と人との出会いが生まれていました。この出会いを通じて、国内外の多くの方々が「日本で最も美しい村」に関心を持ち、実際に訪れていただくきっかけとなればと願っています。

3 地域の宝を繋いでいく人たちの温度を感じる

長野県中川村による中川人形浄瑠璃

 特設ステージでは、2つの村による伝統芸能が披露されました。
 長野県中川村は、中川人形浄瑠璃「三番叟」を披露しました。中川人形浄瑠璃は、一度は後継者がなく途絶えていましたが、平成24年に「中川人形保存会」として復活されました。「三番叟」は五穀豊穣を祈願する能の「翁」から義太夫に取り入れられたご祝儀曲で、舞は田植えや種まきなどの農耕に由来する動きを軽快に踊ります。まるで人間が演じているような繊細で優雅な動きや、豊かな表情を魅せる人形浄瑠璃に、来場者の皆様は興味津々でした。

青森県佐井村による矢越の神楽

 青森県佐井村は、矢越の神楽「平獅子」を披露しました。
 「矢越の神楽」は二人立の獅子舞で幣束(へいそく)、鈴、剣を持って悪魔を払う祈祷の舞です。明治34年旧12月29日に東通村目名の若者頭に矢越の若者頭(現:矢越若者会)が御神楽の教授をお願いし、師弟契約を取り結んで御神楽を習いました。 現在の矢越の御神楽は、その御神楽が伝承されたものです。
 「平獅子」は家内安全や諸鬼退散を願う舞で、正月やお盆の時期に振られています。
 力強い獅子の動き、笛や太鼓の音色が響き渡り、会場は一気にお祭りのムードになりました。会場には佐井村出身の方々も数多くいらしていて、「郷土愛」を感じる空間でした。

 また、体験ブースでは、来場者の皆様にも中川人形浄瑠璃の人形を動かす体験や、矢越地区の祭囃子に合わせて太鼓を叩く体験をしていただきました。 日本の各地域の伝統芸能に実際に触れ、地域の人と話をすることで、地域の宝を後世に繋いでいく人たちの力強さを肌で感じ、歴史の中で伝承し守られてきた伝統文化の重要性を再認識していただくことができましたと思います。

4 日本を越えて「最も美しい村」連合として伝えていくこと

 「最も美しい村」運動は現在世界約10か国に広がっており、「世界の最も美しい村連合」ネットワークを形成して定期的に交流や学習の機会を持っています。「美しい村を守り継承する」という共通目標の下、国の垣根を超えて切磋琢磨し、交流を通じて互いの持つ地域の宝を引き出し、磨き合っています。
 「最も美しい村」連合に加盟する町村地域では、失ったら二度と取り戻すことができない地域の資源を後世に継いでいくため、住民による自主的な保全・継承活動が日々行われています。人口が数千人の地域がほとんどで、人口減少による担い手不足等様々な課題を抱えながらも、地域の宝を守り継いでいます。
 地域の宝は、光を当てられる機会や触れられる機会がなくなれば、継承されず、失われてしまう危機にあります。私たちは、「最も美しい村」というネットワークを生かし、彩ある文化や伝統、美しい景観を、将来にわたって世界に誇り、発信し、共有できるよう、国を超えた人と人、地域と地域との出会いの場をつくり、地域の宝を守る人たちの熱量、想いを伝え、交流を促す取り組みを今後も行っていきたいと考えています。

注:写真の著作権は全て其田有輝也氏に帰属します。

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