グローカル外交ネット

令和2年12月18日

福井県大野市湧水再生対策室

 大野市は、フランス・オルレアン市、西アフリカのベナン共和国・パラクー市とともに水の大切さを学ぶボードゲーム「P2Oと一緒に青い宝石を守ろう」を共同製作し、2020年8月1日「水の日」から教材としての貸し出しや出張授業を始めました。

(写真1)水の大切さを学ぶボードゲーム 水の大切さを学ぶボードゲーム
(写真2)ボードゲームを使った授業の様子 ボードゲームを使った授業の様子

 ゲームは、日本、フランス、ベナンに分かれたプレーヤーが各国の農業、家庭、工業、観光の各産業を発展させていくゲームです。産業を発展させるために、各国は世界の水を使います。水を使い果たしてしまうと全員がゲームオーバーになるルールなので、協力しなければいけません。クイズに解答することで、各産業を節水化し世界に水を還元できたり、別の国と産業技術を交換したりできます。クイズは3市の小中学生によって作られました。水に関する問題に加え、各国の産業や文化などに関する問題もあり、様々な知識が得られます。クイズから、住んでいる国や地域の「当たり前」の違いを知ることができます。
 2017年のフランス視察を機に、水と環境をテーマにフランスのいくつかの市と大野市との交流が始まりました。オルレアン市はパラクー市に、大野市は東ティモールに水の支援を行っています。支援をする市と支援される市が協力し、水資源の大切さ、普遍性を世界に伝える教材を作ろうと、3市の担当者がメールやオンライン会議をとおし協議を続け、約2年をかけてボードゲームを製作しました。
 ゲームの名前「P2Oと一緒に青い宝石を守ろう」の「青い宝石」は水を意味し、「P2O」はゲームのキャラクターの名前で、パラクー、大野、オルレアンの各市名のアルファベットの頭文字を使って、水の分子記号H2O風につけました。このゲームは、日本語とフランス語の2か国語で記されています。
 対象は小学校4年生以上で大人も楽しめます。所要時間は1ゲーム約20分です。小学校の1時限の授業で説明しながら1回、児童が自ら考えながら1回できるように試行錯誤し作成しました。
 大野市では地下水の保全意識と保全活動の継承、オルレアン市では地下水の汚染、パラクー市では水の確保などの問題を抱えています。現実世界の水は有限。考え方も文化も異なる国々がお互いの国を理解し、助け合わなければ、あっという間に底をつくということを、ゲームを楽しみながら体感することができます。
 ボードゲームは製品化されて終わりではなく、これからも3市で話し合って改善していく予定です。総合教育や環境教育の教材として、世界のどの国や地域でも使えるようになることを目指しています。ゲームとともに大野市から「水への感謝の気持ち」が世界に広がることを望んでいます。以下に、ボードゲームのクイズをいくつかご紹介しますので、いっしょに水について考えてみませんか。

フランス オルレアン市、ベナン パラクー市の中学生からのクイズ

問題: 水はどのように呼ばれているでしょうか。
A 白い金
B 青い金
C 黒い金
正解: B 「青い金」とは自然の水資源を意味します。「黒い金」は石油のこと。

大野市の小学生からのクイズ

問題: 大野市の地下水は何に一番多く使われているでしょうか。
A 家庭用・お店用
B 農業用
C 工業用
D 消雪用
正解: A (2019年)家庭用44.6%、工業用40.8%、農業用5.8%、消雪用0.5%

フランス オルレアン市の中学生からのクイズ

問題: 〇か×か。フランスでは、水道管が漏れていることで無駄になってしまう飲み水の量は、50mプール10万杯分の量と同じである。
正解: × 50mプール40万杯分の量です。フランスでは毎年水道管を流れる水5リットルのうち1リットルの水が無駄になっています。

ベナン パラクー市の中学生からのクイズ

問題: 手を洗う時に何を使うと良いでしょうか。
A 水とせっけん
B 土
C 油
正解: A

(写真3)大野市長(写真中央)と、駐日ベナン大使(写真右手前)と、フランスからオンラインによる参加の元CIR(写真左)によるゲーム交流の様子。 大野市長(写真中央)と、駐日ベナン大使(写真右手前)と、フランスからオンラインによる参加の元CIR(写真左)によるゲーム交流の様子。
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