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令和2年1月28日
(写真1)桜町再開発施設外観 桜町再開発施設外観
(写真2)熊本城ホールメインホールホワイエ 熊本城ホールメインホールホワイエ
(写真3)熊本城ホールメインホール 熊本城ホールメインホール

熊本市 新ホールマネジメント課 誘致戦略室

 本市では,第7次総合計画において,「市民が住み続けたい,誰もが住んでみたくなる,訪れたくなるまち,上質な生活都市をめざすまちの姿」とし,まちづくりの重点的取組の一つである「訪れてみたいまちづくり」の中では,国内外から多くの人が集う交流とにぎわいづくりのため,学会・大会やコンサートなどの誘致に取り組むこととしています。

1 熊本市MICE誘致戦略の策定

 本市の交流人口の増加や地域経済の活性化を図り,総合計画に掲げる「訪れたくなるまち」を実現するための実行的な戦略として,2018年12月に「熊本市MICE誘致戦略」を策定しました。この戦略においては,MICEの開催や誘致活動に係る重点ターゲットの設定や数値目標を掲げるとともに,SWOT分析において導かれた本市の強みを活かした取組や,課題の克服等に必要な取組として実践的な戦略の柱などを定めました。
 まず,重点ターゲットについては,本市に医学部・薬学部等を有する大学や専門性の高い病院などが多く立地していることから,「医療系の国内学会」を掲げるとともに,「水資源」や「農業」,「防災」など,「本市の魅力や特性を活かした国際会議」を定めました。一方,イベントにつきましては,「熊本で初開催となる芸術・文化・スポーツ等のイベント」を掲げ,2019年12月にグランドオープンした熊本城ホールや,今後整備される花畑地区のオープンスペースを核として,開催実現に向けて誘致活動に取り組んでまいります。
 次に,実戦的な取組となる戦略の柱につきましては,本市随一の観光資源であり,現在,熊本地震からの復興に併せ段階的な特別公開も開始された熊本城の活用や,ユニークベニューの開発,熊本国際観光コンベンション協会による助成制度を含めた支援の強化などを掲げています。他にも,MICE主催者等のキーパーソンの招請や,ナイトタイムエコノミーの推進などに努め,数多くのMICE開催を促進するとともに,本市における宿泊者数の増加を図ることとしています。
 最後に,戦略に定める目標値につきましては,本市におけるコンベンション開催の経済波及効果が,2023年に78億円となることを掲げています(参考 2017年:29億円)。また,イベントにつきましても,熊本城ホールで開催されるイベントの参加者・来館者の満足度が2023年に80%となることを目指しています。

2 桜町再開発及び熊本城ホールの開業について

 2019年9月,本市の中心部で民間事業者により進められていた桜町再開発施設の工事が完了し,新たに,バスターミナルが運行開始するとともに,商業施設「SAKURA MACHI Kumamoto」が開業し,初日となる9月14日には当初の予想を大きく上回る約25万人の方にお越しいただき,その10日後には早くも100万人を突破しました。再開発施設には,他にも,ホテルやマンション,バンケット(結婚式場)などが立地されているほか,本市が整備を進めていた熊本城ホールが2019年12月にグランドオープンを迎えました。
熊本城ホールは,約1,600平方メートルの自由な空間演出により各種催事に対応可能な展示ホール,320の壁面収納の移動観覧席と430の仮設席の自由な配置により,小・中規模ホールとしての利用や平土間での利用も可能なシビックホール,連結利用も可能な約30~300平方メートルの大中小19室の会議室,そして九州最大級の2,304席の固定席を有し,文化催事・シンポジウム・学会・コンサート等に利用できるメインホールの4層構造の施設です。
 その果たすべき役割としては,市民の皆様の晴れの舞台として活用していただくなど,市民相互の交流を促進し,地域経済の活性化を図るとともに,熊本城や今後整備される花畑地区のオープンスペースと連携し,国際的なイベントやコンベンション,展示会,エンターテインメント等の開催による賑わいを創出し,ひいては九州の文化や学術の発信につなげることが求められます。
 熊本城ホールは,2019年10月より段階的に開業しましたが,市民の皆様の機運を高めるとともに,全国に向けた発信を行うために各フロアにおいてこけら落としイベントを開催し,11月29日の開業記念式典を経て,12月1日に山下達郎さんによるこけら落とし公演でグランドオープンを迎えました。開業以降,市民の皆様の相互交流の場所となるとともに,学会や企業ミーティング,コンサートやイベントなども多数開催されており,今後も多くの方に利用いただけるよう誘致や受入体制の整備に努めてまいります。

3 国際会議・インバウンド等の誘致・開催について

 2020年10月に,本市が誘致に努めてきた,アジア太平洋地域の49か国の首脳・閣僚級が参加する「第4回アジア・太平洋水サミット」が,熊本城ホールをメイン会場に開催されます。74万市民の水道水源の全てを地下水でまかなう本市では,市域の範囲を超えて地下水保全の取組を展開し,多くの効果を挙げていますが,同会議において,長年にわたるこれらの取組や熊本地震からの復興を世界に発信します。
 また,インバウンドやインセンティブトラベルにつきましては,北部九州の周遊や縦軸を利用するルートなどが既に利用されていますが,大規模な国際会議などにつきましても,分科会やアフターコンベンションを含め九州各都市で開催することで,他の地域にはない九州一帯としての魅力を国内外に発信することが出来ると考えており,その際には,九州の真ん中に立地する本市の優位性も存分に発揮できるもの捉えています。

4 まとめ

 今後も「熊本市MICE誘致戦略」に基づき,「熊本城ホール」を含む桜町地区再開発施設や既存施設,地元商店街・企業との連携や,熊本城をはじめとする観光資源を活用し,ユニークベニューやアフターコンベンション等の受入態勢の整備を行いながら,九州各都市と連携・協働し,本市域への各種催事の誘致・開催はもとより,九州全域への経済・観光の活性化に寄与できるよう努めてまいります。

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