グローカル外交ネット

令和元年12月25日
(写真1)日中首脳会談:G20(出典:首相官邸ホームページ) 日中首脳会談:G20(出典:首相官邸ホームページ)
(写真2)第16回日中科学技術協力委員会(出典:文部科学省ホームページ) 第16回日中科学技術協力委員会(出典:文部科学省ホームページ)
(写真3)出張時に利用した北京の地下鉄 出張時に利用した北京の地下鉄

足立 健太

1 はじめに

 私は,2018年4月に京都府舞鶴市から外務省へ派遣され,外交実務研修員として勤務しております。舞鶴市は京都市内から車で約1時間のところにあり,300年続いた田辺城のある城下町風情あふれた西地区,軍港都市として急速に発展を遂げた東地区のある人口約8万人の地方都市です。私は,平成25年に舞鶴市役所に入庁し,都市計画課,企業立地・雇用促進課と勤務したのち,外務省に派遣されることになりました。外務省での勤務は,これまで従事してきた仕事とは全く異なる国際関係の仕事であること,また不夜城とも呼ばれる霞が関での勤務が私で勤まるのであろうかという思いもあり,大きな不安を抱きつつ,赴任したことを覚えています。

2 中国・モンゴル第二課での勤務

 私が配属となった中国・モンゴル第二課は,中国及びモンゴルの経済に関する外交政策を所管しており,日々変化する国際・経済情勢のなか,各国・地域との経済面の対話及び協力の維持・強化によって我が国との経済関係を発展させていくことを主たる業務としています。
 私が着任した2018年は日中平和友好条約締結40周年にあたり,日中両国間では,その節目の機会を捉えて首脳・外相を含むハイレベルでの往来・対話が活発に行われた年でした。9年ぶりの日中外相相互往来,8年ぶりの中国国務院総理の公式訪日,7年ぶりの総理訪中(多数国間会議への出席を除く)など,それまでの反動のように日中関係改善の波が押し寄せ,2019年に入ってさらに勢いは増していきました。今年6月のG20大阪サミットの際の日中首脳会談及び夕食会においては,安倍総理から,来年春の習近平国家主席の国賓としての訪日を招請し,習近平国家主席はこれを原則として受け入れ,「日中新時代」を切り開いていくとの決意が共有されました。現在は,来年の習近平国家主席の訪日の成功のために,経済政策面から後押しするべく,関係各府省庁と調整を行っているところです。
 私の担当業務は,科学技術,漁業,航空などがありますが,ここでは,昨年8月に開催した第16回日中科学技術協力委員会についてご紹介したいと思います。
日中科学技術協力委員会は1980年に締結された日中科学技術協力協定に基づき,科学技術分野における日中両政府の協力促進によって,両国間の友好協力関係を一層強固にし,両国の経済及び社会の発展に貢献するために設置されたものです。 私が外務省に赴任して5か月目での開催だったのですが,それまで間に首脳会談等のロジの一部を担当させていただくことはあったものの,国際会議を主担当としてすべてを把握し,調整することは初めてでした。周りの方々に色々相談しながら,各種調整が前日まで続き,相手国や関係府省庁との調整の難しさを痛感することになりましたが,今となっては四苦八苦したのは良い思い出です。
 また,業務の中で中国への出張の機会にも何度か恵まれました。初めての中国は,滴滴車行やWechat決済など買い物や交通でキャッシュレスが進んでおり,日本より現金を使用している方が少ないと感じた一方,現金を使う人にとっては,地下鉄の券売機では使えない紙幣が多いなどキャッシュレス至上主義であるとも感じました。中国に初めて行くまでは中国関連の業務をやりながらも全く臨場感がなかったのですが,中国を肌で体感できる機会をいただき,これまでの業務とイメージを重ね合わせることができました。

3 おわりに

 外務省での1年間9か月は未知の体験ばかりでした。常に物事が動いていて,それもニュースになるような内容ばかり。間違いなく,私の人生の中で特別な時間であったと感じています。私が周りの方々に外務省での勤務の話をする際,よく言うのは「外務省の方々は3倍のスピードで働き,2倍の時間働いている」ということです。そのくらい外務省の方々は日本の外交のために身を粉にして働いていると感じました。そんな中,私が本省での勤務をどうにかやってこられたのは,なにも分からず困っている私にどんなに多忙でも声をかけてくださり,私が気軽に相談しやすい環境を作ってくださった中国・モンゴル第二課のみなさんのおかげです。私もあと3か月の本省勤務と2年間の在外公館での勤務がありますが,お世話になった外務省の方々と送り出してくれた舞鶴市役所の方々に恥じぬよう,最後まで積極的に色々なことを吸収して精進していきたいと思います。

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